1. ライティングの基本とは何か?
ライティングの基本は,どのような文章を書くのかに依存すると思いますが,全般的に言って,絶対に必要なことは「正確さ」および「明快さ」ではないでしょうか。
「正確さ」とは,正しい表記・表現を用いて書くことです。たとえば,漢字を間違ってしまうと意味が変わってしまいますから正確に表記する必要があります。また,以前お話しした助詞の「は」と「が」の使い分けも「正確さ」に関連していると思います。
次に「明快さ」とは,文意があいまいにならないように書くことです。具体的な例の一つとして「語順と係り受け」があります。例文を挙げてみます。
男が車で通行していた人を次々にはねた。
この文は,非常識な解釈ですが「男」が「車で通行していた人」を「次々にはねた」という意味にもとれてあいまいです。以下のように書けばあいまいさはなくなります。
男が通行していた人を車で次々にはねた。
また,読点を用いることでも明快になります。
男が車で,通行していた人を次々にはねた。
次の文はどうでしょうか。
金曜日に東京駅で会った友人と食事をした。
この文は,金曜日に,会ったのが食事をしたのか不明確です。食事をしたのが金曜日であれば次のように書けば,その事実が伝わります。
東京駅で会った友人と金曜日に食事をした。
また,会ったのも食事をしたのも金曜日の出来事であれば,読点を打つことで,その事実を表現することができます。
金曜日に,東京駅で会った友人と食事をした。
ただ,食事をした場所は不明確です。駅は電車に乗る場所であって食事をする場所ではないので,情報が不足していることになります。たとえば以下のように書けば明快です。
金曜日に,東京駅で会った友人と,その地下街にある寿司屋で食事をした。
さて,いずれにしても,語順や語句の係り受けは,明快な文を書くために注意しておかなければいけない重要なポイントになります。そして,正確に書けていないから明快さがない,または明快さがないということは正確に書けていないことが原因というように,この二つはほぼ常に背中合わせです。したがって,ライティングをするうえで「正確に書くこと」と「明快に書くこと」は基本中の基本と言えます。
冒頭で触れたように,書く文章の種類によっては「正確さ」と「明快さ」に加えて「簡潔さ」および「一貫性」といった要件もライティングの基本になります。私は,仕事柄,医薬情報を文書化することが多く,いつも硬い文章を書いているので,ライティングの基本に関しては,かなり細かいところまで言及してしまうかもしれません。しかし,文章の書き方に何となく迷いがあるかたや,書き方の基本を整理しておきたいかたには,参考にしていただける内容が多いのではないかと思いますので「正確さ」や「明快さ」について未だ触れていない他のポイントも含め「簡潔さ」や「一貫性」についても,今後,順次お話ししたいと思います。
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読んでいただき,ありがとうございました。
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