危ういマルクス主義再評価【気になった記事のメモ】(126)
♯20240904読売朝刊解説
○マルクス・ガブリエル「倫理資本主義」
○「近年、西側の内部で資本主義は貧富格差を拡大し、地球温暖化を招いた元凶とする声が上がる一方で、マルクス主義再評価の動きがある。
危うい。
資本主義は封建主義を否定し、個人が経済的手段を使って、自由を獲得する道筋をつけた。
その自由が創造性と生産性を創出した。
そして自由・民主主義は全体主義にも打ち勝った。
今は資本主義を強化すべき時だ。
不平等拡大や環境破壊は資本主義ではなく、試行錯誤を重ねてきた産業化の負の側面だ」
「一方で、人工知能(AI)などの先端科学技術を連動させて富を築きさえすれば、人類の問題はすべて解決するという風潮がある。
これも危うい」
「現代の資本主義に欠落しているのは倫理だ。
利潤を求めつつ、貪欲を排する必要がある。
相互扶助を徹底する必要がある。
それは可能だ。
相互扶助は人間性に根ざしている。
浅瀬で溺れる児童を救うのは道徳法則だ。
これは市場でも通用する。
私の解釈では、アダム・スミスの『見えざる手』は、市場が自律的に問題を解決するのではなく、人間が市場で道徳的に行動する結果、市場は問題解決の場になるという指摘だ」
「西側が新冷戦に勝つためには強い経済が不可欠だ。
資本主義に信を置き、人類の直面する危機を克服するためにも、道徳を前面に打ち出した倫理資本主義へと転換する必要がある。
さもなくば、自由・民主主義は衰退してしまう」