ときどき日記(402)健康保険証をマイナンバーカードにひもづけると簡単に没収と同じ状態をつくることができる
国民健康保険料の滞納整理をしていたとき、昔は保険証発送の折に滞納者の分は引き抜いていた、つまり、保険を使わせないための没収をしていたと聞いた。
しかし、今は時代も変わり、保険料を滞納していたとしても引き抜きは行わず、保険を使わせる。おそらく命に関わる問題でもあるから滞納していたとしても使わせるのだと思う。
さらに、引き抜きする作業は手間もかかる。リストに従って引き抜きをすることになる。自治体によっては万単位の発送物の中から1通1通引き抜く。万が一にも引き抜きにミスはあってはならないから、リストと抜いたものを二人で読み合わせていく必要もある。引き抜いたものは厳重な保管を求められる。
手間ひまの問題は結構大きい。
政府は今、選択肢なく、紙の保険証を廃止しようとしている。
マイナンバーカードにひもづけさせ、そのマイナンバーから保険証のサイトに読みに行かせるシステムにするということだ。
これは滞納整理の現場からすると良くない期待が持ててしまう。
国民健康保険については滞納整理という仕事を全廃できることになる。
常に納付状況と連動しているサイトにデータを読みに行かせることになるから、納付情報が無ければ都度失効させてしまうことができ、命や健康を人質にして納付を強制することが出来る。
在籍したことがある国民健康保険料の滞納整理の現場と照らし合わせた肌感覚では、十数万人の自治体で、10人の滞納整理の職員がいて、この10人を切れば、年数千万円の人件費が浮くし、督促やら差し押さえなどをするよりも、命や健康を人質に取った方がより納付の強制力が高まる。
大部分の人は納付している。この人達はより強制力が高い納付方法に大いに賛成するだろう。
もちろん政治がこれを見逃すはずはない。
しかし、これは弱者切り捨てでもある。気を付けたい。