空間
今日は、公園で歌うはじめての日だった。
立ち止まって次の曲を待ってくれる人がいたり、拍手してくれる人もいて、幸せな路上デビューだった。
大きな池があって、鳥が飛んでいる。
木が沢山生えていて、風が吹きわたっている。
恋人たち。絵を描く人。散歩する老夫婦。いろんな種類の犬たち。走りまわる子供たち。
そして空。雲が浮かんだ、青い青い空。
その中で歌える幸せ。
演劇をしていた時も、野外公演が大好きだった。
追いこまれてヒリヒリする緊張感があっても、木がざわざわと揺れたり、小鳥の声が聞こえると、心が途端に静かになるのだった。
わたしはただのわたしなのだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
武装したり力んだり、逆に何かを恐れたりする必要はないんだ。
自然の中にいると、それがわかる。
レット・イット・ビー。
あるがままに。
空間はいつもわたしを救ってくれた。
空間に向かってわたしはずっと…
何かを伝達してきた気がする。
愛に似た、何かを。