いつか、巡礼の地で(1)
2013年7月
絵梨 徳島県鳴門市
鮮やかな青空に蝉の声が鳴り響いている。噴き出る汗が頬を流れ、駅からさほどかからないはずの道のりが果てしなく思える。深緑の山々と田畑が広がるのどかな県道を歩き続け、ようやく霊山寺と書かれた巨大な看板が見えてきた。ここが一番札所。気が引き締まる思いがした。
金色の童子が浮かぶ放生池を通り、奥の本堂へと進む。何人かの参拝者が集まり、漂う蝋燭の煙の中に、天井を覆う無数の灯籠が見える。献灯の香りは心を鎮め、まとわりつく暑さも引いていくようだった