ショートショート17「予知ビー玉」
「たっだいまー」
冷蔵庫の扉を開けると同時に言い放つ。そこには、学校から帰ったら飲もうとキンキンに冷やしておいたラムネが……無かった。
正確にはラムネの中身、ラムネ水が綺麗さっぱり無くなっていたのだ。残ったのはおまけのビー玉だけ。
「誰かが私に黙って飲み干したなぁ」
瓶を洗おうと水を注いだ。その時奇妙な光景が起こった。まるでビー玉が喉を乾かせ、水をがぶ飲みするかの如く全て吸い尽くしたのだ。
私はビー玉を取り出し、転がしたり、振ったりして確かめたが一滴も水は落ちなかった。