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相続で気をつけたい!有価証券の落とし穴と税金の話


近年、NISAをはじめとした証券投資が一般的になり、相続時に有価証券を受け継ぐケースが増えています。しかし、相続手続きが終わったからといって安心してはいけません。有価証券の売却には特有の税金や社会保険料の影響があり、これを見落とすと相続人に思わぬ負担が発生することも。本コラムでは、証券相続の重要ポイントと対策について解説します。


1. 相続した証券を売却すると税金がかかる?

相続財産として有価証券を受け取った場合、その後の売却時に所得税が発生する可能性があります。「相続税を払ったのに、なぜ売ったときにまた税金がかかるの?」と疑問に思う方も多いですが、相続税と所得税はまったく別の税制。相続税は財産が移転するときに課される税金ですが、売却時には譲渡所得として別途課税されるのです。

例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。
• 亡くなった方が1株500円で取得した株式(1万株)
• 相続時の評価額は1,500円
• 相続人が2,000円で売却

多くの人は「相続時に1,500円で評価されているから、500円(2,000円−1,500円)が課税対象」と思いがちですが、実際には500円(2,000円−500円)が課税対象になります。この誤解により、予想以上の税負担が生じることがあります。

2. どの証券口座を使うかで税負担が変わる

証券口座には3種類あり、どの口座で売却するかによって税負担が大きく変わります。
1. 一般口座 → 申告が必要(税負担・社会保険料の影響大)
2. 特定口座(源泉徴収なし) → 申告が必要(税負担・社会保険料の影響大)
3. 特定口座(源泉徴収あり) → 申告不要(社会保険料の影響なし)

特に、「源泉徴収ありの特定口座」 を選択しておくと、確定申告をしなくて済み、社会保険料の負担増も回避できます。一方で、一般口座や「源泉徴収なし」の特定口座で売却すると、所得として計上されるため、配偶者控除が使えなくなったり、国民健康保険料が大幅に増えたりする可能性があります。

3. 遺産分割方法による違い

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