ときどき日記(194)イタコの口寄せ
家族で宗教に属していたこともあり、通っていた宗教が今どうなっているか漏れ伝わってきたりする。
会長が他界した折にはどうなってしまうのか、残された者たちはどうなってしまうのか案じてしまう。
また、今はいくつかの宗教のことについてメディアでよく見聞する。
そんなことを話しているうちに、巡り巡って恐山の話にたどりついた。
私は恐山の僧侶が著わした本を読んで救われた経験も持つ。
恐山と言えば「イタコの口寄せ」だ。
あの世にいる者とのコミュニケーションの橋渡しをしてくれる。
これまでの人生の中で、ああいったものは眉唾だと思っていたこともあり、口寄せしてもらう相手など当然いなかったが、今は、たとえ眉唾だったとしても、30年以上前に他界した父に会いたくなった。
父に頼みたいことがある。
「もうすぐお母さんがそっちに行くから、そのときは頼んだよ」
家内と話をしていて、そういうことを伝えたいと打ち明けたとき、この言葉、自分で言っておきながら泣きそうになった。