lucky_lion497

私のフライフィッシングも また、それまでの釣りの延長線上にあります。フライフィッシング以前の釣りも含めて50年を超える「フライフィッシングの周辺」の話をお楽しみください。

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私のフライフィッシングも また、それまでの釣りの延長線上にあります。フライフィッシング以前の釣りも含めて50年を超える「フライフィッシングの周辺」の話をお楽しみください。

最近の記事

北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 最終章 (全8章)『あっという間に再び鉤は刺さった!』

             全3話   第1話  三日目、最終日。   「おいっ!」の淵の川を眼の前にして本日最初のフライを選びました。  目に留まったのは、前回と同じオリーブのパラシュートフライでした。 「これと同じのが刺さったんだなぁ。」 「もしかして。」 と確認すると、このフライにもまだ返しがついたままでした。  早く釣りをしたいため、一瞬「ま、いいか。」 という考えが頭をよぎりましたが、昨日痛い目に遭ったばかり。 「横着は命取りだな。」  フォーセップをピン

    • 北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第7章 (全8章)『大物は簡単には上がらない!』

                   全5話   第1話  魚は川上の深みへグンと潜り、ロッドはギュンと曲がりました。  あまりの強い引きに驚いていると、今度は高くジャンプしました。 「でかい!でかいっ!」  これまでに釣り上げた中で、いちばん大きいことは確かです。 「あんな大きな魚を取り込めるだろうか。」  未知の大きさに不安がよぎり、兎に角ティペットが切れないことを祈りました。  魚は緑色の濃い深みを縦横無尽にグイグイ引っ張ります。   しかし、何故か下流に行こうとはしません

      • 北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第6章 (全8章)『大物はゆらりと来た!』

          第1話  やっと辿り着いた流れで、一投目のフライにイワイイワナを選びました。  護岸された右岸の直線的な流れの頭に着水したイワイイワナはしばらくじっと浮いていましたが、流れに乗ってこちらへ向かって流れ始めました。  この瞬間の高揚感は日頃の生活の中では、なかなか味わえません。  突然何かがパシャッと咥え去りました。 「来た!」  手応えは強く、魚の姿はなかなか見えません。  最初の一匹目をバラさないように慎重に取りこむと28cmの虹鱒でした。  この二日間、様々なハ

        • 北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第5章 (全8章)『刺さった釣り鉤は簡単には抜けない』

            第1話  咄嗟に思い出したのは、小学生の頃に読んだ釣りの本の中にあった「刺さった釣り鉤の抜き方」でした。  記憶を辿ると、「まず、釣り鉤と糸を結んでいるアイを金属ごとペンチで切断する。  次に、刺さった釣り鉤を根元(アイ側)から押して貫通させ、皮膚から出てきた鉤先をペンチでつまんで抜き出してしまう。」という荒療治でした。 「荒療治だろうとなんだろうと今ここでやらなくてはならない。」  すぐに、いつもペンチを入れてあるポケットの中を探しましたがありません。  そうでした。

        • 北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 最終章 (全8章)『あっという間に再び鉤は刺さった!』

        • 北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第7章 (全8章)『大物は簡単には上がらない!』

        • 北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第6章 (全8章)『大物はゆらりと来た!』

        • 北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第5章 (全8章)『刺さった釣り鉤は簡単には抜けない』

          北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第4章 (全8章)『釣り鉤は簡単に刺さった』

            第1話  ロッドのガイドにラインを通しながら、どのフライにしようか考えました。  この頃は「イワイイワナ」を自分で巻けるようになっていましたが、シーズン初めからこのフライを使うのも品がない気がして、パイロットフライとして14#のパラシュートを使うことにしました。  ベストのポケットにいくつかあるフライボックスの中から目指すフライのありそうなフライボックスを取り出しました。  このフライボックスは、フライフィッシングを始めた当初から使っている代物で、現役では最古参です

          北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第4章 (全8章)『釣り鉤は簡単に刺さった』

          北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第3章 (全8章)『林道よ、お前もか!』

            第1話  さて翌朝は快晴。  北海道の初夏の空気を胸いっぱい吸い込みました。  車のエンジンをかけると、いよいよ今年のフライフィッシングシーズンがスタートした気分になってきました。  「おいっ!」の淵の川の林道入口までは10分ほどです。宿泊地から釣り場まで10分というのは、これまでの釣行から考えると、もう目と鼻の先といった近さです。    キャンプ場を横目に、アスファルトからバラス道へ変わるというあたりで、前方に林道が見えてきました。いよいよ渓流への入口です。  しか

          北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第3章 (全8章)『林道よ、お前もか!』

          北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第2章 (全8章)『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 後編)』

            第1話 「ここまできて欠航!」  ここに至るまでの苦労を思うと頭の中が真っ白になりました。  しかし、フライフィッシングをするためにはここでくじけてなんかいられません。  計画を根本から練り直す必要があります。  代替案としては、このまま家に戻り、明日から兵庫県か鳥取県の川へ行くというのが妥当なようです。  そうなると、まずは北海道のレンタカー店やバンガローにキャンセルの電話を入れて・・・などと考えていると、ANAから振替便の放送がありました。  そんな方法があったのか!

          北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第2章 (全8章)『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 後編)』

          北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第1章 (全8章)『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 前編)』

                                              全4話 第1話  平成28年6月  前年夏の釣行最終日に出会った「おいっ!」の淵の川の印象は、それ以前に出会った桃源郷の川に勝るとも劣らぬほど強烈なものでした。  「釣れる川」という素晴らしさに加え、新千歳空港から近いこと、バンガローや温泉が近くにあることなど好条件がそろっていました。  約10ヶ月間、入念な準備をして臨みました。  今回は、初めて飛行機をネットで予約し、格段に旅費が安くなりました。これで

          北海道のフライフィッシング 一「おいっ!」の淵の川で自分を釣る、2度も一 第1章 (全8章)『飛行機よ、飛ぶのか!飛ばんのか!( 前編)』

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第5章 最終章『智将 堀川君』

                        全4話 第1話  私達は、吉垣君が私達のことをしゃべってしまうのではないかと心配になってきました。 「僕らのことがバレたらどうなるん?」 陽ちゃんが心配そうな声を出しました。 「バレるわけないやろ!」 私は自分に言い聞かせるように言いました。 「そりゃそうやん。あいつらは何も知らんのやで。」 と、哲ちゃんが落ち着き払って言いました。 「ぼくらの名前も知らんし、知ってるのは背が大中小の三人ていうことだけやで。」 「そうか〜。そんだけしか知らん

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第5章 最終章『智将 堀川君』

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第4章『吉垣捕まる!』

                      全3話 第1話 「よし、あいつらとは逆におばん池から高取山を通って帰ろう。」  私達は、再びおばん池へ向かって歩きだしました。  すると、おばん池の土手を下りてくる堀川君の姿が見えました。 「大丈夫やったか?」 「うん。製材所の材木の下に隠れとってん。」 「そうか、良かった。それでも、お前ら無茶なことすんな〜。」 「ごめん。あんまり腹が立ったから。」  私は常々母から言われる「かっとなったらあかんよ。」という言葉を思い出しました。  怒りのままに

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第4章『吉垣捕まる!』

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第3章『逃げろ!』

                     全4話 第1話  三人は一目散に南側の土手を下りました。   急な土手を下ると、なだらかな坂道が続きます。  向こうに中塚製材所のトタン塀が見えてきました。  先頭を走っていた私が立ち止まって振り返ると、陽ちゃんはすぐに追いついて来ましたが、哲ちゃんはなだらかな坂道を息も絶え絶えに、まるで泳ぐようにこちらへ向かっています。「哲ちゃんがんばれ。速く!」  哲ちゃんのはるか向こうの土手の上では、なんとあいつらが私達を見つけて今にも追いかけて来ようとしていま

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第3章『逃げろ!』

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第2章『仕返し』

                     全4話 第1話  「ええやんけ。」  その中の一人がいきなり陽ちゃんを突き飛ばし、箱から無理やり一個掴むと、池に向かって「爆弾や〜。」 と言って投げつけました。 「おもろ〜。」 「俺にもやらせろ。」 と、二人目がやり、すぐに全員が次々に泥団子を池に向かって放り投げました。  泥団子は放物線を描き、水面に落下したり、蓮の葉の上に落下して砕けたりして、次々にその数を減らしていきました。「くっそ〜。」  尻もちをついたまま涙を浮かべて悔しがる陽ちゃんを見て

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第2章『仕返し』

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第4章(最終章)『観音様のご守護はあるのか⁉』

                       全5話 第1話  すると、後ろから 「戻ろうか。」 と、お義父さんの声がしました。 「戻る?」  せっかくここまで来たのに?  確かに、もうこのまま前進することは無理です。一旦退却するしか道はありません。  パニックに陥りそうになっていた気持ちがすっと落ち着いてきました。 「そうしましょう。」 と、ぐるっと回れ右をして、自分達が切り開いた形跡を頼りに、もと来た藪を漕いで川へ戻りました。    川へ出ると、爽やかな風に気分も体も軽くなりました。まるで

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第4章(最終章)『観音様のご守護はあるのか⁉』

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第3章『このようにして私達は遭難するのか!』

                       全3話 第1話  数年ぶりに思わぬ大物を釣り上げ、ついつい長居をしてしまいました。  気が付くと、時計は納竿予定の時刻をとうに過ぎていました。  フライトの1時間前には飛行場に着くという計画で動いていましたが、今すぐに車に戻らねば間に合いそうにありません。  私同様釣りに熱中しているお義父さんに声をかけ、急いで入渓地点へ向け川を下りました。  入渓地点には目印を付けていませんでしたが、林道から川へ向う道が突き当たる開けた場所なので、簡単に見つかるは

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第3章『このようにして私達は遭難するのか!』

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第1章『無法者等現る』

                     全6話  第1話  通称「おばん池」は、昭和40年代、私がお世話になった小さな池です。  おばん池は、私の家から二キロメートルほど離れた高取山の東の麓の崖の上にぽつんとありました。  池の大きさは約200平方メートルほどで、ずんぐりとした瓢箪形。  三方を笹藪に囲まれたこの池の東側は唯一土手になっており、私達子供はここから池に入ってメダカやエビを捕ったり、時には釣り糸を垂れたりしました。  水面には池の半分ほどを蓮の葉が覆っていました。  まだブラック

          昭和のガキ大将 一おばん池の攻防一 第1章『無法者等現る』

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第2章『「おいっ!」と私を呼ぶ川』

                             全5話 第1話  さて、帰る時刻は刻々と迫ってきています。急いで上流に向かいました。    道路はアスファルトからバラスに変わり、いよいよ森の中です。ハンドルを慎重に握り、ゆっくり進むと車停めが見えてきました。  お義父さんに 「この辺りに停めましょうか?」 と聞くと、 「もうちょっと上流へ行こう。」 と、いつもは私の提案になんでも同意するお義父さんが、珍しく主張しました。  お義父さん、なんだかやる気いっぱいのようです。  時間的に、

          北海道のフライフィッシング 「おいっ!」の淵の川で危うく遭難しそうになる 第2章『「おいっ!」と私を呼ぶ川』