GO FOR KOGEI 2024
今年は、夫の退院もあったし、行けるかどうか、どうしようか・・・とチケットを買うまでかなり逡巡したけど、金沢の東山界隈と、富山の岩瀬地区で開催されている「GO FOR KOGEI2024」
まずは東山地区の作品を鑑賞するため、夫と出かけた。
橋場町~東茶屋街は、うんざりするぐらいの人出で、外国人だらけ・・・
でも、東山の方は人通りが本当に少なくて、車も入ってこない・・・でも、なかなか風情があるし、町家も多い。小ぶりな町家の佇まいを生かしたギャラリーKAIが出発点。赤木明燈&大谷桃子
私自身は、工芸がどう、アートがどう・・・って区別をしないでフラットに鑑賞するんだけど、やはり、漆のお椀が積み上げられている前に立つと、ああ、工芸って「暮らし」なんだなぁと強烈に感じる。
昨年の「GO FOR KOGEI2023」が、割とアート寄りで絵画作品が多かったことを思うと、今年の「GO FOR KOGEI」は、「暮らし」を濃く感じさせる展開だなぁ。
今年は元日の能登半島地震、そして、先月の大洪水と、これでもか、これでもか・・・と輪島塗りの拠点を災害が襲った。人々の暮らしが大打撃を受けた・・・燻んだ色合いの漆塗りのお椀が、固定されずに塔のように積み上げられている姿には、祈りと共に「怨嗟」も感じた。
大きな木箱が天井まで積み上げられてる作品では、その木箱にも朱塗りの御膳とかが無造作に入れられていて、そこにたくさんの人々の暮らしが詰まってる・・・そしてそれぞれに何か声を放っている・・・そんな印象を強く受けた。
そしてこの東山地区の展示で一番すごかったのが・・・KAI離
作家は三浦史郎&宴KAIプロジェクト
場所が凄かった・・・ほんま、「なんじゃぁ!? これは~!?」でした。
2番目の「tayo」には、よく知ってる方が監視をされていました。展示はスタイリッシュで金属の喰いのみというか酒盃がとても素敵だったけど・・・
そこで「次はKAI離に行くつもり」と答えると、手書きの地図を見せてもらい、写メしてそれを頼りに歩いていく。
30年以上金沢に暮らしながら、全く知らなかった「東山」を歩くことになりました。
思えば、コロナ禍真っ盛りの頃、夫も私も自宅待機を余儀なくされ、でも、「そもそも家にこもってたところで、何やねん!!」と怒り狂ってた私は、連日、夫と歩いてあちこち彷徨いてたんですが・・・
それでも行かなかった、この東茶屋街や東山界隈・・・
ほんま、こんなに寺が多いなんて・・・しかも、細い道、しかも坂・・・え? 東山ってほんまに「山」なんや~とびっくり・・・坂を上がって、ズンズン奥に入っていくんですが、でも、普通に家が立ち並んでるし、小学生の通学路もあって、街中なんですよね、ここ・・・
でも、これって、このまま行ったら・・・卯辰山へ行くみたいな? という坂道でした。
夫は表情がどんどんこわばってくるし、「怖いわ、もう帰ろう」と言い出すし・・・
もうここ曲がって何もわかんなかったら引き返すか・・・と私も諦めかけた時、上から声が降ってきたんです。「GO FOR KOGEIを回ってる方ですか~?」って。
え? 上から??
そこには、小高くなった場所にあるボロ~い感じのふつ~のアパート? 長屋? みたいな建物があって、そこの窓から声をかけられました。
ここがKAI離
関西で「文化住宅」と呼ばれていたスタイルの住居の、骨組みだけ残してあって、あとは床も畳もとっぱらったような状態になっていて、そこに、まるで「舞台のセット?」みたいな片側だけから見る格好で、お風呂、そして炉がきってあって、茶室、螺旋階段で2階にも上がれて、二畳間の茶室があって・・・三つ目は椅子席のお茶室があって・・・
橘茶という、とても香りのいいお茶の振る舞いもあった。
なるほど、建築系のいろんな素材の職人さんが実験や実戦を手がけた作品を収めていたそうで、この一階・二階続きの茶室は実は組み立て式で、持ち運びができるんだとか。
日を決めて行われる「イベント」では、実際にここでお茶やお酒や料理の振る舞いがあるそうです。
とはいえ、あの外観から、想像できない、この茶室の設えにはびっくりです。強烈な印象でした。
観光客が誰もこない・・・でも、ほんの目と鼻の先の東茶屋街にはあれだけの外国人がひっきりなし・・・でも、茶屋街はいわば「作られたまち」だけど、この東山はまさしく「人の営み」「暮らし」の線上にある工芸作品を鑑賞することができました。
やっと人通りがある橋場町に降りてきて、すご~くホッとしてる夫を誘ってSKLoへ。
これは台湾料理の店「四知堂」さんの店・・・元々油屋さんだった町家を生かしての店内・・・薄い・・・昔、バッテラとかたこ焼きの船みたいな薄~い「木の経木の蓮華皿」でお菓子をいただく。このお皿、木箱に収めて土に返すという。持って帰ってもいいとのことで、記念に持って帰った。ため息が出るほど薄い、でも、なぜかすごく弾力性もあって、不思議なお皿だ。
なかなかのトレッキングにもなった「GO FOR KOGEI2024」の東山地区でした。
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