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北海道のフライフィッシング 桃源郷再び 第3章 『バレまくる』
第1話
一2日目一
夢にまで見た桃源郷の川に立ち、胸いっぱいに空気を吸いました。
すると、お義父さんが、
「前回、初めてここに立ったとき、チャラチャラと真っ直ぐな流れを見て、とても釣れるとは思わんかったよ。」
と2年前の思いを呟きました。
これまで口にこそ出さなかったものの、私と同じ思いを抱いていたことに驚きました。
私達は、この川によって、「川は蛇行する、いずれ良い流れに出会う」ということを体験したのでした。
さて釣果の方ですが、2つの原因からバレることが度々あり、残念な思いをすることが多い釣りとなりました。
まず、ティペット(フライとリーダーをつなぐ細い糸)が切れ、鉤ごと持って行かれることが初日の十勝川支流で起こりました。
鉤とティペットの結び方が悪いのかなと思いましたが、しっかり結んでも切れました。
となると、ティペットが細すぎるのかも知れません。
「そうか、ここは北海道なんだ。」
ネイティブの虹鱒に6Xでは細すぎることに気づきました。
そこで、リーダーを4X、ティペットを5Xとそれぞれ1ランク太くしました。
これで合わせ切れでフライを持っていかれることは格段に減りました。
第2話
バレることのもう1つの原因は、猛然と暴れるネイティブの虹鱒に鉤を外されてしまうということです。
この原因は、はっきりしていました。鉤のかえしを潰していたからです。かえしを残していればバレる確率はぐんと抑えることができるでしょう。
しかし、ここは私にとって譲れないところです。
「魚を傷めない」ということは、魚に遊んでもらう立場の私の心構えとして大事にしたいところです。
「かえしのない鉤でもバレないようにすること」
これが、大きな課題となった釣行でした。
この晩は阿寒湖畔のホテルエメラルドに泊まりました。一昨年、桃源郷にめぐり逢い、初の尺物を釣り上げ、祝盃をあげたのがこのホテルでした。我々の釣行には縁起のよいホテルです。
「きっと明日、明後日の釣りは、これまでにない大物と出会えるぞ。」
と手前勝手な考えですが、本当にそう思っていました。
『バレまくる』完