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【社会人留学2年目】メルボルン大学大学院・卒業生インタビュー(No.2)

こんにちは!今日は、昨学期(8月)にメルボルン大学で「エンジニアリングマネジメント」の修士号を取得し卒業した、インドネシア出身のFへのインタビュー記事となります。

過日の、日本人の友人・Tちゃんへのインタビュー記事には大きな反響をいただきました!今回はその第二弾です。そして、第三弾も近々アップ予定なのでお楽しみに!

これまでに約1万ビューをいただいていますが、こちらのインタビュー記事は閲覧数2位になっています!ありがとうございます!


Fとは、大学院での最初のセメスターで履修した授業で出会いました。知的で、友達思いで、志が高い、とても尊敬する友人です。

Fが明るく話しかけてくれたこと、一緒に難しい課題(アナリティクス…)をやり遂げたこと、そして授業外でも深く語り合い、励まし合いながら多くの充実した時間を共有したことは、私にとってかけがえのない大切な思い出です。

この濃厚な留学生活の中で、私がどんな友人と関係を築いてきたのかを知っていただくと同時に、Fがどのような背景や経緯を経て社会人大学院留学を決めたのかどのような一年(Fのコースは1年間)を過ごしたのか、そして今後のキャリアの展望についても、皆さんにご紹介したいと思います。



1.インタビュー

以下、英語でのやりとりを日本語に訳してお届けします。

ココ(以下K):試験お疲れさま~。インタビューを引き受けてくれて本当にありがとう!まずは、Fのバックグラウンドについて教えてください。

F:ありがとう!私は、インドネシアの中部ジャワ出身で、現在はインドネシア最大の民間銀行でプロダクトオーナーとして働いています。

K:プロダクトオーナーとはどういう仕事なの?

F:たとえば、ステークホルダーとの交渉から開発チームとのやり取りまで、プロダクトをローンチするにあたってのビジネス要件全般の調整を行っています。

K:なるほど。マネジメントコンピテンシーでステークホルダーマネジメントを学んだけれど、ああいうことを実務で実践しているんだね!Fも私と同じくキャリアブレイクして大学院に留学しているわけだけど、キャリアの途中でメルボルン大学で学ぶことを選んだのは、どういう経緯からだったの?

F:そうだね。仕事を始めて6年が経ち、順調で安定してはいたんだけど、「このキャリアが本当に自分にとって正しいのか?」と考えるようになったのがきっかけかな。迷った末に、リスクを取ってキャリアを変えるのではなく、リスクの少ない休職という形で修士号を取得しようと思ったんだ。それに、将来的に大学の講師になりたいとも考えていて、学士号だけでは不十分だと思ったことも理由の一つだね。

K:現職に籍を置きながら学ぶ形をとったんだね!キャリアをスタートさせてから大学院で学ぶ価値って何だと思う?

F:キャリアを積んだ後に学問の世界に戻ると、自分が何を知りたいのか、何をもっと学びたいのかがより明確になり、その結果、履修科目をより的確に選べたと思う。あと、職場での経験があるおかげで、異なる文化を持つチームで働く際の適応力も向上したと思うよ。学部生の頃と比べると、他者に対する忍耐力や理解力も大きく成長したと感じるなぁ。

グループ課題のディスカッション中に
みんなで食べたLUNEのクロワッサン~

K:確かに!!お互いグループ課題では苦労することもたびたびあったけど、仕事をするなかで鍛えたストレス耐性だったり、コミュニケーションの取り方だったりが奏功した場面が私もよくあった。ちなみに、学生と社会人の違いについて、どんなふうに捉えてる?

F:働くということは、どこに終着点があるのか、どのようなチャンスが転機となるのか分からない道を歩いているようなものだと思う。一方で、修士課程を進めている間は、その終着点が取得する学位だと明確にわかっているよね。今の私の課題は、その学位をどのように活かして新しいことを見つけるか、または自分自身をさらに成長させる方法を探ることかな。

K:なるほど・・・!キャリアの語源は「轍(わだち)」で、これまで歩んできた道のりを表すんだよね。ゴールも正解もない道を歩きながら、自分が選んだ道を正解にしていく厳しいけれど、何が待ち受けているのか分からない面白さが含まれているの働くということだよね。。そして、Fは政府からの奨学金で留学していたんだよね。奨学金をもらうまでのプロセスも、競争が激しくて本当に大変だったと思うけど、実際どうだった?

F:うん!インドネシア政府からの支援を受けて留学しました。具体的には、2021年の夏頃に修士号取得のための留学を検討し始めて、奨学金についての情報を集め始めたんだ。それからIELTSを受けたり、さまざまな書類を揃えたりして、2022年にはスウェーデン、韓国、オーストラリア、日本の大学に絞って、インドネシア政府の奨学金プログラムに正式に応募したよ。

K:かっこいいなぁ。奨学金取得のためにどんな思いや展望を伝えたの?

F:自分の修士課程に対するモチベーションとして、「ファイナンシャルインクルージョン」を促進したいという思いをエッセイに書きました。ファイナンシャルインクルージョンとは、銀行の安全性を人々に認識してもらい、銀行に安心してお金を預けてもらうことです。信じがたいかもしれませんが、特に地方ではまだ銀行への信頼が低く、それが大きな障害になっています。この課題を解決することで、ビジネスの機会が広がると信じています。

K:まさにステークホルダーマネジメントが大事そうだね。ちなみに、もともと大学院で学ぶことには興味はあったの?

F:うん!プロダクトオーナーやプロダクトマネジメントについて、アカデミックに学んでみたいとずっと思っていたんだ。この業界は技術の進化とともに絶えず変化していて、特に金融業界では日々の業務が古くなり、価値を失う場面をよく目にするからこそ、常に学び続ける必要があると実感していたんだ。それが自分にとって学びへの大きなモチベーションにもなっているよ。

K:学び続ける重要性を実務を通して実感したという点、とても共感するよ。授業を受けていて感じるのは、私の職種での成功事例やベンチマークがこの10年も経たないうちに大きく変わっているということ。最新の研究からそういった変化に気づかされるたびに、知識とスキルを常にアップデートしなければいけないとハッとさせられ、緊張もするよね。ピープルマネジメントには普遍的な部分も多いけれど、外部環境に応じて変化していくものだと受け止めるようになったよ。

F:うん。英語圏で学ぶことで新しい知識が増えたし、生涯学び続けることの大切さを改めて実感したかな。最近は、祖母がスマホを学んでいる姿に刺激を受けて、自分も専門分野以外についても学ばなきゃと思ってるんだ。たとえば、韓国語を学んだり、アジアの金融業界の発展についても勉強しているよ。

はじめてのふたりでの外食はインドネシアレストラン❤
Fがとびきり美味しいところに連れて行ってくれました。
グリルドシュリンプが本当に美味しかった。

K:素敵!メルボルンでの生活はどうだった?

F:メルボルンは安全で過ごしやすくて本当に素敵な街だけど、生活費が高いのがちょっと痛いよね。特にCBD(中心業務地区)にはアジアの人が多く、たまにアジアにいるような気分になることがあったのは少し予想外だったかな。メルボルンでは友人とカフェで過ごすのが好きだった。考え事をしたいときには、一人で街を散策することでリフレッシュしていたよ。

K:生活費、特に家賃が本当に高いよねぇ。東京と比べてもかなり高いし、それでいて部屋が狭かったり、クオリティがちょっと…。(笑)でも、メルボルンではどこに行ってもクオリティの高い美味しいコーヒーが飲めるのは幸せだよね。大学についてはどう感じている?

F:大学は学ぶ環境として本当に整っていて、図書館が多いところが特に気に入っていたよ。他にもシドニー大学やクイーンズランド大学など、オーストラリア国内の他の大学キャンパスも見たことがあるけど、やっぱりメルボルンのキャンパスは素敵だなって感じたよね。ネガティブな点を挙げると、成績評価に関してもう少し透明性が欲しいと思うこともあったかな。

K:確かに、深夜まで開いている図書館がいくつもあるのはありがたかったよね。試験期間中にお菓子をもらえるのも、ちょっとした励みになったなぁ。私はビジネススクールの図書館にはいつも混んでるからあまり行かず、ロースクールや人気のBaillieu、今学期はよくERCに通ってたかな。ERCの窓際のカウンター席は集中できるんだよね。Fのお気に入りの図書館はどこだった?

F:えー、それは難しい質問。。Rowdenの、あえて勉強するな!っていうコンセプト(笑)が好きだなぁ。勉強のためなら、私もERCかも。ほかの図書館よりも明るい雰囲気があるし、ミーティングルームの設備も整っている気がするんだよね~。

真冬に中華街で食べた火鍋。美味しかったけど
あまりにもスパイスがきいていて私は涙目。(笑)


K:ところで、Fはエンジニアリングマネジメントを専攻していたんだよね。印象に残っている授業を教えて。

F:特にためになったのは「戦略的変革リーダーシップ」という授業かな。その名の通り、チェンジマネジメントの方法について学ぶんだけど、クラスには欧州から南米までさまざまな文化的背景や異なる経験を持ったクラスメートがいて、多様な視点を聞くのが面白かった。教授が紹介してくれる実例も実践的で、参考になるものが多かったよ。授業は2時間のセミナーと1時間のチュートリアルで構成されていて、毎回のディスカッションは学生がリードする形式なんだよね。トピックは講師が決めるんだけど、内容や進行はリーダーに委ねられているから、主体的に授業に参加できるところが良かったな。

K:面白そう!Fはどんなトピックに取り組んだの?

F:私たちのチームは、感覚産業で差別化戦略を取ることを選んで、さまざまな顧客セグメント向けの製品に取り組んでみたんだ。でも、2週目で予測を誤ってしまって、それが戦略の破綻、という致命的な結果を招くことになったんだよね。。少なくとも教訓は得られたけれど。

K:リアルな学びだねぇ。授業ではいろいろと苦労もあったと思うけど、特に大変だったことと、それをどう乗り越えたか、ぜひ聞かせてください。

F:そうだねぇ。特にグループ課題では、メンバーの目標設定やモチベーション、さらには些細なコミュニケーションの取り方まで、期待値や文化の違いに悩むことが多かったな。私の場合は、メンバーそれぞれと積極的にコミュニケーションをとって、優先度を理解し、それに基づいてタスクを配分するように心掛けていたよ。コンフリクトが起こらないように、またメンバーが前向きに課題に取り組めるように、こまめにフォローもしていたと思う。

K:リーダーシップを発揮していてFらしいし、本当に素晴らしい。おつかれさま!!お互い、よく頑張ったよね。Fは、授業以外にも活発にさまざまなアクティビティに参加していたよね。どんな活動をしていたか、あらためて聞かせてください。

F:そうだね。やっぱりハイライトはコンペティションやハッカソンに挑戦したことかな。優勝できたものもあって、それも嬉しかったけど、何より新しい知識や経験、そして友人をたくさん得られたことが大きかった。異なる視点を持ち寄ってディスカッションする機会も多くて、とても刺激的だったなぁ。

K:そうだよね、Fはコンペティションに精力的に取り組んでいたよね!優勝したコンペの内容について聞かせて欲しいな。

F:”Global Health Case Competition”において、私たちのチームFunFitFriendsは、学生のウェルビーイングを向上させるための4つのアイデアを提案しました。内容は、入学時のウェルビーングに関するオリエンテーションの必須化、ソーシャルメディアでのコミュニティ解説、ウェルビーイング促進のための教職員の役割の提案、そしてリチャージルーム(学生が休めるスペース)の提供、といったものでした。ココもアンケートに協力してくれたよね。

K:本当に大切な取り組みだね。学生生活とストレスは切っても切り離せないしね(笑)。大学には、こういったサポートを実行に移すためにもっと力を入れてほしいところだよね。それから、Fは学生コミュニティにも参加していたよね。どんな活動をしていたの?

F:うん!エンジニアリングマネジメントの学生団体に参加して、イベントの運営をしていたよ。オーストラリアでイベントを開催するには、特にリスクアセスメントや、食事の提供における配慮が求められる点があって、インドネシアとは違っていて興味深かったなぁ。

K:あらためて、色々な課外活動に取り組んでいて素敵!最後に、卒業を控えているわけだけど、今後のキャリアについて聞かせてください。

F:卒業後はインドネシアに戻って、今所属している銀行での仕事を続ける予定です。でも、アジア開発銀行のヤング・プロフェッショナル・プログラムにも応募して、国際的なキャリアを築いていくことも視野に入れています。私たちのクラスメイトであるフランス出身のMが、そもそもフランスで働き続けることを前提にせず、国際的なキャリアを築いていくのが当たり前だと考えている姿勢に、とても刺激を受けたんだ。そのために英語も磨き続けなきゃと思ったよ。

K:今日は話を聞かせてくれてありがとう。Fのこれからのキャリア、本当に楽しみにしているし、心から応援してるよ!

F:ありがとう!家族や友人、同僚など、私の人生に関わってくれた人たちは、これからも私にとって大切な存在です。みんながいるからこそ、日々の生活で目標を達成する力をもらえてるんだ。ココもその大切な人の一人だよ。これからもよろしくね!

2.インタビューを終えて、ココ所感

大学院生活を始めて間もない頃に出会った友達が、晴れて修士号をとって卒業するというのはとても感慨深く、インタビュー中にさまざまな出来事を振り返りながら胸がいっぱいになりました。卒業式前の彼女に会いに行ったのですが、光り輝いていて、ほんとうにまぶしかった。

実は私自身、卒業式にはでなくていいかなと思っていたのですが(日本とは異なり、大金を払って任意参加するイベントのような位置づけなのです)、卒業式での彼女を見てほんとうに胸がいっぱいになったので、通過儀礼として、私も自分の式に参加しようと決めました。

週に一回は会っていた彼女がメルボルンを去った今セメスターは、正直とても寂しい気持ちになりましたが、将来の再会を楽しみにしながら、お互いのキャリアを応援し合い、友情を大切に育んでいくのが楽しみです。
“Don't overplan; just make what seems like the right decision each time!(「計画を立てすぎず、その時々で正しいと思う決断をしていこう!」」”

私が授業でくやしい思いをしてしょぼん(´・ω・`)
だったとき、わざわざ予定をあけて励ましてくれたF。
一緒に食べたフォーは最高に美味しかった

3.Fより、卒業式を振り返って

卒業式は本当に感動的でした。試験が終わってインドネシアに戻っていたので、再びメルボルンに戻ってこられたことがとても嬉しかったです。多くの友人が集まってくれて、ただ修士号を取得するだけでなく、素晴らしい人たちとのつながりができたことを改めて実感しました。Royal Exhibition Buildingでの式典は特別な雰囲気に包まれており、期末試験の会場として使われたときの不安が、学位授与の喜びへと変わった瞬間でした(笑)

素敵なお手紙、ありがとう❤
You mean so much to me too!



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