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あなたのことが大好き
話す。歩く。
愛する。
歌う。踊る。
空中を泳ぐ。
床に、絵を描く。
光で、遊ぶ。
閉ざされた空間で
過ごさなければならないとしたら
わたしならまず歌を歌うのだろうか。
歌詞が思い出せないことが
きっと切ないだろう。
好きな映画や小説を
頭の中に投影する。
自分の家、音楽、料理
会いたいひと
可愛い子犬
マッチ売りの少女のように
頭の中に出現させていく。
言葉をつくり
歌をつくり
踊りをつくる。
もしもまだそんな精神力が
残されていたら、の話だけれど。
空気の中を泳ぐ。
床や壁に、絵を描く。
反射する光
あるいは恐怖をもたらす闇に
自分だけの意味を与える。
そういう段階になると
壁の中にいることが
日常になったという感覚を
覚えるのかもしれない。
「演劇」はだから
裸ん坊で出来る
原始の遊びなのだ。
言葉を発する。
アウアウとでもいい。
音と光、音階とメロディ。
そこから流れ出てくる思想の源流。
牢獄の中でも
精神病院の鉄格子の中でも
わたしたちは
自分の人生を生きられるとしたら
わたしは今
こんなに開かれた場所で
何をしているつもりなのか。
「社会的に意味のある人生」だけが
人生ではない。
「社会的に抹殺された人生」
その先に
おびただしい量の
光を発している
鉱脈があるのだとしたなら。
いや、あるのだ。
わたしはかつて
それに触れたし
今もまた
その光が
わたしを呼ぶ。
あなたのことが大好き。
わたしのことが大好き。
大好き。
それは魔法なのだ。
すべての鍵だ。
扉は必ず開く。
何故ならば
愛は万能だから。
わたしは愛を信じる。
必ず、最後に
愛は勝つと信じる。