ときどき日記(419)急行八甲田の♀
鉄ヲタたちが、また迷惑を起こしたとかでニュースになっていた。
ただ、わたしら昭和の人間にとっては懐かしい車両だったので複雑だ。
数えること40数年前のことだ。
まさにほとんどこの時期に鉄道と青函連絡船で北海道へ行った。
函館界隈を周遊するミニ周遊券というのを買って出発した。
急行の自由席なら乗り放題になっていたから、東北本線の夜行急行「八甲田」に乗るために昼から上野駅のプラットホームに並んだ。どうやって時間を潰したかよく覚えていない。もちろんスマホもないし、ゲームもない。ウォークマンも持っていなかった。
定刻通り急行八甲田は入線し、無事に進行方向向きの窓側をゲットした。
終着青森までおよそ11時間半の旅になるが、上野の段階では満席どころか夜行なのに通路にもぎっしりと人が座るような混雑ぶりだった。
4人が向かい合わせに座る車両だったが、そこに6人も腰掛けた。二人が窓側に詰めてすわり、3人目は通路側に足を出して座った。
もちろんリクライニングなんてないし、冷房も無かったと思う。一晩中、窓を開けていた。
わたしの正面には、ほぼ同い年の女子体育大学に通う女子が座った。
11時間半の旅ともなると同士みたいな気分も湧き住所や電話番号も交換した。
そういう場面ではきっと私のことでも多少格好良く見えたのかもしれず、夏休みが終わってから1度だけ会ってもらえた。でもきっと幻滅したはずで2度目は無かった。
電話か手紙しか連絡手段が無く、最初に届いた手紙の差出人は「急行八甲田の♀」と書いてあった。
この時期に青森まで北上してしまえば、東北の大きなお祭りを全部観ることが出来ることも知った。
青森「ねぶた」、秋田「竿灯」、山形「花笠」、仙台「たなばた」等。
それにしても、よくよく考えると、よく上野駅で何時間も並べたなと思うし、冷房が無い列車もまだまだ健在だったのだ。
昨今だったら暑くて何時間も上野駅に並べないし、冷房が無い列車など考えられない。
また夜行列車で一晩中窓を開けて外を眺められるような旅がしたい。