ハルサメとナッツ-1 クレーター・クレーター

ハルサメとナッツ-1 クレーター・クレーター


毎回とは限りませんが今作はエログロ描写や官能描写を多大に含みますので20才未満の閲覧はご遠慮してくださいね♪
なお現実と烈しく乖離している部分が多いですよ
あくまでもフィクションでさえないデタラメですから。
なお春雨とナッツ1 パワハラ・・・の前日譚となります、時系列がアレでごめんなさい


今日は久々のナッツと私、波瑠沙芽(はるさとみ)はちょっとこの星を離れて散歩することにした。
私もナッツもマトモな人間じゃないんで宇宙服なんて面倒なものはいらないし酸素とか水も基本的には不要だ。
ただ何もなしでは口元が寂しいので背中いっぱいに背負ったくそ大きな耐熱耐酸性完全密封リュックには約57kgのいろいろな味のチューブジェリー飲料食品を私が、ナッツのリュックには70kgを超える大量のナッツ類の入った缶が入っている。
重力場制御?そんなもの知らんがな、服だって何も着ていないすっぽんぽんの丸裸だし、淫魔と悪魔(サタン)にそんな細かい設定を求めるのが間違っている。
まあふたりの見た目は今の所はそろって大層な美少女だと言っておこうか。
ナッツも私も見たもはまだ幼い感じの小学生5年に入り立てくらいにしか見えない。けれど私らは誰がどうみても美少女だと自負しとる。
「うん今日は天気も絶好調で私たちの打ち上げにはピッタリの日だね」
私がそういうとナッツは珍しく私に言った。
「なあ、何でああそこまで行くのにあたしたちの本性を隠して、先の尖った尻尾も黒い翼も隠さないといけないんだ?」
「何をバカなこと言っているの?ナッツちゃん、これはこの星の迷彩コスプレだよ、風俗店に行くとこんな姿でサービスしてくれるでしょ」
私は何の躊躇もなく言ってのけたがもちろん嘘だ。
そんな姿でどう見ても小学4年生になりたてくらいにしか見えない容姿の可愛い女の子がそっち系のサービスを期待する客を相手にその手の店の店内に立てば速攻で通報されて両者共に逮捕、補導されるだろう。
「仕方がない、春雨ひとりに行かせるとどんな悪事を働くかわからないから着いて行ってあげるだけだからね!」
ナッツはそう言うと自分の右手をわたしの左手に繋ぎ東の空を目指して飛び立ち始めた。
「ねえ、この星の上をグルグル回れるようになれるにはどれくらいの速度が必要なの?」
私はそれとなくナッツにきいてみたけどしばらく返事はなかった。
「やーい知らないんでやんの、日頃私には偉そうな態度とるくせに、もうすぐ言うよ、きっと、ググれカスってね」
先回りをして言ってやった。
「音速の約20倍、世間一般ではそう言われているけど、あたし達みたいに魔力で飛んでいる場合はその定義が当てはまるかどうか、それにシールド張って浮力とかも無くなっているし」
少々困惑したようなナッツの返事が返ってきた。
まあ今のうちにサラッと人間形態時における2人のスペックを紹介しておこう。ナッツは誰の目から見てもはっきり言って美少女だ。身長は165cmくらいだが胸はDカップは余裕でありそうだ。これで戸籍上は10歳なのは恐ろしい、顔は想像に任せるがエリカ似と言えば想像がつくだろうか?えっ?美少女じゃないだろって?黙れ!私が美少女だと言ったら美少女なんだよ!
そして私、波瑠沙芽(はるさとみ)もびしょうじょだ。
なぜ漢字じゃないんだって?余計なところ突っ込みやがって、私の顔は多少アレに似ているんだ。どんな強敵もワンパンチで倒してしまうようなやつになぁ、おっと、そこでキャラ名を言うんじゃないぞ、またパクリ疑惑が浮上してしまうからな。
背も見た目だけで私の身長は150cmもない、下手をすれ140cm代に見られてしまうことも多い、しかも胸はしっかりと下着屋で測ったことはないがBカップくらいだ。だがそんな奴が淫魔だろうが何の問題もない、要は男の精液を吸い尽くす能力があればあとは何とでもなると言うものだ。
そうしているうちにナッツは大きな人工衛星の窓にしがみついていた。
そんなにも大きな窓でははなかったが彼女の関心は人工衛星の中の様子ではなくその衛星に貼られているパネルに刻み込まれてある文字のようだった。
「うーん、よくわからないけれど中東のどこの国でも原子爆弾並みの破壊力で地上攻撃出来る粒子砲みたい」
ナッツは繋いだ手を通じてそう言ってきたけどあんた、その窓から透けて見えるツルツルのオ〇〇の方が破壊力あるから!3人乗っている男性搭乗員がみんな鼻血を噴いて倒れているよ、3人いる女性搭乗員も・・・。
「あー、あー、あんたのワレメちゃんから滴る液を見てか、女性搭乗員も興奮し出して自分のズボンの中に手を入れてしこり出したよ、その勢いで3組の男女が全裸になったアベックになって子作りに励みだしちゃった、任務そっちのけでSEXしているし」
「スターチャイルドの誕生も確実ね」
ナッツはその光景を見て『クスクス』と笑いながら私と彼女の繋いだ手のひら越しに会話をしている。
モニターの画面の向こうでは司令官らしき人物が何やら喚いていたがモニターに映った全裸のナッツの股間にあるツルツルのマ〇〇を直視してしまったのか、盛大に鼻血を噴くとそばにいた美人秘書に襲いかかった。
「シーラないっと」
ナッツは無責任に私と向かい合わせに抱きあった体越しに伝えてくると人工衛星を離れて更に加速をはじめた。
「今度は地球から離れるから音速の40倍は軽く超えるからね」
そう伝えてきた彼女は何かを憂いているような気がしてならなかった。
文法的にはおかしな気がするけどそんなことは瑣末な気がしていた。
「あたし達が帰って来た頃には地球があるかどうか」
彼女はそう言っていたような気がする。
「眠りましょう、金星の近くを通るまではまだ2年近くかかるから」
ナッツはそう言った。
「え?何でわざわざ金星を経由するの?まっすぐに水星に向かった方が早いと思うんだけど」
正面から抱き合いながら私が言うとナッツは私の額に自分の額を押し付けて来ていった。
「重力場というのはね砂地獄、というと例えが悪いんだけどすり鉢状のものを想像してもらえばいいかな?」
彼女は言うが私にはわかったようなわからないようなモヤモヤ感が溢れていた。
「ちょっと例えが悪かったかな?その大きなすり鉢を春雨にもわかるように例えるならカジノとかであるルーレットかな?」
「そのルーレットそのものを太陽に例えるならその周り、を回っているのが地球や金星、水星とする、実際には太陽も惑星も回っているんだけど最初から勢いよく回っている訳じゃないからやがて自分のポジションにに収まる、まあそれはそこまでにしておくけどそのすり鉢、ルーレットから飛び出そうとするにはどうしたら良いのか、春雨ちゃん、答えられるかしら?」
しばらく私は考えた、元々が淫魔なものだからエッチなことしか考えられない体質なもので。
「もっと、勢いよく回れば脱出できる、でしょ?」
「まあ実際にはルーレットの外周には高い壁が設けられていて飛び出すことはなさそうなんだけど」
「そして赤と黒の数字が並んだ週列よりも下に落ちることもない」
ナッツは付け加えることを忘れなかった。
「これはさっき私たちがやった地球の重力圏から脱出する方法、音速の約20倍の速さで地球を周回する軌道に乗って、さらに音速の40倍以上の速度で回ることによって地球の重力圏から脱出出来た、じゃあ太陽方向に向かうには?」
「わ、わくぁらーん」
私はパニクって意味不明な事を言い出したようだ。
地球の公転速度を加算して音速の150倍くらいに達すれば太陽の重力圏から脱出が可能と言うことのなる、ただ実際には地球自体が太陽のおまわりを公転しているのでその公転方向に飛べば音速の60倍以上の速さで飛べば船は太陽の重力から逃れてより外の方向に飛んで行ける計算になる、かな?」
かな?ってなんだよ、その無責任な言種は、ちゃんとわかるように説明をしろよ。そう思ったがナッツ自体専門家じゃない、難しい説明を求めるのは酷かもしれない。ただそう思った時にナッツは付け加えた。
「もし地球を離脱するタイミングが、地球が太陽に対する公転方向と逆だった場合は音速の90倍程の速度が減速されるから音速の240倍以上は出していないと太陽の重力に引っ張られて落下していくことになる、かも」
かも、って何だよといい加減に突っ込みたくなって来た。
「もちろんそれだとどんどん太陽に引き込まれる速度が速くなってしまうからそんな事はやらない、軌道修正を行いながら太陽に向かって落下してゆく方向に向けるんだけどそれだとそれに合わせて減速を行う必要が生じるんだ」
「はあ、でもその都度減速をするか軌道修正をかければいいんじゃない?」
「あたし達は無限にエネルギーを使えるととしても地球の人間達はそうも行かないんだよ、宇宙船には限りあるエネルギーしか搭載出来ないからね」
ナッツはそう言うと目を閉じて夢を見始めていた。

彼女が意識を持ち始めたのはまだこの太陽系が今の状態になる遥か前の事だったと聞く。

広い空間に少しずつ集まり始めたガスの塊はやがて中心部を作り、その中心部がまわりを引き込みながら収縮を始め、その巨大なガス、の塊は自らの重力場によって更に収縮をし続けてやがて中心部が熱を持ち出して巨大な核融合炉のようなイメージとして彼女の記憶に残っていた。
その周囲にも様々なガスの集まりが無数に出来てあるものは金属を中心として、あるものはヘリウムなどさまざまな元素によって形成された星が生まれ、それぞれがひかれあいぶつかって、時にはくっつき熱を持って燃える球体となり、あるものはぶつかることで砕け散ってその破片がたまたも近くにあった燃える球体に吸い込まれるように堕ちてゆき取り込まれた。

うとうととしていた私はナッツの夢の中で彼女に語りかけた。
「この時、ナッツはひとりだったの?」
少しして私の胸に答えが返って来た。
「あたしは過去に知的生命体が住んでいた星系を壊滅させて来たお尋ね者だからね、神様にとっては目の敵なのよ」
「でも今あんたが夢で見ていた風景は数十億年は過去の風景、ずっとあなたは1人で・・・・・」
そう言いかけた時に彼女の頭の中にあったひとつの星系の終末が見えて来た。
その星系はひとつの恒星に3っつの知的生命体を持つ惑星が誕生していた。
ひとつは地球と同じく炭素と水素で構成される生物が住み、知能を持ち進化して文化を形成していった惑星だった。
そしてもうひとつは重金属、とは言っても主に何種類のウラニウムと水素とヘリウムなどにより構成された奇妙な形態の生物が誕生した惑星だった。
そして最後はそのどれでもない一見岩だらけのクレーターが地表に無数に存在する一見死の世界だった。
互いは文明がまだ未開だった頃は何の問題もなかった。
しかしそれぞれの生物の文明は発達して行き池上を走る乗り物を発明し空を飛ぶ乗り物も生み出していた。しかし文明は別の側面も持ち始め思想という目に見えない概念を生み出した。
それがその星の中での宗教や文化などの違いから摩擦が生じて争いが生じて互いを攻撃、殺戮する為の武器、兵器を生み出した。
炭素と水素の化合物による生態系の惑星、ウラニウムを中心とした、水素とヘリウムな度に構成された惑星では同種同士の争いがいくどとなくくり返されててその人工は増えたり、減ったりを繰り返していた。
「でもクレーターだらけの星には生物はいなかったんでしょ?」
私はナッツに問いかけた。
「それがちゃんと存在していたのよ」
ナッツは一言いうと世にも奇妙な話を語り始めた。
その星では伝導体と絶縁体そしてシリコンなどの半導体もして時折微弱な磁気嵐と微細な電流が流れていたという。
それらは普通生命になり得るはずがなかったがある日突然に電子回路を持った岩のかけらが生まれたという、最初は電卓程度のものだったがやがて複数のその岩のかけら同士が繋がって更に大きな回路を形成するようになった。
と同時にその回路は自分自身で進化を始めてそのプロセスを微細化していった。
最初は地球で言うところの電卓に毛の生えた程度の代物がやがて8ビットCPUと数メガバイトの記憶容量を持つ岩の塊になり、16ビット、32ビット、64ビットと進化するにつれて記憶容量も数Gバイト数テラバイトと進化して行きその岩の塊同士がコミュニケーションを取るようになった。
それから演算回路は量子化して更に先の自ら考えて判断を下すことの出来る擬似生物になるまで進化をしていた。

一方他のふたつの惑星ではロケット技術が発達をして成層圏、宇宙まで出る技術をそれぞれが獲得していた。
そして遂に互いの存在を知る事となったふたつの種族は接触する度に対立、争いを起こし、すぐに相手との交際、親交が不可能であることに気がついて絶縁することで一応の解決を見た。

「ほら、春雨、起きて、金星だよ」ナッツに起こされて前を見ると金色、と言うよりブロンズ色に輝く星が迫って来た。
「あの星の重力場を利用して一回だけ減速するから」
ナッツはそう言うとその金星の成層圏ギリギリを通過した。
「なんか体が少しだけ溶けちゃった気がするんですけど」
私が言うとナッツはグッドサインを出して笑いながら言った。
「大丈夫、あたし達が背負っているリュックは耐酸性だから!」
「でも何で私とナッツのすべすべの綺麗な肌がドロドロに溶け始めているの?」
私は不安になって思わずきいてしまった。
「何でかって?そりゃ金星の大気の周り成層圏付近はとっても濃い濃硫酸のガスで包まれているからよ」
あっさりと返事をしやがった。
「そんな場所で人は生きていけるの?」
恐る恐る聞いてみた。
「あ、それね、ほとんど心配する必要はないと思うけど?たかが97%の二酸化炭素と3%の窒素、安心でしょ?気温が高いのがたまにキズだけどせいぜいが475°Cを越えるだけだし、まあたまに濃硫酸の雨が降るかもだけど安心して住める星でしょ?」
ナッツは簡単に言ったがどこが安心して住める星じゃ!私達魔族じゃなかったら簡単にあの世行きじゃないか!
「まあまあ、ここは単なる通過地点だし、春雨の肌ももうツヤツヤでしょ?」
ナッツに言われて確認すると私とナッツの素肌は元のツヤツヤピチピチに戻っていた。
「さあて、まだ着くには時間がたっぷりありますから夢の中で昔話でもしますかね」
ナッツは遠く離れてゆくブロンズ色の惑星、金星を見送りながら私の髪に触れながら言ってふたたび瞳を閉じた。

しばらくの間ふたつの惑星はそれぞれ平和な歴史を刻んでいた。
小さなイザコザは繰り返されたものの大した戦争に発展することはなかった。
だけどある日突然両者のコンピューターネットワークに不審者が侵入した。
「両者のプロコトルは全く異なっていた為相互につながってそれがトラブルの原因になることは全くなかったがそれ以降両者のシステムが何の障壁もなくつながってしまった、それが何を意味するのかわかる?」
ナッツに言われても私は返答のしようがなかった。
「インターネットみたいで便利になったんじゃない?」
それくらいしか思いつかない。
「原因は何だったと思う?」
そうきかれて私はふっと我に帰った。
第3の惑星、半導体生物の星
「の星でも知能と文化が目覚めたそして、今の地球で言うAI、
人工知能に近いものが自然発生をしたそして彼らは電波を飛ばしたり人工惑星を建造して飛ばし仲間を探した、そしてたまたま見つけたのが炭素と水素の星の住民とウラニウムと水素とヘリウムの星の住人達、そして彼らは共通したプロコトルを開発して互いの住民通し会話をできちゃうにした」
「良いことじゃない、それのどこに問題が」
私はすっかりと忘れていたのだ、ふたつの惑星の住民は一度コンタクトを取っておきながら相性の悪さゆえにケンカ別れをして以降交友関係が無いことに。
「まるでどっかとどっかの国みたいだね」
私は冗談めかして言ったつもりだったが現実は悲惨だった。
通信ネットを数えきれないほどの罵倒や抽象誹謗が飛び交い、両惑星が全面戦争に突入してしまっていた。
それは半導体生物の惑星も巻き込み、いやむしろ半導体生物が両者をけしかけたことになって戦争にはあらゆる兵器が投入された。
最終的ににその星系の恒星を巨大赤色矮星化させる兵器が投入されてすべての惑星の住民の命が奪い去られた。
「その時、半導体生物のリーダー的存在だったのがあたしだったのよ」
「何よそれって言いがかりもいいところじゃない!」
抗議する私にナッツはそっとささやいた。
「仕方がないのよ、それがその時の神の決裁だから」
はい?神って何者ですか?
「うーんと、確かミカエルとかガブリエルとか多すぎて覚えきれんわ」
「たったふたりでもう覚えきれんってナッツの頭の記憶容量は関数電卓以下か!しかもふたりとも天使だし」
もうツッコミが追いつかない状況だった。

しばらくふたりは地球の黎明期の夢を見た気がする。

「ほら、水星に着いたよ」
ナッツに両頬をぶっ叩かれて目を覚ました私の眼下には水色の惑星ならぬ真っ赤な月としか形容のし難いモノが迫りつつあった。
「もう良い加減疲れたから地表に激突でいいでしょ」
唐突に無責任極まりないナッツの発言と共に私と彼女はクソデカいクレーターのど真ん中に突っ込んでいた。
クソクソデカい火球がそのクソデカいクレーターを更に飲み込んでしばらくそこは灼熱の地獄になっていた。
「あんたはそんなんだから大天使様に処刑されるのよ」
全身大火傷を負った私はナッツに抗議した。
そんでもキズひとつつかない私らが背負ったリュックサックすごくね?ってそんなこと言っている場合か?
「大丈夫今こちら側は今は夜だからめっちゃ冷えてるから時期に冷めるって」
こんなヤツだからきっとナッツは天使会議で満場一致にて天界を永久追放されたんだろう、そうだきっとそうに違いない。
「違うよ閣議決定だよ?しかもミカエルとか言うガラの悪い天使に口頭で出てゆけー!って言われた」
そりゃ恒星系ごと赤色矮星化した恒星に飲み込ませて合わせて三つの文明を滅ぼしたんだからそれくらいの処罰で済んでりゃまだ幸せなものでしょうよ。
私は地表を500km/hくらいの速度で爆走をして昼側に回ろうとしているナッツを追いかけながら彼女の視線の先を見つめていた。
そこにはあの有名なモノリス、じゃなくて半径が30メートルから50メートル程ありそうな歪な形のクソデカい岩が何十個も転がり進めていた。それらが夜の面の方向に移動している。
「これは?」と私は聞いた。
「岩が勝手に動く現象なんて見たことがある?」
「少なくとも私は見たことも聞いたこともない」
と答えるとナッツはすかさず答えた。
「あたしは何度も見た記憶があるよ、天界を追放される前にね」

私とナッツのふたりは手頃な岩の上に腰掛けておやつを食べ始めた。
何ヶ月旅の時間を要したかは覚えちゃいないがその間に私はジェリー飲料を7袋、ナッツはナッツ缶を5缶ほど開けて食べていたみたいだが約半分近くは虚空の彼方に逃してしまったようだ。
「まさかと思うけどあれも半導体生物なの?」
私が聞いてみるとナッツは首を縦に振った。
「ちょっと見た限りじゃ地球の技術じゃ200年は先にならないと実現しそうもない厄介な程進化した代物なのよ」
ナッツがそう言うと彼女の向こうに赤毛の癖毛な美少女が岩がの上に腰掛けていた。イメージだろうか15〜16歳くらいの発育が良い身体つきをしているがわたしたちに合わせているのか布一つまとわない全裸状態だった。
いつのまに、いや、いつからそこにいたのだろうか?
「えっあたしってそんなに変かしら?」
彼女はそうは言うがここは大気が太陽風に吹き飛ばされてほとんど真空状態に近い水星の地表だ。
しかも気温はすでに90°Cは軽く超えている。まともな生物が生きていられる環境じゃない。
「あなたは誰?」
思わず私は彼女にきいてしまった。
『え?他人に名前を聞くときは自分の名前を先に言うのが常識だってあなたの星のネットでは常識と聞きましたが』
空気がないので音による伝達ではない。しかも身体のどこにも触れていないので骨伝導とかでもないのは確かだ。
残る可能性は電磁波として脳波くらいしか思い浮かばなかったが試しに考えてみた。
『私の名は波瑠沙芽、漢字そのままの読みじゃなくて・・・』
そこまで思考にしたとき彼女は『さとみさんですね、素敵な名前です』
と返して来たしかも漢字さえイメージ通りに送ることが可能なようだ
『そして私のすぐ隣に座っているのが、ナッツさん、本名は夏野明美、なつのあけみ先輩でよろしいですね』
何故か彼女はナッツに対しては挑発的な態度を取っているように感じられた。
『ここの星に住民はあなたひとりですか?』
とりあえずきいてみた。すると彼女は急に吹き出し笑いを始めた。
『さとみさんあなた程の知能の持ち主でも目の前のあの子たちに気が付きませんか?』
彼女はそう言うが私の目には転がり続ける岩の群れしか目に入らなかった。しかも、もしアレが生物だとしても果たして住民と言えるだろうか?
『どうやらあなたは過去の記憶をお忘れのようですね、でもそれは仕方がない、あなたが4才の時の事件がこの世界の運命を大きく狂わせたのですから』
その一言がなにを意味するのか当時の私は全く理解していなかったかもしれない。

『私は星紫亜、じゃあまた、次にお会いするのは地球上だと思いますが覚えててくれなきゃ嫌ですヨォ』
彼女はそう言い残すとかき消すようにして消えた。
それらしい名前を言っていたが多分偽名に違いない、最初の1文字を英語に訳すと・・・
『モロパクリじゃん、容姿と設定でパクって名前でパクってあいつ何者よ!』
『ねえ、彼女とはどんな関係なの?』
私は前触れもなく思わずナッツに正面から抱きついてきいてしまった。
『ただの腐れ縁よ』
ナッツは苦笑いを浮かべながら言ったがそんな浅い関係ではなさそうだ。ただ一瞬だけ『魔女』と言うワードが浮かんだのは少し気にはなっていた。


私達ふたりは行きよりは早く地球に着いた。
とは言っても2ヶ月以上はかかったのだけど。

地球につくなり私とナッツはとんでもないニュースを耳にした。
あの麦国の粒子砲が暴発をして中東某国の首都全体を全照射してしまったらしい。
その結果どうなったかと言うと首都に住む全員が焼き尽くされて・・・・・
ではなく戒律に厳しいはずの彼女彼らがところ構わずにバッコンバッコンを始めてしまったらしい。
そんなわけでその地区の人口は激増してしまった。
その結果を重くみた国連はその粒子砲を淫魔砲とと名づけて永久に使用禁止としたそうだ。
もちろん犯人はわかっている、水星にいたあの赤い癖毛の美少女だ。
「あんの魔女め」
ナッツにしては珍しく怒りの感情をあらわにして叫んでいた。


ハルサメとナッツ-1 クレーター・クレーター
終わり

あとがき

春雨「矛盾だらけだったね」
ナッツ「そんな細かい事気にする人いるかな」
春雨「いや、気にする人は気にするよ、行きと帰りで3年経っているんだよ?まともに計算したらあたし達中3どころか高校生だよ」
ナッツ「そんなの気にすんのロリコンだけだって」
春雨「ロリコンなめんなー、私はあいつらから精力奪って生きてんだよ」

春雨「ねえ、それよりも最後に出て来たキャラ、やばくない?」
ナッツ「たまたま偶然似ていただけだよ何の問題もない!こんな駄作だれもよまねーしさ、けど問題はさ」
春雨「それよりもこのままレギュラー化して主役の座を奪われてしまいそうだよね」
ナッツ「あー、あたしを天界から蹴落とした主犯が主役になったらめっちゃ原辰徳」
春雨「それ、死後だから」

#宇宙SF

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