【短編小説】仮)アデリア王国物語#07
キルケー家のサルトルがパーティーに現れた。近くの小屋で火災が起き、気が逸れた所を襲撃された。
サルトルは堂々と入ってきた。そして周りの警備を掻い潜り、至近距離で発砲する。
男性の客の一人が気付くと波打つ様に人が散る。そのどよめきにリアーナとバイレードも気付く。真っ先に護衛隊がバイレードに駆け寄り、押し付けた。
ーーー銃撃音が轟くーーー。
「きゃああ!!!」
リアーナのドレスが血に染まる。銃撃で「倒れた貴族の女性」にリアーナは駆け寄っていた。
人並みを掻き分け、別の護衛隊はサルトルを抑え込む。サルトルは抵抗した。リアーナが抱きかかえた女性に精一杯でその場から動けず、左肩にサルトルの弾丸が貫通した。
「あぁっ!!」
リアーナは呻いた。肉を抉る様な強烈な痛みがリアーナを苦しめる。
最後にサルトルは銃を乱射し、天井に発砲してシャンデリアが落ちた。
女執事のレベッカが身を挺してリアーナを庇い、シャンデリアの破片が体に突き刺さる。
今までにない大事件になった。
護衛隊に庇われてバイレードや他の客が起き上がり、辺りの状況を見渡す。サルトルを制圧したが、パーティーは悲惨だった。アンドレアも将棋倒しで怪我をした。
「怪我人が居ます!早く搬送の準備をして下さい!!」
メイドが急いで黒電話で主治医に電話を掛ける。
サルトル・キルケーは現行犯逮捕された。
肩を撃たれたリアーナや倒れた令嬢は太ももから血が出たが、命に関わるものではなかった。
一部の警察や民間の搬送が終わって臨時的に集まりが再開された。父親のアンドレアは落ち着いて下さいと言い放った。みんな何処か心許ない。怖いや心配する話が多くてとてもじゃないがパーティーにならない。
「バイレード大佐、ちょっと良いかな?」
父親は今後についてリアーナの為にも後ろ盾が欲しいと思った。バイレードにしてもリアーナの身の危険を考えていた。
サルトルが逮捕されたとは言え、次に何が起こるか分からない。サルトルは罪悪感もあった。少し話をして即決した。
退院後、リアーナを王家の宮殿に連れて行く事が決定した。
サルトルの逮捕が何を示す事なのか、まだこの時は何も知らなかった。
退院後、リアーナは両親の元から離れていき、馬車で遠くの中心街である王族の住む城に入る事が許された。
ワインパーティーの日は、いつもながら皇帝は国際会議で不在で開けていた。
同盟国との遠征であった戦いの戦後処理をしていたが、急遽、臨時の国境警備を強化して、アデリア海に軍船の警戒に当たった。
だからバイレード大佐は海で監視をして不在だった。
【続く】