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安倍元首相銃撃事件の真相④:思い込みが起こした事件と騒動

安倍元首相銃撃事件の真相③の続きです。

2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件。犯人の山上徹也が安倍元首相を狙ったのは「安倍元首相と統一教会がズブズブ」だったからなのか。しかし、明らかになっている事実のどれを見てもズブズブといえるような内容はない。

統一教会(友好団体)の影響力について、統一教会の友好団体、国際勝共連合・世界平和連合・UPFジャパンの会長、梶栗正義氏はインタビューで以下のように答えている。

(質問)政治家を応援するという活動によって、政策などにも影響を及ぼす可能性もあるのではないでしょうか。例えば当初、「こども庁」だったものが「こども家庭庁」になったのは、こちらの教団の政治力だということが一部のジャーナリストから指摘されていますが、これについてはどう思いますか?

【梶栗】なんと言いましょうか……。私たちのことをかなり過大評価していただいているようで複雑な気持ちです。(こども家庭庁の名称について)それはなにも私たちだけが言っていたことではなく、多くの保守政治家や保守団体の方たちみなさんも同じ主張をされていました。言ってみれば、「one of them」に過ぎないのに、あたかも私たちだけが主張していたようになって、しかも私たちの力だけで、名称が変更されたかのような話になっているのは不思議でなりません。

PRESIDENT Online(窪田 順生)2022/08/12 14:00

影響力については「過大評価」いただいているようで、ということだ。

それでも、「政策協定(確認書)」が自民党議員と統一教会の友好団体との間であったとの指摘がある。それで政治が歪められたのではないか、との指摘もある。

これは朝日新聞の昨年10月20日報道によるもので、記事によると統一教会の友好団体と国会議員の間で「確認書」が交わされたという。そして確認書の項目には、「憲法を改正し、安全保障体制を強化」「LGBT問題は慎重に」といった内容があったというのだ。

ところで、確認書の項目にあることは、もともと多くの自民党議員の考えと一致するものだと分かるはずだ。この確認書をもって政治が歪められたと考えるのは、かなり飛躍している。

確認書を示された議員らは、署名の有無に関わらず「政策や議員活動への影響はない」と口をそろえる。
・・・
もともと確認書に盛り込まれた項目は、自民党の主張と重なるものがある。憲法改正は自民党の党是だ。安全保障体制の強化は、日本をとりまく安保環境が厳しさを増すなかで、濃淡の差はあるが多くの政党が掲げている。

朝日新聞 2022年10月20日 5時00分

記事でも、「確認書」と報道されているように、統一教会の友好団体と政治家が、ビジョンや政策を共有できるかをお互いに「確認」したものであろう。政治家がこの確認書ゆえに政策を変更したとか、統一教会友好団体が政策変更を議員に強いたという事実は確認されていない。報道された事実をいくら読み込んでも、「統一教会の意向で政治が歪んだ」などとはならないのである。おそらくこの記事を書いている記者自身もそのことに気づいていると思う。

政治家の統一教会関係のイベントへの参加やそこでの挨拶、統一教会関係者の選挙応援、統一教会友好団体と政治家との間で交わされた確認書、その他、安倍元首相のビデオメッセージ等、どれをみても統一教会の意向で政治が歪んだといえる事実はない。

この一年以上にわたって報道されたズブズブの関係というのは、今まで知らなかったことから生じた驚きによる誤解と思った方がいい。

それ以外の要素としては、一部の人やその関係者たちが、安倍元首相を貶めるために、または統一教会を貶めるために、意図的に印象操作をして、誤解を与える情報を発信してきたというのもあろう。その他、安倍元首相を好まない人たちによる印象、新宗教に対する良くないイメージ等、さまざまな要素が相乗効果を生み出し、過熱報道と勘違いが増幅されていったと考えた方がいい。

結局のところ、今までの情報を整理してみると、実は事件後すぐに報道されていたように、山上がインターネット上にある不確か情報から「安倍氏と統一教会がつながりがあると思い込んだ」こと、つまり勘違いが事件の最大の理由の可能性が高い。つまり一年以上にわたり、報道は事件の本質からどんどん離れていってしまったのである。

<続く>

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