ハルサメとナッツ10 陽は沈んだのか?

ハルサメとナッツ10 陽は沈んだのか?

毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離している部分が多いですよ。

まずは1番最初に、咲ちゃん、こと岡浜咲ちゃん、彼女のスペックは見た目身長160cmくらい体重不明なものの、やや細めな割に胸の発育は良くGカップ以上ウエストのくびれやマンゴーの完熟度もナッツに引けを取らず男を狂わせるタイプと言えよう。
肩にかかるくらいのきつめにウェイブがかかった茶髪が特徴で大きな目の大部分を占めてる眼球は純白な中に緑色の瞳が美しい。
地球を出発した時は当たり前だけど中学1年生の1学期初め頃で12才だったが既に地球時間で6ヶ月は過ぎているがので7月始め頃生まれの彼女はもう13才のはずだ。今は私の母、詩織とか火星人とかいろいろ憑いている。

はい、次は私の悪友、じゃない親友のナッツこと夏野明美、彼女も咲ちゃんと同じく中学1年生だが誕生日が確か3月だった気がするので既に地球を旅立った時は12才だった気がする。
彼女に関してはスペック詐欺と言っても過言じゃないと思う。
黒髪のロングストレートヘアには違いがないのだがその長さは胸元あたりから腰まで自由自在に変えられる。しかも髪の色の変えられるらしい。
顔はどこかおっとりとした母性を感じさせる某エリカ似だが身長はデフォルトで165cmであるものの実際には145175cmまで自在に変えられるらしい。戸籍上は12才の現時点では中学1年生ということになっているが脱ぐとやばいタイプで私はてっきりDカップ程度と予想していたが実際にはHカップ以上はあるらしくて、くびれたウエスト以上にピンク色に完熟したとても柔らかいマンゴーと12才とは思えない大人の色香ははそれを見た男どもを性欲のアリ地獄に引きずり込むだろう。
彼女のニックネーム、ナッツは彼女の口がナッツ類しか受け付けられないことにある、ピーナッツ、マカデミアナッツ、ジャイアントコーンなど、とにかくその手の食い物しか受け付けない。
彼女は7大欲求に関する悪魔らしいが私なんかよりもはるかに長いキャリアを持つ高等悪魔であるらしい。少なくとも一つの恒星系文明が生まれてから滅亡するまでを見とってきたらしい。

最後は私、私の属性は人類、いわば人間などではなく淫魔と呼ばれる、まあ最下層のエロスに特化した悪魔である。
世の中の人間たち男女のエッチな行為やすけべな夢想などから快楽や愛液、精液などの甘い果実を横取り、いや、少しずつ分けてもらいながら棲息しているというとても強欲な、じゃないつましい悪魔だ。
ちなみに私の人間形態での見た目は一応戸籍上は中学1年生12才でありながら身長140cm未満Bカップというお子ちゃま体質である。ちなみに誕生日はナッツよりも2ヶ月早い1月の29日ということになっている、私の母親である詩織と幸恵さんふたり共に高校3年生だった頃に期間をずらして付き合っていた男性が唯ひとり、聡さんとゴムなしピルなしエッチをしたのが年末の慌ただしい時と3月半ばごろに母が日本を旅立つ時にラブホで年を誤魔化してオールナイトで56発はやったらしい。それで問題は誕生日から逆算すると実際に着床した可能性が高いのはラブホでのオールナイトであるらしいと言うことだったが、それは全くの嘘だった。
私は超大手電気機器関連グループの理事長と火星からやって妖魔に心身を支配されていた女性クローンの間にできた受精卵を詩織に無理矢理強制的に借り腹に利用して産まされた子だった。
しかも詩織自身にも秘密があって本来の詩織さんは中学3年生の時に東北地方を襲った地震で発生した津波に飲み込まれて命を落としかけていた。
そこにたまたま居合わせた火星からやって来た女性クローンも同様に津波に飲み込まれて死にかけていたがその女性クローンに契約していた妖魔がなんの気まぐれかその死にかけていた詩織と契約を交わして生き返ったらしい。
その時、津波に流されて重傷を負い子宮や腎臓を失った同学年の少女と奇妙な約束を交わして親友となった。その彼女こそが今私が養女として養ってもらっている幸恵さんだ。
ちなみに幸恵さんと聡さんの間には1学年年下の義弟である健太くんがいる。
彼は幸恵さんから卵子を提供してもらい、彼女の夫である波瑠聡さんから精子をいただき人工授精をして詩織自身の子宮を借り腹にして産んでいるのである意味本当の姉弟と言えるかも知れない。

名前は波瑠沙芽と書いてはるさとみと読む。
肩にかかる程度の春雨のような透き通った白髪が特徴でこれも私のニックネーム春雨の由来になっている。

おっといけない、またしてもスター、じゃなかった、星紫亜さんの存在を忘れていたよ水星生まれの水星育ち、半導体生物が進化し過ぎちゃった末に中二病をこじらせてA級淫魔処刑執行人になったと言う実体を持たない化け物だ。
見た目は1516才くらいの発育の良い娘、結構な美少女と言いたいが赤い癖毛のたぬき顔、あう!

[こら、お主あたしをまるで〇〇の魔女のヒロインみたいな容姿みたいな言い方をしたであろう。]

ここから本編始まるよ〜

私はあの役所での銃撃戦で詩織が死んだと思っていたが事実は大きな誤解があった。

そして記憶は某国の役場で銃撃テロを受けて母である詩織があいつに蜂の巣にされた時に戻る。

ふたりの津波に流されて死にかけていたふたりの少女、その火星からやってきた側の少女と契約を結んででいた妖魔がその少女の意向も汲んで詩織と契約を交わした。その契約を結んだ時点であの場所で私は銃殺される運命になっていたのは確定していた。
詩織は欲張りにもその火星からやってきて一緒に自分の中に取り込むことも条件として契約を交わしたようだった。
それが後々、同郷の火星からやってきた女性クローンの逆恨みを買い理事長の慰み者となったり強制的にそいつが勝手にこさえた受精卵を子宮に着床させられたりひどいめにあわされるのだったが。
極め付けはあの役場でのテロリスト襲撃事件だったのだが。
相手は詩織と同じ火星からやってきた妖魔と契約済みの女性クローン、しかし詩織の親友でもあり娘でもある、私、波瑠沙芽も巻き添いとなり蜂の巣にされ殺されてしまうのは想定外だった。
『おばちゃま、あなたの望みは何?』
消えゆく意識の中で詩織はとんでもない存在の声を聞いた気がした。
『まさか、あなたは』
私が問いかけると見た目の年齢は波瑠沙芽とほぼ変わらない幼女が言った。
しかしその幼女は詩織と契約を交わしていた妖魔如きが叶うような生やさしい相手ではなかった。
もしも彼女がこのテロの主犯だとしたら。
それでもなんとしても波瑠沙芽にだけは生き延びてほしかった。
詩織の中の妖魔と詩織、そして火星からやってきた女性クローンの意識は絶望を感じざるを得なかった。しかし彼女はこう返してきた。
『契約成立ね、あなたの魂は常に私の親友春雨と共にあり』
彼女がそう言ったと同時に私は波瑠沙芽と一体となりテロリスト武装集団の一掃を開始していた。

『というわけだからあなたを無理矢理にでも意識のない状態で春雨ちゃんの中に封じておくしかなかったんだけど、今、目の前に二次性徴を迎えてからかなり過ぎる女の子が目の前に黒焦げになって死にかけているんだけど、どうしますか?もと詩織さんと契約を結んでいた妖魔さん、いえ、いまだに未練たらしく詩織さんの記憶と意識を抱きかかえたダメダメ妖魔さんというべきかしらね』
ナッツにそう言われた私の中の詩織が反応したせいか私の目から大量の涙が溢れ出して頭上に引き込まれていった。
『木星に誓う、君はこれからどう生きたい?』
『普通の女の子として、いいえあいつらのせいで人生を狂わされた人たちに真っ当な人生を送ってほしいです』
咲ちゃんはボソボソっと言ったが私の耳にははっきりと届いた。
『私と契約を結んだからといってそれが必ず実現するとは限りませんよ、それでもいいですか?』
私、いや私の中の詩織さんは念を押すように言った。
『実績のない妖魔じゃないのは私もさとみさんがみていた夢でちゃんと確認しました、私は妖魔、詩織さんと契約します』
私は咲ちゃんの言葉を聞いてうなづいた。
『では私、元、詩織はこれにて岡浜咲と契約を結びます、ってあの妖魔が言う契約って私たちと親友になることだからね、これからは呼び捨てだよ、咲』

私の中にいた妖魔さんの力も手伝ってか咲の火傷や傷は思いがけず早く治っていっているようだ。
もちろん彼女の意識下の中に詩織がいることが重要なんだろうと思っている。
[詩織さんを取られて寂しいですか?]
女性の声が聞こえてきた。それはいつもからかってくる星紫亜の声ではない。
『なんで同じ星からやってきた妖魔憑きの女性クローンなのにあいつとあなたはどうしてこうも性格も人格も違うんだろうね』
ボソリと呟いたつもりだったが咲には聞こえたようだった。
『最初に海の中で彼女と遭遇した時にその娘は自分と契約を結んでいた妖魔さんに涙ながらに訴えてくれたのよ、と詩織さんは言っている、だから契約の話を持ち込まれた時に条件として彼女も一緒にこの体に取り込むことを約束させたってね』
そして咲は頭上のほとんどの視界を占めている木星を見ながら言った。
『詩織と契約を結んだ妖魔と、理事長を性の奴隷にした妖魔、そのふたつには大きな違いがあるってわかった、詩織と契約を結んだ妖魔がその時点で契約を結んでいた少女と共に火星を飛び立ってから火星全体を揺るがすような大事故が発生したようね』

一体どんな事故なのか見当もつかないがここで考えていてもしょうがないことのような気がする。

咲の火傷は思ったよりも早く完治しそうだった。
[咲の記憶領域の中に妙なノイズを見つけました]
新たに咲と契約を結んだ妖魔が私とナッツに直接伝えてきた。どうやらそれが咲が暴走する原因じゃないか?との事だった。

[まず実父に暴行させたとのことですがそういった行為を推奨するような契約は禁忌とされています。
では何故そんなことをしたのか]
『咲の二次性徴を早めるためだったと言う考え方と、その火星から来た女性クローンが既に狂っていたと言う説、最後に契約自体が異常な形態で結ばれていたんじゃないのか?と私は考えています』
珍しく私の中の女性クローンの意識が私を通じて語り出した。
『どう言うことなの?それは契約は契約でしょ?』
ナッツが口を挟んだ。しかし彼女の表情には思い当たる節があるように感じられた。
[違和感を感じたのは詩織があの人、咲の母親となるべき人物が契約書にサインと捺印をさせる時でした、あの契約書には不自然なスペースが開けられていたように感じられます。
後々、幸恵さんから聞いた話では一部のAV出演女優や性風俗店などがまだ若い少女を騙して法の目をかいくぐり契約を成立させてしまう方法だそうです]
『よくわからないんだけど』とナッツ。
[あなたがかつて夢中になっていた真田くんという男子生徒がいましたね、彼は自分が運営をしている購買部のパンに薬物、それも強力な淫媚薬を混入したパンを狙った自分好みの女子生徒に食べさせてそのパンを与える際に暗示をかけていました]

『うん、それは知っていた、だから春雨を本当は巻き込みたくはなかったんだけど、一流の淫魔として覚醒してほしかったから』
ナッツは言って続けた。

[ここから先は長くなるけど最初から説明をするね、最初ある日春雨の前に巨大な焼きそばロールパンを置いたよね、あ、返事は今はいらないから黙って聞いていて、パンには確かに春雨が感じていたように強力な淫媚薬が大量に生地に混入されて焼かれていた、しかも渡す人に簡単な暗示をかけていた、そうだなぁ、あの日あの真田くんとナマでやれるクーポンを10枚も私は買ったわけだけどどうしても彼の意思を知りたくてね。
そしたら案の定、春雨の目の前において食べさせろと暗示をかけていたの。
あ、春雨の言いたいことはわかるから、散々ブスだのブタだの暴言を吐かれていたよね。
ああ、言いたいことはわかるよ、あれは春雨が淫魔だと知った上での発言で挑発を込めて言ったわけなんだけど。
彼とやっていた美少女、生徒会長の明美さん、名前で気づいてもらえると思っていたけど一時的に名前と容姿をすり替えた私の分身だったの。
まああれ以上彼の被害を増やす訳にはいかなかったからね。

そこであの時のことを少し思い出してほしいんだな。]

そう確かあの時私とナッツのふたりは放課後に体育館裏の倉庫に真田くんに会いに行っていた。全てが彼の策略通りだったと言うことか?

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私とナッツは小さなガラス窓から中の様子を眺め始めていた。
高さが真田くんの腰の高さよりも少し低めに調整された跳び箱の台に美少女が裸にされていて仰向けに寝転がされていた。
もちろんその顔には見覚えがあった。
両足の太ももを開き気味に持ち上げられて真田くんの腰が押し付けらて美少女の股間はほとんど見えなかったが彼が腰を振るたびに跳び箱自体が揺れて軋む音が聞こえて来た。
それにシンクロするような少女の激しい喘ぎ声と時折聞こえる。
「もっと、もっと」っという更なる快楽を求める声。
「あ〜!」という叫び声と同時に少女の胎内に激流が流れ込む音が聞こえた気がした。
そままの状態で真田少年は執拗に腰を振り続けて美少女の胎に通じるあなの中に溜まっていた残りの液体を少女の胎の中にポンプのように送り込みながらも胎の入り口を何度も何度も叩き少女を喘がせて彼女の意識を奪った。
それからしばらくして彼は半開きになった書状の口に小さな錠剤を挿入するとキスをして唾液と一緒にながし込んだ。
それから待つこと10数分経った後、2人は倉庫のドアを開けて出て来た。2人とも服を着て身なりは整えてはいたが妙に美少女の方が真田くんの腕に絡みついて身を任せているのは気になったと言えばきになってはいたかもしれない。
「生徒会長の明美さん、こんなとことで会うとは思わなかった」
私は生徒会長である彼女がこんなスキャンダラスな行為をして良いのか?と彼女自身を咎めるつもりで言ったのに意外と反応をしたのは真田くんの方だった。
むしろ生徒会長の明美さんの方が意識を『ボー』させていて心ここにあらずと言った感じ?

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[ここまでがあの時の概要だったんだけど実際には生徒会長のあゆなさんはあなたと一緒に倉庫の裏で一部始終を見てもらっていた訳、自分が犯されている現場をね。
まあ彼女は青ざめた顔をして体を硬直させていたけど実際、もし自分がやられていたらどんな事になっていたか知ってもらう為に感覚だけは伝えておいたよ。

身体全体が異様に火照ってきている感覚は春雨が感じた通りだよ。問題は彼が前戯を済ませてあたし、明美の愛液を春雨が言うところの完熟マンゴーにひたひたにしたとことで一気に入れて腰を振り始めた辺りからかなぁ、私の血流のほとんどが生殖器周りに集中しちゃって、脳が虚血状態に近くなっていた。手や足は完全に冷えてあたし自身は気持ちがいいなんて状態とは言えなかった。
にもかかわらず側から見たあたしはあんな状態になっていた訳だ、どう思う?
奴はその後で薬をあたしに飲み込ませた。
避妊薬ではなく今考えると詩織さんが理事長の介護という名目で愛人契約を結ばされた時に注射されていたあの淫媚薬の錠剤版だったと言うわけね。
あたしはすぐそこに高級車が迎えられにきてもらい、最後に真田くんが囁いた場所に向かった先はあの巨大電気機器グループの理事長の部屋だった。
まあ当然、そこでひと暴れして逃げてきちゃった訳だけど]

『ちょっと何してきたの?まさか』と私、激しく嫌な予感しかしない。
『やだなぁ、春雨みたいに950kgの体重を利用して理事長の骨盤を粉砕したり肋骨全部へし折ったりするような乱暴な真似はしてこなかったから、心配ないよ』
『じゃあ何してきたん、ジャーマン・スープレックスとか理事長にかけてこんかったでしょうね』
心配そうに言った私にナッツは満身の笑顔で答えた。
『大丈夫だよ、あの理事長の中のあたしとあのクソババアの認識を入れ替えさせて理事長室のソファでばっこんばっこんするように暗示かけて来ただけだから』
ナッツは笑っていたが目は笑ってはいなかった。
『一つだけ警告しておくよ、今考えるとあのおばさんの体内にはもう妖魔は棲んでいないはずなんだ、咲と契約をして咲と一体化していたはずだからね』
『じゃあ両方と契約を結んだままふたりの間を行ったり来たりとか?』
私は疑問を挟んだけどその答えは既にもう出ていた。
『私があの理事長室で出会した女性クローンの中にいた妖魔は大した奴じゃなかったよ、でもあの時視聴覚室で戦った妖魔はどうだった?』

[確かに、あの時は違和感を感じました]
その時は私の中にいた、今は咲の中にいる妖魔が口を挟んだ。
[私たちには基本的に分裂する機能は持ち合わせていません、別の人と契約を結んだ時点で前の人との契約は解除になります。
詩織さんの事例はかなり特殊で詩織さんの身体の中にふたり分押し込んだから可能だっただけです、しかも]
彼女は言いかけて口をつぐんだ。

[うまく説明はできませんが私達は後継者を残せないはずなんです。
もし、あの視聴覚室での出来事が現実に起きたことだとしたらナッツがあの理事長室であった火星人に取り憑いていた妖魔はそれほどのレベルじゃなかったはず、しかしあの視聴覚室で戦ったアレは全く私達とは次元が違う悪魔レベルの強さだった]

『そうだね、視聴覚室でのアレはあたしでさえ手が出せない化け物だった、あの時あたしがまだ4才になって間もない頃にすれ違った奴とは桁違いな奴だよ、あたしが真田くんとやってフラフラにされた後で理事長室にいた女に取り憑いていたそれはほぼ同じレベルだった、あの頃に比べたら多少はレベルアップしていたけど彼女もすっかりあたしに騙されてあたしと信じ込んでいる理事長につらぬかれまくっていたから、それよりも倉庫のあいつ、真田くんに取り憑いていたやつのの方がよっぽどやばかった、あたしの能力はことごとく封印されて指先でさえまともに動かせなかったよ』
『それでも必死になって自分の擬態化は確保していたんだ』
私は感謝するつもりで言ったが身も凍てつくような答えが返って来た。
『あいつに取り憑いていた奴は別格だったよ、父親、理事長の命令でおとなしくしていたに過ぎない、あんたが自分が言うようなごく普通の淫魔ならほぼ意識ごと乗っ取られていた可能性があった』
そこでナッツは自分が肩を抱いている咲を見て言った。
『あんたの中にいたそいつは母親についていたそれとは全く違う、おそらくは理事長があんたの身体に植え付けた妖魔だったんだ』
[そうですね]
咲の中の妖魔は納得したように言った。
[契約ではなく性的な交わりによりDNAそのものに自分自身をコピーさせる方法ですね]
『じゃあもしかしてそれは私の本当の父親、理事長と火星人の母が交わることで新しい契約のルール、どころか次世代の妖魔を産まれてくる子供に植え付けることが可能になったということ?』
もしもそれをあの理事長が知ったらどうなるだろうか?
理事長自身が新たに来る火星人と交わり次世代妖魔を増やすことも可能だけどもっと手っ取り早い方法があったとしたら
咲の様な次世代妖魔に取り憑かせた女の子をいち早く二次性徴に育てて会長と生殖行為をさせれば3代目の妖魔が誕生してその数もさらに増える』
『そんな近親相姦みたいな事したら奇形児が生まれちゃうんじゃ?』
ナッツの考察に異論を唱えてみたら速攻でナッツは返して来た。
『いや、あいつらはむしろ最初からそれを狙っているんじゃないかな』
それを聞いて咲の顔が青ざめた。思い当たる節があるのだろうか?
『私以前、とは言っても9才を過ぎてからですが不思議に思っていたことがあるんです、私って全然パパと似ていないなって』
そりゃそうだよな、とは思ったが流石に真実は伝えにくかった。まさか本当の父親があの会長だなんて口が裂けても言えない。
『ママに似ていないのは最初から解っていました、見ていてわかるんです、自分と身体の造りそのものが違うなって、ママもパパも理事長や他の社員と違って口から咽喉を経由して食道を通り胃という袋状の臓器があるって学校の授業か何かで知ったんですがふたりともそれがないんです』
あまりにも真面目にいうので私とナッツは思わず『へっ?』と返してしまった。
『実は私多少は透視能力があって服の上からでも人の裸は覗けるし調子が良い時は人体の内部、内臓まで見えてしまうんです』
『ちょっと待て、火星で女性クローンの食肉用化が始まったのはいつくらいからよ』
私は少し吐き気を催しながらも頑張ってナッツの首を締め上げて問いただした。
『確か3000火星年以上は前だったかなあっ』
不誠実なナッツの答えだったが答えが見えて来た気がした女性クローンとは言え単細胞である限りいつかはストックをつく、つまり無限に作れるというわけではなかった。それで考えられるのが若い女性クローンが生み出す新鮮な卵子、それを体外受精させて人工培養器で育てる方法が考えられた、それによって産み出された男子は若いうちは普通に精子を含んだ精液を放出していたやがてそれを数回繰り返すうちに人体の内臓を始め骨まで溶かす溶剤を射精、いや射出する様になってしまった。
『ごめん、吐いていい?』
私は思わずレダの地表に向かって吐いたつもりだったがそれはすぐに跳ね返って来て私たちの身体全体を濡らした。
『おい、そういうことはもっと離れてからしろって』
ナッツはそういうが私我慢にも限界があるでしょうに。
ナッツは深くため息をつくと突風を起こして私達の身に付着した〇〇を吹き飛ばした。一瞬息が止まるかと思ったがそれでも〇〇まみれな状態を続けるよりはマシだ。私が吐いた〇〇は一瞬だけ解放されたシールドの上部に空いた穴から吸い出される様にして頭上の木星に向かって消えていった。そして一瞬だけ突風が噴き上げた。
『まあ、吐きたくなる気持ちはわかるけどさ』
ナッツはそういうと私が想像してしまった内容を語り始めた。せめてオブラートで包んでくれと心から祈りながらそれを聞くことにした。
要は女性クローンの圧倒的不足だ。男側の欲求は常に女性クローンを食用に回せと言ってくる、しかもなお自分が食べられるのは嫌だといったワガママぶりだ。
しかしながら火星の男は生後15火星年(地球時間で約30)過ぎると精子を生産できなくなり例の人体内部を溶かす溶液を射出するようになっていた、と言ってもそれは射出後、いしばらくすると飲料可能な液体に変わるらしい。
が問題はその生後15火星年を過ぎた男が女性体内に射出する時の快感と溶かした彼女達の内臓を飲み干した時の満足感を一度覚えてしまうとその男達はその感覚を忘れられなくなってしまった。
そして常に女性クローンに対する暴行事件、いや暴食事件は多発して収束することなく政府はやむを得ず男女の隔離に踏み切った。
それでも壁を壊して侵入してまだ培養器から出たばかりの少女クローンまで餌食にする外道まで出るようになってから政府も本腰を入れ完全隔離に踏み切ったというわけだ。
数百キロ以上離れた地下深くにに男女それぞれのシェルターは作られて女性クローンたちは安心()して一定期間置きに生殖器官から採取して数十人分の生の卵子を取り出され冷凍精子で人工授精すると人工授精培養器で育てられてすぐに食用に回される様になった。

生後15火星年を過ぎた男が射出する溶液と同等の薬品が作られて彼女たちもまた生後15火星年までしか生きることを許されなくなっていた。まあはやい話が先程の溶剤で溶かされて食用に回されてしまうということだ。
しかしそれは本当に彼女たち、彼らにとって生きやすい世界だろうか?
むしろ『自分達は死んでいるのと変わらないのではないのか?』と気づき始めた者もいた。
それは妖魔にとっての非常に都合の悪い事態となった。
男女の営みがなくなった妖魔にとっては行き場のない世界でしかなかった。まあ自業自得と言えばそうなんだけど。
そんな中今度はけつ〇〇事件が男のシェルターで頻発する様になった。強い男が弱い男の〇〇あなに無理やり入れて中に溶剤を射出して溶かした内臓のそれを飲み干されるというとてもエゲツナイ事件だった。まあ生産性がないと某国会議員に言われそうだがこれはどうなんだろうか?

『ちょっと!ナッツ!全然オブラートに包んでいない!』
私は猛烈にナッツに対して抗議した。ほら、咲だって青ざめた顔して気持ち悪そうだよ。
と思ったら不気味な顔をしてにへらにへらと怖い笑みを浮かべていた。
『ちょっと、咲がおかしくなったよ、あんたのせいだからね!』
私は猛烈に抗議をしたがナッツは相変わらずすました顔をして話を続けていた。忘れていた、こいつ宇宙最悪の悪魔だったんだ。

つまり妖魔にとっては死活問題に発展していた。まさか男同士の〇〇〇〇に射出する時の快楽ではそんなに満足度は満たされない、女性クローンとてみんながみんな自慰行為に耽るわけじゃない、女性同士の恋愛感情も芽生えにくくなっていた、それらは今地球で騒がれているLGBT問題とは関係なく生きる目標を失ったからに過ぎない。
『自分たちはなんのために生きているのだろう』と考える女性クローンが増えて、自分たちの生きがいを見出せる女性クローン、むしろそっちの方が圧倒的に少数派だ。
しかもこの火星の妖魔は昔ながらの男女の生殖行為における快楽の取得に固執し過ぎていた。
そんな世界になる様にいい加減な核反応炉や核融合炉施設の開発を火星人の耳元で囁いて大事故や放射性物質の無責任な放棄、その結果がこれだから自分達にこそ責任があるのだろう。がどっかの星のどっかの政治家と同じで彼らにも反省という一文字は存在しなかった。
もっともそれを一文字と認識すること自体が大間違いなのだったが。
やがてそんな世界に嫌気をさした約130人の男女の火星人は自力でロケットを造り地球にめざして飛ばした。
彼らは地球に到着すると同時に数百年進化した科学力で戸籍などの個人情報を最もあっさりと偽造し各国の政権や大企業の元に潜り込んだ。

『ちょっとグロい表現あったけどそれでいいよね、火星人さん』
[はい、多少は、一文字とかよくわからない表現がありましたがそれでいいです]

『問題はそこからなんだよね、火星人はそんな経緯もあって2000火星年以上固形食をほとんど口にすることがなくなり昔は地球人とほぼ同じ容姿をしていた。
しかしものを噛み砕く歯が不要となってそのためのアゴが退化して見た目が大きく変化した。そして胃もほとんど不要となり、子供を胎の中で育てる必要の無くなった女性クローンの子宮も大幅に退化していた』

『はい、いいですか、詩織としてききますが咲を産んだ時はどうしていたんでしょうか?私ごときの適当な透視では普通に子宮はあったように見えましたが』
とか言いながら咲の表情が暗くなり始めている、ヤバい、今にも泣き出しそうだ。
『私の母ではないですが私の実父が手を出した若い後輩の女性も実は火星人でした、彼女は詩織さんの例とは異なり自分の背丈にあった死体を見つけ出してその容姿に合わせて自分の周囲に彼女に見える様に暗示をかけました、でもごまかしきれないことが多過ぎました食事も液体オンリーでしたし子供ができた時の対策が取れていませんでした、子宮がほとんど退化して機能を果たさなくなっていました、後で彼女に聞いた話によると仮胎を探せなかったのが別れた理由だそうです』
『じゃあ私があの時、理事長の愛人にされかけていたってことなの?』とナッツ。
『私は確かにあの人の胎の中で育った、でもそれは他人から奪い取ったものだったみたい、詩織さんは覚えていないかもしれないけどあの時同じように理事長の世話を任せられようとしていた娘さんがいたはずです、私の母は医師を買収して正常な子宮を子宮がんと偽って全摘手術を行い自分の体に移植した様です』
[そう言われればそんな娘が私の目の前に座っていた]
と詩織。
『あーそのことね、お節介な誰かさんたちが放置したと思う?太陽系外から来た宇宙人が妖魔と契約を結ぶ条件に火星人の意識を一緒に連れ込む事を約束していたバカだよ?あたしと春雨が再契約をする際にもうひとりやふたりおおく居たってあたしは驚かなかったけどこんなヴァカだったとはさすがに想定もしていなかったよ』
ナッツは一気にまくし立てるようにしゃべった。
『理事長室の窓から突然突き落とされて即死だったそうです、遺体は公安警察によって処理されて1年後両親には行方不明のまま捜査を打ち切ると伝えられました』
ナッツはその後一転して落ち着いた口調で言うと私の顔を見て『お前が説明しろ』と言わんばかりに睨んできた。
ハイハイ、でもなんと言えば咲のもつその娘さんに対する後ろめたさを解消出来るかなんて私にはわからない。
[ありのままを伝えれば良いと思うよ]
詩織、ありのままって。私は覚悟を決めて咲に本当の事を伝えた。
『彼女が行方不明になってから5年後私は彼女の両親の前に夢の中で行方不明になってから5年後の姿で現れて元気だよって言っただけだよ』
私が言うと咲は大量の涙で前髪を濡らし始めていた。
やっぱり木星の引力は偉大だと思った瞬間だった。
実際彼女の両親と弟がそれで救われたか?と言われたら怪しいと言わざるを得なかったし私には彼女を彼らの元に帰してやれる能力はさすがに持ち合わせていなかった。
『ひと口に火星人とか妖魔とか言ってもいろんな奴がいるんだね』
感慨深そうにナッツは言うが本題はどうした?と言いたくなった。
確か次世代の妖魔がどうのこうのたろうとか言っていた気がする。
[すみません、ちょっとわかりやすいように表記するので、お願いします]
突然だけど私の中の火星人が口を挟んできた。地球に宇宙船に乗って着水して外に出た途端巨大地震による津波に巻き込まれて胸と腹に鉄筋を日本の貫かれて一緒に流されてきた同じく胸を木材のがれきに貫かれていたところを自分に取り憑いていた妖魔に『彼女と契約をして助けてあげて』と申し出たとてもおめでたくも愉快でおバカな火星人の女性クローンだ。もっとも詩織もさらに上をいく馬鹿で火星人の女性クローンと一緒じゃないと嫌だと駄々をこねて、妖魔も妖魔でそれをあっさりと聞き入れてしまうと言う馬鹿揃いの中でも群を抜く大馬鹿たちのひとりなのでどんな珍説が聞けるか楽しみだった。
[エッチな行為で出産した時に新たに妖魔が誕生するとは言っても私が住んでいた星、ここで言う火星なんですがここ2000火星年、地球時間で4000年ほどずっと人工授精と人工培養器子孫を残してきたので女性クローンと契約をしていた妖魔のみが生き残って、生まれた男性には妖魔が取り憑かれないまま男性シェルターに運ばれるのでそちらの妖魔も増えようがなかったんです。

     
単細胞の採取→→→→→→→→→→→→→→→→↓
女性クローン複数の卵子→→→みんな男性 女性クローン
        人工授精     ↓ ↑人工授精
若い男性→→→精子ほとんど食用 若い男性精子

まあそんな流れでいいんじゃないのかな、って思う部分はあるんですけど女性用シェルターの女性に取り憑いていた妖魔はほぼ横ばいか微増、そして男性用シェルターの男性に至っては激減していました。
そしてさっきナッツが指摘した通り火星人の身体の構成にも変化が生じました。あごや歯は宇宙船に備え付けの整形手術マシーン『takasu』でなんとか地球人の見せかけに近づけることが出来ましたが問題は胃袋と子宮の退化による出産ができないと言う現実でした。
そこで双方の妖魔は話し合い男女ひとりずつでひと組搭乗可能な比較的小型な、とは言っても宇宙船に乗せてこの星、地球の侵略、じゃない進入を試みました。
と言っても男性側の妖魔はもう絶滅危惧種だったので女性クローンのみが妖魔に取り憑かれたまま契約を結んで地球に出発したんです。
だから別に咲の父親が火星人だとしてもなんの不思議もないのですが環境が変わったせいか、それとも男性側に妖魔が取り憑いていなかったせいか奇妙な事例が起き始めました。
ひとつは男性が精子を含んだ精液をいつまでも生産が可能になっていた事。
これは多分、男性側に妖魔が取り付いていなくて契約を結んでいなかったためじゃないかと思うのですが。
もうひとつは女性クローンが今までなら排卵と同時に生理もなくほぼ直通で外に排出されてしまっていたので入り口というか出口で貴重な卵子が潰されてしまう確率が高かったので排卵期前後には厳重な排卵の管理が必要だった。
ところが火星人の男性は言うに及ばず地球の男性といちどでも性行為を行えば過去の火星人の女性もそうであったように普通に排卵期が近づくと子宮内膜が厚くなるようになって一定期間内に受精して受精卵となった場合着床するようになったのはわかりました。
しかしそこから先、その受精卵が細胞分裂を繰り返して胎芽になった時にその子を包む胎嚢(たいのう)が作れないことがわかりました。
厄介な事にその子宮も大きく膨らむことのできないのでその胎芽は育つ事なく子宮の中で壊死する事になることも地球に到着して1年さえ待つ事なく判明しました。
その頃火星人仲間の間で不快な噂が流れ始めました。
『仲間のうちの数人の女性クローンが権力者に取り入って地球人の思春期の少女の子宮を移植手術で奪い取ったらしい』
と言うものでした。]

あ、それが咲の母親に関する事で、出産という行為がいかに悪阻(つわり)という何もかもが気持つの悪くなる時期、そして胎の中でだんだんと育ち重くなってゆき、足元の視界をさえぎるそれを抱えながら生活を続けていくという重労働を半年以上長期間にわたって続けさせられるのに等しい事を咲の時で痛いほど身に沁みたので詩織に丸投げしたんだなとわかった。

[私が、正しくはしおりんがあの連中に春雨の受精卵を受胎させられた時に既にその中にまだ眠っている新たな妖魔の存在に気がつきました。
それは一旦目覚めれば私と契約を結んでいた妖魔など比較にならないほど凶暴なものでした。
私と私と契約していた事のある妖魔は話し合いもしもその妖魔が目覚めて暴れ出した時の対策を考えていました。
その結果、私が胎芽だった春雨の中に棲みつくことにしたのですが

何故か春雨が私と逆契約をする事になってしまったのです。]

『ほーらみろ、やっぱりこの火星人、とんでもない大ボケを言い
出した』
私がそういうと久々に私の頭にナッツの鉄槌が下された。
『あんた自分が淫魔だってこと忘れているでしょ!』
忘れてたよ、色々あり過ぎて。

『あ、ということはあの真田くんが言っていた濃硫酸とかいうやつは』
私はあの時自分の体内に大量に注入されていた刺激臭のする液体を思い出していた。
『そう、つまり、真田くんは火星人の女性クローンと地球人か火星人の男性と交わってできた子孫という事になるね、しかも火星にいた妖魔とは桁外れに強力な支配能力と肉体改造能力を持った次世代の妖魔と契約済みの化け物じゃないのかな?』
私が言うと確かに理事長と関係を持ち身籠った火星人の女性クローンクローンと結婚をして新原子力エネルギーの開発プロジェクトリーダーに収まった男の姓が真田だった事を咲は思い出したと言った。
『もうすぐ5歳になる頃に理事長の就任30年を祝して私たち一家も集められましたがその真田忠広図書対面した時の印象がとにかく身も凍てつくようなイメージしか記憶に残っていなかったです』
あれほどのポテンシャルを持った妖魔が実際に棲んでいた咲だったけどそんな彼女でも命の危機を感じたと言う。

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ここからは咲の家庭教師をやる事になった。
咲の父親にドラッグレイプされた女性クローンの回想になる。

少なくとも火星から130人、65組の男女が侵略、じゃなかった来訪して地球人になりすましているのはわかった。
問題はある時期を境にあの火星にあるどちらの地下シェルターとも連絡が取れなくなった事だった。

私は運悪く東北地方の海に着水してしまい、その直後に発生した巨大地震によって発生した大津波で私と彼が同乗していた宇宙船は激しく波に揺られてたが一旦は収まり安心していた。
私たちは数百年以上もの長い間、海どころか水溜りもない世界に住んでいたのでその津波に第二波、第三波というものがあるという事を知らなかったのだ。
彼は油断したのか安心して大気の気圧や温度、そして成分などを確認すると安心して宇宙服を脱いで宇宙船のハッチを開けて外を見回していた。
陸地はどうもみえそうもなかった。
「君も外に出て・・・」
と言いかけた直後、彼は叫んでいた。
「ヤバいさっきのよりもでかい壁が来た!」
私も宇宙船内の窓からそれを見ていて絶句した。
それは確かに水の壁としか表現が出来ないほどこんな宇宙船など簡単に飲み込んでしまいそうなほど遥かに高いものだった。
頭の上で『バタン!』と大きな音がした、彼が宇宙船のハッチを勢いよく閉じた音だった。
宇宙船は巨大な壁に飲み込まれて上下左右に激しく回転しながら揺れて油断して、ヘルメットを外していた私も頭をコクピットの中の何かに激しくぶっつけて意識を失っていた。
気がつくと私はなだらかな砂地の上に打ち上げられていた、としか表現のしようがないのだが、反対側には広大な深く青い、いやきみ悪く濁った水たまりが見えていた。

彼の体内から発生している位置情報はその水たまりのはるか向こう、遠くから送られて来ていた。
しかし彼の生体反応は全くなかった。
脈拍ゼロ、呼吸も測定不能、脳波も感知できなかった。
おそらくは生きてはいないだろう。私は感情もなく火星に残された仲間に連絡を入れた。返って来た返信によると私達が1番最後の到着組らしい。一応きかれなかったので彼の死は伏せておく事にした。
早速、作戦プランで調査済みだったこの星、この国の情報管理システムに侵入して私の名前と戸籍、所属を登録した。
風間亜希、適当に打ち込んだその名前がどんな災いを私にもたらすのか私は理解していなかった。
〇〇電気グループの通信機器開発部門の新入社員。
私は宇宙船に搭載されていたエアバイクでそこまで移動する事にした。
それは割と近い位置にあり私は何食わぬ顔をしてその会社の本社ビルの中に紛れ込んだ。

仕事も慣れた頃、私は思わぬ人物に遭遇した。相手の名前は知らないもののその男性は明らかに自分達の星から来たお仲間さんだ。
どうやら相手は気が付かなかったようだったが私はあえてスルーする事にした。

この星に来てから何日過ぎただろうか?私の頭に植え込まれていた呼び出し音が突然鳴り出した。相手は親友だった女性クローンのひとりG 5789ロットの237135番だった。
私はポケットにいつも忍ばせている端末を通して海底に沈めておいた宇宙船にて本星と連絡を取ろうとしたがよほど大変な状態にあるらしくて取り乱したシェルター内の様子が私の脳内に映像として一方的にしゃべってくるだけだった。確かに彼女の目の前には裸になって逃げ惑う女性クローン達を捕まえて殴り、蹴って服を脱がすと四つん這いにさせたり、腰を持ち上げたりして犯し始めている男どもの姿が映されていた。

「もうめちゃくちゃよ、あの連中は精子と培養器から産まれた男児を運ぶ通路の場所に気がついてそこから女性専用シェルターに大量のおココg・・・・あーやめ、てっぇ、あ、ああー」
彼女自身も正面から来た男に殴られて蹴られると仰向けに押し倒されてスカートを捲り上げられると上から覆い被されられて激しく視界がゆれだしていた。
そこから先は彼女の激しい喘ぎ声が私の脳に伝わって来て気色悪い液体が彼女の口当たりから勢いよく噴き出すのが見えた。
それからさして時間を置くこともなく彼女の生体反応は消えていた。
もう私はその場で泣き崩れてしゃがみ込むことしかできなかった。

しばらくは何もする気にもなれず会社を休みがちだったある日、愛知県の子会社への転属命令が出た。もうその時はすっかり忘れてしまっていたけれど男の人と一緒だったので同胞の男よりはマシと油断したのかも知れなかったし、実際に彼は優しかった。
そんな心の隙を突かれたのか私は以前すれ違った事のある同じ星から来た男としり、優しくされてついうっかり一緒に食事をしていたら意識が遠くなっていくのを感じていた。
最初は慣れないこの星の酒のせいだと思っていたがそれだけでなかったようだ。
気がついたら私は裸にされていてベッドの上に寝かされて腰を両手でつかまれて今まで使ったことのなかった穴にあの友人が送ってきた男が彼女に差し込んで中から射出した液体で溶かした先が膨らんで穴から抜け難くした形状の太い棒状の肉の血走ったモノを深く差し込むと激しく腰を振り始めていた。
私は腹の中に不快なものをねじ込まれて気分が悪くなった上に激しい鈍痛と同時に時折感じる全身を貫く快感に酔いしれて、また激しい鈍痛の襲われることの繰り返しだった。
私の中にねじ込まれた棒状のものが激しく脈打つと私の胎は何回も腹の中から強く殴られた衝撃を受けて私は激しく首を横に振って叫んでいた。
それが収まってしばらくは呼吸困難なほど息を荒げていたがすぐに休ませてもらう暇もなく奴はその太い棒状のモノを差し込んだまま激しく腰を振り出した。
何度か息を切らしながら気を失い意識を取り戻すたびにどうして自分の身体が溶かされてそいつが私を飲み干さないのか不思議に思い始めていた。

その男は私に数枚の紙幣を投げつけるとぶつぶつ呟きながら部屋を出ていった。

『咲が男だったらこんな事にならなかったんだ、恨むなら岡浜咲を恨め』
男は無責任にも何度かその時に撮った動画を加工して自分だけけが誰だかわからないようにしたムービーネタに脅して「会社にいたければ俺と関係を続けろ」と脅して来た。
しかもその動画は私が誘惑しているようにしか見えなかった。それは相手に妻子がいたことがわかってからだ。
どうやらその動画は何者かによって社内の共有端末で拡散されてしまっているようだった。
そしてズブズブの関係が続いたまま2人はラブホなる場所で密会を続けていた。
関係を拒めば動画に映っている女の正体が私だと脅してきた。

その後数週間して私は吐き気とめまいで倒れて強制的に病院に運ばれた。
病院に自分から行けなかったのには理由がある、中の臓器を映し出せる検査などされればすぐにこの星の住人ではないことがわかってしまうからだ。
しかし運ばれた病院はとてもまともな病院には思えなかった。
どう見てもこの星の住民とは思えない人間がウヨウヨしている。
その途端に自分の不安が取り越し苦労だった事に気がついた。

検査の結果私は妊娠というモノをしてしまったらしい。
院長の葉類智恵に言わせると私の子宮には伸び代がなくお腹の子は成長する段階で子宮の中で圧死してしまうらしい。
しかし電話でその相手の男に相談したしたところ意外なところから圧力がかかった。
どうやら理事長の指令で堕胎せざるを得なようだった。
その手術料を誰が出すかと言ったら私が自腹で出すしかないらしい。
「親に相談すればいいじゃないの」
葉類智恵院長は簡単にいうが私の両親はデーター上に偽造された人物で実在しない。目の前が真っ暗になって絶望していた時、上から声がした。
「へー、これが例の火星人さん、なんならそのお腹の中の娘、預かってもいいよ」
とんでもない事を言い出した馬鹿がいたと思い顔を上げるとこの星で言う小学生くらいにしか見えない黒い髪の毛を後ろの上の方でしばったポニーテールの女の子が机のうえにちょこんとすわっていた。
「これ、亜希、はしたないですよ机から降りなさい」
ミニスカートをはいた股を全開にして今にもパンツが見えそう・・・いや見えなかった、履いていないので丸見えだった、女の子の大事なものが。
思わず目を逸らしてしまった私に彼女は言った。
「へー、あんたってあたいとおんなじ名前なんだ」
そう言いながら自分の大事な場所を触ってうっとりしている。だめだ!こんな奴と関わったらろくなことがない。
「へーあんたは妖魔持ちなんだ、私は淫魔、夜露死苦な」
「亜希、それよりもあんたはちゃんと学校に行っているの?」
「中学?なら行っているけどいつも寝ているもん、だって淫魔の活動時間は夜中が多いよ?」
そんな事を言いながら人のカルテを勝手に読んでいた。
「へー、あんた面白いね、なんならそのおっさんをたぶらかしてスキャンダルで社内に居られないようにしてやろか?」
割とマジな目をして言っているし本当にやりかねない娘だ。
「まあまあ、とにかくその娘は預からせてもらうからね」
彼女はそう言うと私のお腹に手を当てて何やら呪文を唱えた。
「契約成立ね、あんたと契約をかわしていた娘、妖魔ちゃんには契約解除してもらったからね、これからよろしく」
私と彼が本社に戻った頃には何故かもう2人の関係は暴露されていた。しかし奇妙なのは私を脅しに使った写真は一枚も存在しないで代わりに私の顔が黒く塗りつぶされて誰かわからないように加工されていた。しかもどう見ても誘惑していたのは私ではなくて彼が私の身体を弄んでいるようにしか見えない写真ばかりだった。

その時思い返せば私は彼女、私と契約を交わしていた妖魔には返しても返し切れない恩義があった。
〇〇電気グループの通信機器開発部門に入社して数日後に私はいきなり理事長室に呼ばれた私は解雇通知をされるとは思ってもいなかった。

「君を今日限りで解雇する」
そう理事長に言われた時はショックだった。
そう、その時に私は会長の愛人になる事を拒んでほとんど転属に近い形で長期間、子会社に転属させらせていたのだ。
私があの女、とんでもない化け物級の妖魔が取り憑いた咲という幼女の囁きに思わず理事長に自分の身体を任せそうになってしまった時に身体中に電撃が走るようなショックを与えて拒絶させてくれたのは他ならぬ私が子供の時から一緒に過ごしてくれていた妖魔だった。
私に取り憑いて契約を結んでいた強い妖魔でなく並の妖魔だったらとっくの昔に私は理事長の性玩具と成り果てて飽きられたら捨てられていたかも知れなかったのだ。飽きられなかったとしても孕まされていまとおなじ目やもっとひどい事になっていたかも知れない。
ただ、その代償として私は解雇の代わりに数ヶ月後の子会社への転属を命じられていた。

しかしあの時はそんな強い妖魔である彼女もすごいショックを受けていた。あの男たちに悪知恵を与えて女性専用シェルターに侵入させてほとんどの女性クローンを食い尽くさせたのは自分の仲間だった妖魔だった。
しかもその件にはどうやら一部女性クローンと契約を結んでいた妖魔が彼女たちを操って招き寄せたらしい。
おそらくは私を守ってくれていた妖魔も深い絶望に叩き落とされていたのかもしれない。
私はの時、自分の妖魔のせいにしていた自分を悔やんだ。
私がもっとしっかりしていさすれば。

その思いもあって私は彼の元を、そして忌まわしき理事長と私を欲望の渦に巻き込もうとしていたあの咲と言う妖魔から逃れるために〇〇電気グループ自体から抜ける事を決意して辞表を書いてそれを自分の机の上に置いて次の日から別の土地で慣れない飲食店ホールの仕事につく事になった。

とは言ってもシフトはガラガラで大した収入にはならなかったのでバイトに小学生の家庭教師を勧められてやってみた。
最初はちょとオマセですけべな男の子、そして何年目かに紹介されたのはあの忌々しい岡浜咲だった。
最初は断ろうかと思っていたが私の中の淫魔が自信たっぷりに『大丈夫!』と言い切ったので引き受ける事にした。
実はその時に宇宙船から送られてきたG 5789ロットの237135番からの最後のメッセージで男どもが暴走したらふたつのシェルターに仕掛けられた核融合炉の暴走抑制装置が機能喪失される」とお送られていたことに気がついた。
そしてその後のあらかじめ用意されていたと思われる自動送信が心を凍てつかせた。

[あいつら最初からそれが目当てだったんだ]

私と咲の家庭教師の時間はいつもピリピリと空気が張り詰めていた。
なぜかと言うと咲に取り憑いていた妖魔と私についていた淫魔がいつも睨み合いをし続けていたから。

しかしある日突然にその均衡は崩れた。
3人の招かざる客人男がこの保安完備の行き届いたマンションに施入してきた。
他の2人はこの星の見知らぬ住人だったが1人のは思い当たる節があった。私を酒に混入した淫媚薬で酔わせて強姦した男だった。
「パパ、おじさんたち、この生意気なクソ女を淫魔ごと3人で犯しまくって、もういちど孕ませて」
9歳の女の子とは思えない発言だったがおそらくはあの時の身も凍るような妖魔が言わせているのは明白だ。
しかしピンチなのには1nmさえ違いがない。あいつの強力な暗示力で身体が動けなうなったと感じた時いつか見たポニーテールの女の子がこつぜんと現れて、まず私を数年前に犯した男に顔ボコパンチで床に沈め、他のふたりもダブルラリアートで床に沈めた。
「なぜだなぜお前には私の強制暗示が効かない?」
何故かうろたえだした咲に私は唖然としたが
「まあこいつとあたいはツーカーなんでさ、下手なことはしないほーがいいと思うよん」
ポニーテールが言うと妖魔も負けじと言い返した。
「ふん、ここもじきに火星のようになるさ、核エネルギー、核兵器、水爆、核融合炉、それらは全て妖魔の糧となり増殖エネルギーとなる」

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『今思い出した!』
咲が突然に大声で叫んだ。
『あいつら私の中に棲みついていた妖魔がポニテの女の人と喋っていた、』

火星の妖魔は一気に全員の青年期を過ぎた男をたぶらかして女性シェルターに住んでいた女性クローンを培養器の中にいた幼い娘も含めてほぼ全員食い尽くさせてエネルギーが高まった時点で女性クローンたちが万が一の時に他の星からの来訪者に迷惑がかからないようにセットした自爆用に用意しておいた核融合炉の暴走抑制装置が自爆して核融合炉が暴走を始めるって、でも私の中の妖魔は言っていたその暴走状態こそが我々妖魔にとってこれ以上ないほどのご馳走になるって

それは亜希という淫魔に対してだけでなく私、波瑠沙芽とナッツ、夏野明美、そして星紫亜に対する勝利宣言とも取ることができた。
火星の衛星軌道上で見たアレは火星人が全滅した後に残された今もなお、ほとんど放射線で焼き尽くされている火星地下シェルター内で増殖をし続ける妖魔の今の姿であり、そして今は小惑星帯となった惑星がまだ星の形をとどめていた頃に発生した異形の生き物の末裔だった。

『じゃあはやいとこ地球に帰ろうよ』
私がいうとナッツと咲と3人でレダの大地を離陸すると木星を公転方向に一周するように回り込んで地球を目指して加速していた。

ハルサメとナッツ10 陽は沈んだのか?

11に続く


#宇宙SF

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