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常設展&カフェテリア・トペ◇ヤマザキマザック美術館

こんにちは、はくれぽ!です。

今回は、愛知県名古屋市にあるヤマザキマザック美術館で開催中の「布施知子 ORIGAMI-紙の鼓動-」展(会期:2024年11月29日(金)から2025年03月23日(日))に行った際の、常設展示&カフェのかる〜いレポートです。お気軽にお読みいただければと思います。

企画展に行くと、常設展にまで手が回らないことが多く、観たとしても時間がなくササッ通り過ぎることが多いのですが、こちらの美術館の展示室を含めた展示が素晴らしかったのでご紹介します。


美術館概要

【創設経緯】
山崎鉄工所(現ヤマザキマザック)は、創業者山崎定吉によって名古屋市中区で設立。
定吉の息子、山崎照幸は父の会社に入社、工作機械の海外販路を拡大してヤマザキマザックを世界的な企業へと成長させる。照幸は美術館巡りを趣味とし、自ら作品を選び、ヤマザキマザック美術館のコレクションを築いた。2010年に、18世紀から20世紀のフランス美術を展示する美術館を開館し、初代館長に就任。

【コレクション】
18世紀から20世紀にかけてのフランス美術を代表する作品群を展示。ロココから新古典主義、ロマン主義、印象派、エコール・ド・パリに至るまで幅広い時代をカバーした絵画作品、アール・ヌーヴォーのガラスや家具等のコレクションを所蔵している。フランソワ・ブーシェの《アウロラとケファロス》は同館のロココ絵画の名品として、作品に近づいて鑑賞できるよう額装が工夫されいる。

【展示室について】
展示室の内装は各時代の特徴に合わせ、作品を最適に鑑賞できるよう工夫されており、各室内の壁紙には、ハプスブルグ皇帝家御用達の専門店の壁布を使用、各種展示機材などを運営母体であるヤマザキマザック株式会社の工作機械で作るなど、企業が母体ならではの美術館。


赤の間

同館は1階がエントランス、4・5階が展示室となっています。
企画用の展示室はなく、4階で開催している「布施知子 ORIGAMI-紙の鼓動-」展においても、アール・ヌーヴォーのガラスや家具等のコレクションとのコラボレーションとなっていました。
エレベーターで移動し、各階で扉が開くと展示室の正面となっている仕様です。

4階の企画展の様子。エレベーターがひらくとこんな感じ。

5階の正面画像はありませんが、こちらがすぐ右手の赤の間。
予備知識なく行ったので、このゴージャスな雰囲気に一瞬入っていいんだろうか…と怯んでしまいました。

こちらが5階展示室。正面右手。入ってもいいのかビビっている瞬間(庶民)
天井のシャンデリアも豪華。チェコ製・スワロフスキー社のクリスタルを使用。マリア・テレジアがボヘミアの職人に作らせたものと同じモデルだとか。ゴージャスにもなるわけです。
アントワーヌ・ヴァトー《夏の木陰》1715年頃 
初めに目についた作品。なにやら仕掛けがありそう・・・
なんと出し入れ可能な、拡大鏡が格納されていました!しかも自社製という。さすが工作機械メーカーが母体なだけあります。
シメオン・シャルダン《兎と獲物袋と火薬入れ》1736年
テオドール・ジェリコー《突撃する近衛猟騎兵の士官》1810-12年
インパクトがすごくて、同館名品のフランソワ・ブーシェの《アウロラとケファロス》も撮らず、こちらに気を取られていました。
ユベール・ロベール《メレヴィル庭園の眺め》制作年不詳

室内に入ってすぐ違和感があったのですが、それは豪華な設えということだけではなく、作品がアクリル板やガラスで覆われておらず、とても近くに見ることができたからだと思われます。
美術館の方針で、作品の質感などを感じて欲しいという理由からのようです。
確かに、アクリル板やガラス一枚で隔てられただけでも、目に入る光やクリアさ、圧迫感が変わるので、見せ方って難しいなと思いました。

黄の間

次の間は、パッと明るい雰囲気の黄色い部屋です。
壁紙の視覚効果も相当な心理的変化を与えます。
テンションが上がって撮影しようとしたら、一部撮影不可作品があったらしく監視員さんが即座に飛んできました。
いつもはその辺りチェックしてるのですが油断していました、すみません・・・
(この後、監視員さんに目をつけられることに。学芸員資格保持者としてアウトです。でも、たまーにわかりにくい表示とかあるんですよねゴニョゴニョ)

シスレーとかモネとか
ギュスターヴ・クールベ《波、夕暮れにうねる海》 1869年
クロード・モネ《アムステルダムの港》1874年


青の間

気を取り直して次は青い部屋です。
何気なく置かれている彫刻に近づくと・・・ロダンです。
周囲を確認して撮ろうと思ったら、監視員さんにその背後に撮影不可作品が映り込まないかの厳重なチェックが入り、許可が降りたので撮ることができました(冷汗)。


ギュスターヴ・ロダン《ユスタシュ・ド・サン=ピエール司教》1960年鋳造
エコール・ド・パリの画家、のモイーズ・キスリングの不思議と惹きつけられる作品たち
モーリス・ユトリロ《マルカデ通り》1911年
ラウル・デュフィ《グッドウッドの競馬場》1930-35年
モイーズ・キスリング《雉と鴨》1935年



カフェテリア・トペ

展覧会に行っても滅多にカフェを使わず即帰ることが多いのですが、最近になってミュージアムグルメにも目を向けてみようかと利用するようにしています。

同館にはミュージアム専用のレストランはなく、館外の人も利用可能な、フレンチの壺中天(こちゅうてん)・イタリアンのトラットリア・トペ、ワインバーのラ・フェット、そしてカフェテリア・トペ、といったレストランが充実しています。

今回はカフェテリア・トペにて、「トペ特製のハヤシライス」をいただきました。

オシャなハヤシライス。サッパリと美味しい。
エントランスに併設。決して広くはありませんが、窮屈さなどが感じられないのは遮る壁がなく、インテリアやそのカラーなどもスッキリしたデザインだからでしょうか。
スイーツとかワインとか。飲みたい。

ミュージアムショップ

まとめ

全体の印象としてコンパクトで綺麗にまとまったハイソな雰囲気の美術館でした。
常設展のや併設のレストランからは上品さが漂い、公立の美術館とは少し違うものが感じられました。
これは創設した経緯に起因しているのでしょうか。コレクションが明確で、フランス美術、アール・ヌーヴォー作品に特化していることにも関係がありそうです。いつか他の企業系ミュージアムに行った際に検証できたらと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

アントワーヌ・ブールデル《果物を持つ裸婦》鋳造年不詳



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