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【ガルクラ】ヒナの行動原理について【考察】

初めましての方は初めまして。そうでない方はいつもお世話になっております。朝霧くもりです。

さて、今回は2024年春アニメで話題をかっさらった『ガールズバンドクライ』のヒナについて掘り下げたいと思います。

それでは行ってみましょー!


※ネタバレを多分に含みます。まぁもう見てない人いないやろ。


ヒナは本当に「敵」だったのか?

作中でダイダスのボーカルを務めているヒナは、仁菜から見れば「桃香さんの後釜として入った偽物」のように感じるはずです。また、ダイダスとトゲトゲが比較されていたように、同じボーカルとしての立ち位置という点でもライバル視していると思います。

実際、13話でも仁菜はヒナに対して敵意を抱いていました。しかしながら、ラストのバンドシーンでは関係者席で微笑んでいる事などから、仁菜視点から見たヒナは一面的でしかないことが分かります。

そこで、本当のヒナはどういった人間なのか、ヒナは仁菜の事をどう思っているのか、そして何故物語に絡んできたのか。この辺りを考察していきます。


作中内のヒナの描写

作中内で読み取れるヒナに関する情報をまとめます。

過去の情報

・ヒナは仁菜の高校の同級生で友達だった(2話)
・ヒナと仁菜は共にダイダスのインディー時代のファンで、桃香さんの花無を良くしていた(OP,13話)
・ヒナは利己主義者で、いじめを見てみぬふりをして自分を守る人だった(13話)
・ヒナは仁菜がいじめられた際も「自分が正しかった」と突き離した(5話)
・ヒナは仁菜に対して「正義マン過ぎて周りを傷つけるだけ」「自分が悪者に見えてくる」と言って絶交になった(13話)
・ヒナは仁菜の不登校の後、オーディションを受けてダイダスのボーカルに抜擢された(13話)

現在の描写

・ヒナはダイダスの初期メンバーと距離がある(8話)
・ヒナは仁菜を見ても「知らない人」とメンバーに言った(8話)
・ヒナは仁菜に対して、対バンの際にわざわざ三浦さんが頭に下げに来たことを伝えた(13話)
・ヒナは仁菜の対バン登壇前に、わざわざ煽るようなメッセージを遠回しに伝えた。トゲトゲメンバー曰く、「折れてほしくない魔王みたいに思ってるのかも」とのこと(13話)
・仁菜曰く、ダイダスの歌はヒナの歌でもあり、ちゃんと届いていた(13話)
・トゲトゲのライブを眺めて広報腕組しながら、涙を流すダイダスの初期メンバーを見てムスっとした顔をする(13話)


ヒナに対する考察

ヒナはどういった人間なのか

『正義マン過ぎて周りを傷つけるだけ』の仁菜と友達だった理由は、同じ趣味だったからと言うのがしっくりきます。そして、その趣味とは作中の描写にも合ったように『ダイダス』でしょう。つまりヒナもダイダスのロックな所が好きだったと考えられます。
11話のライブで小指を突き立てている所など、ダイダスに感化された仁菜と同じ精神性を持っているのは間違いありません。

一方で、仁菜と決定的に違う点はやはり回想にもあった『利己主義者』でしょう。自分の利益を最優先に考えてしまって、自己犠牲をしてでも正義を貫き通すことができない。
その歯がゆさ、無力さ、理不尽に抗えない所をある種のコンプレックスだと思っているので、仁菜に対して「自分が悪者に見えてくる」と発言したのでしょう。
しかし、仁菜に「いじめに介入したら味方にはなれない」と言っていることは、逆説的に言えば「ラインを超え無い限り常に味方で居続ける」という事になります。つまり、本質的な部分では仁菜の全肯定マンであるはずです。


ヒナの仁菜に対する感情

つまり、ヒナは仁菜に対して自分の持ってない『自分、周りが損するとしても、自分を突き通す我の強さ』に魅力を感じていて、マイナス感情よりも大きいプラスの感情を持っているということです。

簡単に言えば厄介ファンです。仁菜が自我を強く出すほど自分の利己的な特性がマイナスに見えてきてコンプレックスを発症しますが、それ以上に仁菜のそんな自分の持っていない一面が好きなんです。

つまり、13話でトゲトゲのメンバーが言っていた「ヒナは仁菜に折れてほしくない」というのは脚本的なヒナの気持ちの代弁です。ある種の制作側から視聴者に向けたヒントというわけですね。

ちなみに、仁菜に対してマイナスよりもプラスの感情を持っている事には明確な根拠があります。それは『ヒナが仁菜に嫌われるような事を言ってまで、自分を突き通して欲しかった(対バンの相談を拒否して欲しかった)』という事実です。
ヒナからすれば仁菜に対して誤解を解いたり、また友達になるというのが自分にとっては利益のある選択になるはずです。一部それも達成していましたが、友達よりも「敵」になることを選択した時点で、仁菜の事を自分よりも大切に思っている事が分かります。

つまり、ヒナは仁菜のファンであり、ダイダスのファンであり、トゲトゲのファンであるという事になります。13話のライブでもそんな様子が描かれていたので、まず間違いないです。


物語に絡んできた理由

前述したように「仁菜の敵」としての役割もありますが、もう一つ「現ダイダスボーカル」というのもあります。
これを解説するには、ニナのダイダスに対する思いを深掘りする必要があります。

まず、人間性の部分でも触れましたし、仁菜との回想パートからも明白ですが、ヒナはダイダスの事が大好きです。
しかし、それは他の登場キャラクターが囚われている『過去のダイダス』だけではありません。『今のダイダス』もヒナは愛しているし、自分が責任を取ってトップにのし上がる覚悟を持っています


それが分かるのが『初期メンバーと慣れ合っていない描写』と『トゲトゲのライブを見て涙を流す初期メンバーを見てムスっとした顔をする描写』です。これに全てのメッセージが詰められています。

後半の描写からも分かるように、ダイダスの初期メンバーは桃香がいた頃の『過去のダイダス』の幻影を追っています。それを桃香がトゲトゲで実現したので、ライブを見て涙を流しているわけです。

つまり、初期メンバー達は今のダイダスはあくまで『義務』としてやっているだけだが、現ダイダスの中心人物であるヒナは今のダイダスを良くしようと全力を尽くしています
そんな乖離があるので、初期メンバーとはウマが合わないし、過去のダイダスに囚われ続ける初期メンバーの顔を見て「ムスっとした」と解釈すると良く分かります。


また、仁菜の「ヒナにもダイダスの歌は伝わっていたんだ……」と言うのは、恐らく『空の箱』の事だと思っています。

思っていたことを先に言われてしまっていたのでポストを紹介しますが、ヒナは『この空白(=ダイダスの桃香が抜けた穴)』を自分で『埋め』るという結論を出したのでしょう。

https://twitter.com/sagara1/status/1802558146478825969

それが元のダイダスでは無くなっても良いから、あの頃憧れていたダイダスを存続させることを目指したのだと思います。
つまり、ヒナの最終目的は『好きだったダイダスの名前を世の中に残す』ことで、『ダイダスを元の形のまま維持する』ことではありません。これはいじめの時と同じように、『実現不可能なことを追わない』という合理的な選択の結果です。


ちなみに、ダイダス版の『ETERNAL FRAME~空の箱~』では以下の歌詞が削除されています。

「溢れだしそうなほど詰め込んだ
他人の箱を横目に
下手な愛想笑いすら やっぱり出来てない」

これは、プロデューサーの指示に屈した現ダイダスは「下手な愛想笑い」をしていること、ヒナは「他人の箱(=元ダイダスの幻想)を横目に」追っていないことが起因していると思います。

逆に、自分を突き通して過去のダイダスの遺志を継いだトゲトゲを結成したのが仁菜なんですよね。この対比があるからこそ、ヒナの存在が映えるというものです。

これをふまえると、ストーリーの12話,13話のダイダスvsトゲトゲに深みが出てきますね。本当はこれを全て描写したかったんだと思いますが、尺が足りなかったんでしょう。
ここまで読み取って、私は後半のストーリーも満点だと思いました(ただしあまりにも描写が足りない、展開が強引なので否があるのも頷ける)。


〆の挨拶

ここまでお読みいただきありがとうございました!
最後の仁菜の反応的にヒナとは仲直りしそうなので、2期が超楽しみですね!

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また次回の記事でお会いしましょう!
サラダバー!


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