香月 聡

小説を読んで、書いて。文章の映す世界に浸ってます 旅と世界遺産、赤提灯🍺が好き。 以前…

香月 聡

小説を読んで、書いて。文章の映す世界に浸ってます 旅と世界遺産、赤提灯🍺が好き。 以前住んでいた阿佐ヶ谷の小説を書いてます。 四国が好きでお遍路さんもしてます。

マガジン

  • 阿佐ヶ谷住民録

    阿佐ヶ谷を舞台にした掌編小説をまとめました。 全て一話完結です。 よかったら読んでください

  • いつか、巡礼の地で

    創作大賞応募作品です!

  • ブルーベールに集う

    小説を一つにまとめました。

最近の記事

  • 固定された記事

いつか、巡礼の地で(1)

2013年7月  絵梨 徳島県鳴門市 鮮やかな青空に蝉の声が鳴り響いている。噴き出る汗が頬を流れ、駅からさほどかからないはずの道のりが果てしなく思える。深緑の山々と田畑が広がるのどかな県道を歩き続け、ようやく霊山寺と書かれた巨大な看板が見えてきた。ここが一番札所。気が引き締まる思いがした。 金色の童子が浮かぶ放生池を通り、奥の本堂へと進む。何人かの参拝者が集まり、漂う蝋燭の煙の中に、天井を覆う無数の灯籠が見える。献灯の香りは心を鎮め、まとわりつく暑さも引いていくようだった

    • 語彙力を上げるべく漢検二級の試験を受けてました! ボキャブラリー増えただろうか、前よりマシになったはず... また小説も再開したいと思いますのでよろしくお願いします✨

      • 【エッセイ】かつてわたしはブロッコリー🥦

        お疲れ様です。 今日で9月も終わりですね。 暑さのなかに秋の雰囲気を感じつつ、嬉しいけれど、どこかもの寂しいこの頃です。 最近、野菜室が充実していると気持ちが満たされることに気づきました。 ナス、ピーマン、にんじん、大根。そしてブロッコリー。 ブロッコリーはビタミンCが豊富だそうで健康と美容のために最近食べるようにしていますが、いつもワンパターンになりがち... 結局茹でて食べてばかり。 レパートリー増やしたいものです。 そんなブロッコリーにはなぜか愛着があって、な

        • 文学賞に応募しようと思い、執筆しています。しばらくnoteでは旅や日頃の雑記中心になるかと思いますが、よろしければご覧ください✨

        • 固定された記事

        いつか、巡礼の地で(1)

        • 語彙力を上げるべく漢検二級の試験を受けてました! ボキャブラリー増えただろうか、前よりマシになったはず... また小説も再開したいと思いますのでよろしくお願いします✨

        • 【エッセイ】かつてわたしはブロッコリー🥦

        • 文学賞に応募しようと思い、執筆しています。しばらくnoteでは旅や日頃の雑記中心になるかと思いますが、よろしければご覧ください✨

        マガジン

        • 阿佐ヶ谷住民録
          4本
        • いつか、巡礼の地で
          7本
        • ブルーベールに集う
          10本

        記事

          超名店で餃子をいただく! 

          もしも世界の最後、その時食べたいものは何ですか? そう聞かれたら、餃子と答える。 それぐらい餃子が大好きだ。 グラスに注がれたしゅわしゅわと泡立つビールに、ふっくらと皮に包まれたパリパリの焼き色をした餃子。 堪らない!考えただけで口元が伸びてしまう。 先日、阿佐ヶ谷にある「餃子坊 豚八戒」に奇跡的に入ることができました。 『ミシュラン東京ガイド』の「ビブグルマン」にも選ばれている名店で、 住んでいた頃に噂を聞いていましたが、行く度に満席。 それから幻の餃子屋として

          超名店で餃子をいただく! 

          清里高原 おすすめのお店と観光地

          お疲れ様です。 まだまだ暑い日が続き、体力的にきついですね。 先日東京から遊びに来た友人と清里に行ってきました。 八ヶ岳に抱かれた高原の清々しい空気にリフレッシュできました! どこか外国のカントリーを思わせる自然豊かな清里のおすすめなお店や観光スポットを紹介したいと思います。 清里ってこんなところ 「山梨の北海道」と言われる清里はその名の通り、冬の寒さは厳しく、酪農が盛んで車を走らせながら草原に群れる牛を見ることができます。 そんな清里をつくった人物に、ポール・ラッ

          清里高原 おすすめのお店と観光地

          掌編小説をアップしました♪最近アジアを旅するような話が多い気が・・・。 インド映画にハマっている影響かもしれません(笑) 読んでくれたら嬉しいです。 https://note.com/lucky_marten269/n/n033bead99e21

          掌編小説をアップしました♪最近アジアを旅するような話が多い気が・・・。 インド映画にハマっている影響かもしれません(笑) 読んでくれたら嬉しいです。 https://note.com/lucky_marten269/n/n033bead99e21

          【掌編小説】101号室から聖なるガンガーへ

          (あらすじ)  とある街に住む住人たちのお話です。一話完結で、何人かの日常について書く予定です。 どこかすれ違っている人たちの日常を垣間見れたら、いいのにと思って書てみた。 渡辺 はづき(三十歳)の場合  膝に広げていたファッション雑誌がざくざくと切り落とされた髪の毛で覆われていく。担当してくれている、同世代であろうスタイリストは以前阿佐ヶ谷に住んでいたことがあると言った。 「阿佐ヶ谷って、なぜかインド料理店が多いんですよ。」 ぱっと顔を上げると女性は目を細めてにこ

          【掌編小説】101号室から聖なるガンガーへ

          【掌編小説】バリ島へ羽ばたく

          (あらすじ)  とある街に住む住人たちのお話です。一話完結で、何人かの日常について書く予定です。 どこかすれ違っている人たちの日常を垣間見れたら、いいのにと思って書てみた。 藤原 祐介(22歳)の場合  飲んでも飲んでも喉の渇きはなくならない。薄い壁から入り込む外気を暖めようと効かせたエアコンのせいだけではないとわかっていた。空き缶を放り投げ、冷蔵庫から三本目の缶ビールを取り出す。ぷしゅう、と小気味良い音を立ててプルタブを開け、一気に流し込んだ。 大きくため息をつき、

          【掌編小説】バリ島へ羽ばたく

          ふと思った、わたしの読書遍歴

          たった今、桜木紫乃の新刊を読み終えた。 「北のおくりもの」という北海道をテーマとした短編集を読んでからは、 北海道の作家さんの小説をよく読むようになりました。 その流れ?でわたしの読書遍歴を振り返ってみようかなと思います。 小野不由美の「十二国記シリーズ」にはまった小学生 丁度アニメが放送され、漫画も本も集めていた小学生時代。 美しい絵と壮大な世界観にすっかり魅了され、薄ら寒いホラー感に怖さを覚えながらも、異世界で強く生きようとする魅力溢れるキャラクターが好きでした

          ふと思った、わたしの読書遍歴

          図書館と家に籠り籠り、どうにか創作大賞応募作品 書くことができました。小説を書くことのたいへんさを改めて感じ、喜びも一入、言葉を繋いでいく楽しさと旅したような気持ちに浸れました。 いつも読んでいただき、ありがとうございます。 https://note.com/lucky_marten269/n/n50cf41c69cb0

          図書館と家に籠り籠り、どうにか創作大賞応募作品 書くことができました。小説を書くことのたいへんさを改めて感じ、喜びも一入、言葉を繋いでいく楽しさと旅したような気持ちに浸れました。 いつも読んでいただき、ありがとうございます。 https://note.com/lucky_marten269/n/n50cf41c69cb0

          いつか、巡礼の地で(最終話)

          2013年7月15日   絵梨 直央 巡礼の地で 眼下には山麓の田園地帯と蛇行する豊かな川が鮮やかに広がっている。あまりの高さに足先が竦み、山頂に視線を移した。 ロープウェイから降り、古木に囲われた広大な境内は寒さを覚えるほどの霊気が漂っている。石段を上りきると本堂に巡礼者が集まっていた。その後ろに並んで参拝を待った。 境内を出て本堂と反対方面に進んでいった。舎心嶽へと繋がる参道の右手には小形の本尊が並び、舗装された坂道から次第に足場が悪くなっていった。 地面に転がる

          いつか、巡礼の地で(最終話)

          いつか、巡礼の地で(6)

          2013年 6月~7月  直央 長野、そして巡礼の地へ 成し遂げた。ついに―。 特選の通知を受けた瞬間、一点に集結していた神経が解けるように一気に力が抜けていった。数年前、葉月のもとを訪れ、天日展で入選することを夢見てきた。その夢を、ついに叶えたのだ。 向かい合う老画家は、ずれた眼鏡の位置を直した。雨の止んだひんやりとした外気が縁側から居間まで流れ込む。秋の個展を終えたら高松に戻ることを告げると、葉月は寂しげな表情を浮かべた。 「君がいなくなるのは寂しいなぁ。このまま京

          いつか、巡礼の地で(6)

          いつか、巡礼の地で(5)

          2013年 6月  絵梨 東京  *性描写があります。 青い光が浮遊し、手のひらに落ちた。水面の上を歩く足元に微かな風が流れ、草花を揺らした。正面には白い森が広がり、真ん中には生命の躍動に脈打つような巨木が根を張っている。森の密やかな呼吸に合わせ、青い光が淡くなり、強くなり、浮遊しながら導いていった。 水辺に辿り着くと巨木の前に、男性の背中が見えた。振り向くその男性の顔ははっきりとは見えない。少しづつ近づくと手を取られ、胸に抱き寄せられた。 強く腕に抱かれ、胸に顔をうず

          いつか、巡礼の地で(5)

          初めてのつぶやき機能です! いつも読んでいただき、ありがとうございます。励みになります😊 創作大賞応募の「いつか、巡礼の地で」を投稿していますので、読んでいただけたら嬉しいです✨ (完結まで、ま、間に合うかわかりませんが、どうにか三連休で...)

          初めてのつぶやき機能です! いつも読んでいただき、ありがとうございます。励みになります😊 創作大賞応募の「いつか、巡礼の地で」を投稿していますので、読んでいただけたら嬉しいです✨ (完結まで、ま、間に合うかわかりませんが、どうにか三連休で...)

          いつか、巡礼の地で(4)

          2009年7月中旬  直央 岡山そして京都へ 部屋の外では雨が降り続いていた。カーテンの隙間から漏れる薄暗い外の色が、電気の消えた闇のなかを僅かに明るくしていた。閉じ込められたように動けない体の中に、雨音の陰鬱な影が広がっていく。 病人のようにベッドに横たわったまま、重たい瞼を持ち上げ、部屋を見渡した。カーテンレールに吊るされたままの洗濯、灰皿に溜まった煙草の吸殻、電池が飛び出た時計に、雪崩れのように落ちた何冊もの画集。 一昨日、感情のままに部屋を荒らした。その反動で眠

          いつか、巡礼の地で(4)