映画「侍タイムスリッパー」
directed by 安田淳一
starring:山口馬木也、冨家ノリマサ、沙倉ゆうの、峰蘭太郎、福田義晴、紅萬子
幕末の京都。密命を受けた会津藩士、高坂新左衛門(山口馬木也)が長州藩士(冨家ノリマサ)と刃を交えたその時、雷が落ち、二人は気を失ってしまう。
高坂新左衛門が目覚めた時、彼はたった一人で、場所は現代の京都、しかも時代劇の撮影所だった。最初は、自分と同じような髷姿で刀を持った武士や、街並みも町人たちの風情にも違和感がなかったために、オンエア中の真っ只中で、立ち回りに入ってしまった高坂新左衛門。しかし、助監督の優子(沙倉ゆうの)に声をかけられる。その後、江戸幕府が140年前に終わったことを知り、愕然とする高坂新左衛門。優子や、その知人の寺の和尚の世話になることになり、やがて、身をたてるために撮影所の門を叩き、斬られ役として、その剣の腕を生かして、この世を生きていこうと決意する。
そんなある日、高坂新左衛門に大抜擢の役が舞い込んでくる。そのオファーをしたのは、なんと!!
あの時の長州藩士だったのだ!!
東京の映画ファンの間では、かなり話題沸騰で「今年度最高!!」の声が飛び交っていた作品。
最初は小さな映画館1館で・・・だったのが、瞬く間に広がり、全国展開へ・・・
この辺、「カメラを止めるな」再び!だ。
金沢にやっと来た!! しかも、自転車で行ける、普段行ってる映画館へ!!
ということで、見てきて、もぉ、どハマり!!です。
いやぁ、おもろい!!
しかも、時代劇愛!!に満ちていて、殺陣の部分は手抜きなし!
この作品を見ていると、誰もがある一人の「斬られ役に徹して生き抜いた人」あの人、福本清三さんを思い浮かべるでしょう!
私も途中からうるうる、涙腺にきました。
さらに、低予算で作られた・・・という話ですが、主演が山口馬木也さんだったというのが最大の成功の要因でしょう。立ってるだけで、侍の風情を漂わせ、腰が座った佇まい、剣の扱い、殺陣のうまさは言うに及ばずで、しかも、クライマックスに対峙するのが、冨家ノリマサさん、これまた佇まい、姿勢がきっちりしていて、二人が「真剣(本身)で斬り合いをする」というシーンの、殺気、真剣味が見事でした。
江戸時代の侍が現代にタイムスリップして、時代の違いで、いろいろうろたえ、おもしろおかしいドタバタ・・・も「定番ネタ」ではあるものの、京都の時代劇撮影所という設定とお寺の堂々とした姿というロケーションがはまっていて、程よくおかしい、程よく「ほろり」とさせられる。
白いご飯に涙して「日の本は、よい国になったのですね」という侍の言葉、なんか胸に迫ってました。
私てきに、ぐっときたのが、殺陣の師匠さんが、斬られ役としての演技をつけるとき、元々本当の侍、しかも剣の達人である新左衛門が、ついつい「斬る方に」なってしまう・・・という場面、山口馬木也さんと峰蘭太郎さん、お二人の太刀捌きが上手いからこその軽妙な、でも、型がしっかりしてるからこその見応え感もあって、いつまでも見ていたかったです。
真田広之さんの「SHOGUN」のエミー賞総なめといい、「侍タイムスリッパー」の快進撃といい、今年は時代劇喝采!の年だよね!