待望の幕開け
『ありがとうございます!』僕は喜びを爆発させた。とはいえ、周りの人からは爆発してるようには見えないだろう。なぜなら、僕はとても感情表現に乏しい奴だから。それでも、本当に爆発していた。当時、今年一番の喜びを僕なりに。
『ホント、運がいいですね。普段、週末は来ないんですよ。今日はたまたま〇〇先生がいらっしゃるんで来たんです』と。さあ、いよいよスリッパーズ吉田さんの鑑定が始まりだ。
まずは両手のひらを見せて、次に名前と生年月日を書いた。『うーん。運命線はしっかりしてますねえ』とスリッパーズ吉田さん。自分でも、気力と体力はある方だと思っていたが、手相が証明してくれた。何となく、いい感じのスタート。
『では、基本的な性格から。理論と理屈が好きなので、探究心と追求心は非常にあるのと、根が非常に真面目なので、地道にコツコツしたことができるタイプですが、真面目な割には根が変態なのと変わり者なのが出やすい。遠慮する癖、ネガティブ、疑い癖と三つ持ってるので、プライドはメチャクチャ高いけど、どっか自信がないんですよ。結果、なかなか行動できないとか、頭で思っていても口からの力が弱いタイプ。あと、根は優しいんですが、団体行動が嫌いなのと、人が苦手なので滅多に心を開かない。凄く人がいい割に上から目線の言葉が出やすいのと、言い訳と理由も出やすいので、冷たく伝わることで凄く損しやすいタイプですね。プラスの言葉を極力使った方がいいですね。陰の星が強いので、ポジティブな言葉を使わないと、どうしても周りからは暗いと思われたり、マイナスに取られるところがあります』と。姿勢を正して、淡々と伝えてくださるスリッパーズ吉田さん。長所から短所へと。右肩下がりのグラフのように、まるで夢から現実の世界に引き戻されたような感覚だ。それにしても、お見事である。これほど完璧に性格を言い当てるなんて。恐るべし、統計学。言わずもがな、スリッパーズワールドに引き込まれていく僕だった。
(つづく)
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