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「西洋医学 vs. 代替療法」対立を超えた最適な医療を考える

「西洋医学は悪」「代替療法は善」ではない
医療との向き合い方を考える

世間には、「西洋医学は悪で、代替療法こそ善である」といった極端な考え方をする人がいます。しかし、これは非常に単純化された見方であり、本質を見誤る危険があります。西洋医学も代替療法も、それぞれに特徴があり、適切に理解し、使い分けることが重要です。

西洋医学の特徴と課題

西洋医学は、主に対症療法を基盤としています。特に救急医療ではその真価を発揮し、解剖学に基づいた診断と治療によって、命を救う場面が多々あります。しかし、問題なのは「どんな状況でも西洋医学に頼りすぎること」です。
本来、対症療法が適していないケースでも、不適切に処方されたり、治療が長期化したりすることがあります。その結果、「効果がない」「逆に悪化する」といった批判が生じるのです。
医療は万能ではなく、「いつどのように用いるか」が重要なのです。

代替療法の実態とリスク

一方で、代替療法とは、西洋医学以外の治療法を指し、東洋医学や免疫療法、分子栄養学、ホメオパシー、ハーブ療法、アロマテラピー、オステオパシー、精神療法など多岐にわたります。これらは伝統医学や自然治癒力を活用するものが多く、西洋医学の限界を補う可能性を秘めています。

しかし、代替療法にも大きな問題があります。

1. 資格制度の不備
ほとんどの代替療法は資格なしでも実施でき、医療従事者でなくても施術を行えるケースが多々あります。そのため、知識不足のまま施術を行い、適切な判断ができない場合があります。

2. 科学的根拠の不足
代替療法の中には、エビデンス(科学的根拠)が乏しく、効果が十分に検証されていないものも少なくありません。それにもかかわらず、「〇〇で必ず治る」といった誇大広告が見られることがあります。

3. 安全性の問題
たとえば、最近指摘されたアロマ製品のフタル酸エステル問題があります。
アロマテラピーはリラックス効果が期待できるとされていますが、市販のアロマ製品には、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)であるフタル酸エステルが含まれていることが判明しました。フタル酸エステルは、プラスチックを柔らかくするための添加物ですが、生殖機能への影響やホルモンバランスの乱れが懸念されています。


代替療法を取り入れる際も、成分や安全性を十分に確認しなければ、「健康のために使っているはずが、逆に健康を害する」ことになりかねません。

医療における適切な選択とは

現時点で「完全な医療方法」は存在していません。西洋医学も代替療法も、それぞれの長所と短所を持っています。大切なのは、思考停止せずに懐疑的な目を持ち、それぞれの治療法がどのような結果をもたらすのかを見極めることです。

日本では、医療費が国費の中で最大の割合を占めており、その増大は国家財政を圧迫しています。こうした現状を改善するためにも、西洋医学の縮小や自費診療としての代替療法の普及といった選択肢を検討することは有意義でしょう。しかし、それを実現するには、国民一人ひとりの理解が不可欠なのです。

まとめ

  • 西洋医学は救急医療において有効だが、対症療法がすべてではない。

  • 代替療法には可能性があるが、科学的根拠の不足や安全性の問題がある。

  • 「西洋医学 vs. 代替療法」という二元論ではなく、それぞれの特徴を理解し、適切に選択することが大切。

  • アロマなどの代替療法でも、フタル酸エステルのようなリスクがあるため、安全性を確認する必要がある。

  • 医療費削減の観点からも、西洋医学と代替療法の適切な使い分けが求められる。


医療を盲信するのではなく、「どう使うべきか」を考えることが、より良い健康管理につながるのでしょう。

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