ときどき日記(103)いじめの処理はホントに面倒くさい
いじめの担当にあたって、いじめが放置されたり、隠蔽されたりするのが、新聞報道では「隠蔽生んだ『身内意識』」(9/18読売新聞朝刊13版24面)としているが、「身内意識」など公務員(教育委員会)などに無いと断じたい。
そもそも、いじめが学校から教育委員会などの上局に情報が上がっていかないのは、その立地のあり方から始まる。
学校は役所の一部ではあるが、本庁から独立した場所で、全ての学校が同じ組織で、全く同じ事を、全く同じ時期にやっている。畢竟、手柄を挙げることはなかなか難しく、上局への報告は「異常(異状)なし」が最高の報告になりがちだ。いじめの発生は「最悪」だ。
ひとたびいじめが発覚すれば、当の学校ばかりではなく、上局でもある教育委員会、他校も「最悪」になる。
こと、いじめについては、到底、手柄になることはなく、うまく納めたところでマイナス点がゼロ点になるだけである。
詳細な経緯、原因などを細大漏らさず調べ上げ、再発防止策を綿密に策定し、これらについて完璧な資料にまとめ上げ、完璧な想定問答も作り、ともすると他事例も調べ上げ、これも想定問答に盛り込む。
当然、膨大な資料集になり、首長にたどり着くまで、それら資料群の勉強会を重ねていく。
記者会見にでもなれば、全資料を持ち込ませるわけにもいかず、いちいち参照させるわけにもいかず、せいぜい想定問答を持たせるだけで、そこに付ける見返し資料までが限界だから、基本的に全部暗記してもらい、自分のものにしてもらわなければならない。
首長や上層部は、そもそも「身内意識」など無いから、イライラし、ともすれば暴力的になったりもする。これに対しての内部対策も欠かせない。
現場は更にトランキライザー的に多くの面倒を見てやらねばならなくなる。資料も増える。
資料を渡して一通りの説明をすれば、「あとはいいよ」などと言ってくれる上層部はほぼ皆無で、彼らが納得するまで時間無制限にもなる。
このように、膨大な作業量と時間を要するが、これに対して人員が別途配置されることはなく、時間無制限になっても管理職だと超過勤務手当は出ない。
もちろん、やってもやっても所詮、手柄にはならないから、昇進、昇給もない。ともすると戒告などの懲戒や減給の憂き目にも遭う。
いじめの処理は、面倒くさいし、本当に迷惑だと思われているだろう。「身内意識」以前の問題だ。
私は現役の頃、ごみの収集センターに事務方として勤めたことがある。
当時、職員間でいじめ(パワハラ)が発生し、孤軍奮闘し、解決への道筋をつけたものの、本来業務ではないと言うことで、評価の対象にならず、逆に、自分がメンタル障害を起こして3ヶ月休んだことで、下位昇給の憂き目にも遭った。
「身内意識」があったなら、こんな非道い目にあわされることはなかったはずだ。