【1982】再生可能エネルギーを利用するにはさまざまな障害がある。(けれども、あれから40年経っている)
【1982年の卒論回顧】代替エネルギー開発におけるソフト・エネルギー・パス理論の有効性(10)
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3 ソフト・エネルギー利用上の障害
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水力においては、前節で述べたように、水力発電における中小規模の水力発電はコストが割高なのがひとつの難点となっており、さらに、水力発電施設の立地市町村では、水没による過疎他の進展や、ダム・貯水池・減水区間などが生まれたことによる河川の機能低下を緩和するための財政需要の増大等が生じている。
地熱においては、地熱資源の利用のために必要となる道路、構築物、機械装置等による観光資源・自然景観への影響を小さくせねばならないし、蒸気・熱水中には硫化水素・砒素等が含まれる場合が多いので、それらによる水質汚濁、土壌汚染、悪臭等を防止せねばならない。さらには、冷却塔からの蒸気の放出による周辺の樹木等への悪影響を防止する必要がある。
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太陽エネルギーは、その賦存量に地域偏在性はないが、特に、緯度や気象区分により量的差異があるし、エネルギー密度が低い。地球にふりそそぐ太陽エネルギーは、1平方メートル当たり1キロワット(注31)程度のエネルギー密度しかなく、利用に当たっての面積効率が良くない。また、曇天や雨期あるいは夜間には、ほとんどエネルギー供給がなく、エネルギー需要のタイミングと一致しない。技術的には、太陽電池等を住宅・ビル・工場などの汎用的な用途に利用するためのシステム技術が未確立である。
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風力においては、わが国は、山地が多く水が豊富なために急流が多く、このため水車が発達し特殊な例を除いては風車等による風力利用は、これまでほとんど用いられなかった。また、毎年台風が来襲することも風力利用を妨げている。さらに、風力エネルギーは、エネルギー密度が低く、風向・風速等、時間的変動が激しいなどの問題をもっており、現状では安定したエネルギーとして期待するためには、経済性、安全性、信頼性の向上等を図っていく必要がある。〔図Ⅱ-2参照〕
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第二章(注)
(1)社団法人日本広報協会編「明日をひらく石油代替エネルギー=その開発と導入=」19頁昭和56年社団法人日本広報協会
(2)社団法人日本広報協会編「前掲書」19頁
(3)社団法人日本広報協会編「前掲書」18頁
(4)社団法人日本広報協会編「前掲書」18頁
(5)社団法人日本広報協会編「前掲書」19頁
(6)社団法人日本広報協会編「前掲書」19頁
(7)社団法人日本広報協会編「前掲書」18頁
(8)社団法人日本広報協会編「前掲書」18頁
(9)社団法人日本広報協会編「前掲書」19頁
(10)社団法人日本広報協会編「前掲書」19頁
(11)社団法人日本広報協会編「前掲書」18頁
(12)社団法人日本広報協会編「前掲書」18頁
(13)社団法人日本広報協会編「前掲書」19頁
(14)社団法人日本広報協会編「前掲書」19頁
(15)社団法人日本広報協会編「前掲書」18頁
(16)社団法人日本広報協会編「前掲書」18頁
(17)社団法人日本広報協会編「前掲書」19頁
(18)社団法人日本広報協会編「前掲書」18頁
(19)エイモリー・ロビンズ著室田泰弘・槌屋治紀訳「ソフト・エネルギー・パス」4頁昭和54年時事通信社
(20)通商産業省編「エネルギー81」12頁昭和56年電力新報社
(21)エイモリー・ロビンズ著室田泰弘・槌屋治紀訳「ソフト・エネルギー・パス」5頁昭和54年時事通信社
(22)長洲一二編著「ソフト・エネルギー・パスを考える」34頁昭和56年学陽書房
(23)長洲一二編著「前掲書」39頁
(24)エイモリー・ロビンズ著室田泰弘・槌屋治紀訳「ソフト・エネルギー・パス」189頁昭和54年時事通信社
(25)エイモリー・ロビンズ著室田泰弘・槌屋治紀訳「前掲書」189頁
(26)長洲一二編著「ソフト・エネルギー・パスを考える」70頁昭和56年学陽書房
(27)長洲一二編著「前掲書」70頁
(28)長洲一二編著「前掲書」70頁
(29)社団法人日本広報協会編「明日をひらく石油代替エネルギー=その開発と導入=」101頁昭和56年社団法人日本広報協会
(30)長洲一二編著「ソフト・エネルギー・パスを考える」70頁昭和56年学陽書房
(31)社団法人日本広報協会編「明日をひらく石油代替エネルギー=その開発と導入=」96頁昭和56年社団法人日本広報協会
(つづく)マガジン「ソフト・エネルギー・パス理論の有効性」に編綴