不思議の三ツ沢
ところがこのエリアを散策してみると意外と不思議な印象を感じる。
いや到達する前から既に結構不思議である。
南軽井沢は横浜駅西口商業地区に隣接し、商業地区の北辺は旧東海道に沿う宿場町だったが、そのため旧東海道に併行して環状1号線が通りこれが商業地区の北辺を縁取る。比較的急なカーブを描いたその西側には横浜港山下公園前に端を発し将来的には市の北西端に位置する緑区長津田地区と連絡する山下長津田線という放射幹線道路との浅間町(浅間町)交差点がある。交差点のある所は辛うじて西区浅間町だが元は保土ヶ谷宿の東外れの場末で、いわば神奈川と保土ヶ谷の境界線に当たるエリアである。
三ツ沢へ行くには交差点から山下長津田線を北に向かうが、この道路が段数は全然少ないが日光いろは坂のようなつづら折りの登り道で急だ。そうしてこれも環状1号線と同様計4車線の幹線道路で、どうにも不自然な印象を与える。急坂となるのは東海道に沿って屏風のように連なる海岸段丘上に三ツ沢公園があるからだが、このような急坂を普通の自動車だけではなく海上コンテナを積んだトレーラ牽引車も登攀しその中には三ツ沢よりさらに奥になる横浜羽沢貨物駅へ向かう車もあってちっとも合環境的ではない。そうして登り一辺倒の坂を800m程登ると三ツ沢公園前の交差点に至り、その先は下り坂で三ッ沢上町の交差点(三ツ沢公園入口交差点)になる。
急坂となる浅間町から公園前までの比高は46mだが、次の下り坂の公園前から三ッ沢上町の公園入口交差点までの比高は25mで距離は900mだからその勾配は比較的緩やかだ。そして公園前交差点には首都高速道路神奈川2号三ツ沢線の出口があり、公園前交差点との間には第三京浜入口の交差点があるから三ツ沢公園前は交通の要衝となる。坂を登って下りる頂点にそういう場所があるのは交通処理上問題があるのだが。
三ツ沢公園前から三ッ沢上町への道はとりあえず2本計上できる。というのも幹線道路とは別に東側に旧道らしい対面交通路があってこちらの方が100mほど短いがすぐに下り坂とはならずそのため急坂である。この2本の道は三ツ沢公園内を貫通するので公園の使い勝手がとても悪くなる。旧道をテニスコートに沿ってしばらく行くといかめしい感じの空間になり、不思議形の白い尖塔がある。第二次世界大戦の戦没者慰霊塔で「昭和二十年」の浮き彫り(?)。その裏には小屋があり塔と同じく鉄筋コンクリート製の建物で、どうにも神社のようだ。そしてこの裏は豊顕寺の境内だった豊顕寺市民の森である。
なんとも言えない都市構成。それが三ツ沢の不思議の源泉である。