持良
旧統一教会にまつわる騒動の中、時の人となったジャーナリストの鈴木エイト氏。彼はなぜ誰も注目しない中、統一教会を追求していたのか。その動機は? 特異なジャーナリスト誕生の背景は? そして山上事件の真相は? 公益性のある視点から分析してみました。
統一教会二世として生まれ、熱心に教会活動に勤しんでいた時期もあった元統一教会信者、宮坂日出美さんのノンフィクション『祝福二世』が、なかなか評判のようだ。 私は一年ほど前に、本書の原本ともいえる「カクヨム(WEB小説サイト)」の連載、『カルトとマネロン』(以下、『マネロン』)も読んでいたので、それが書籍化されると知った時は、率直に嬉しく思った。 私が『マネロン』に関心を持ったのは、バリ教(バリバリの信者)だったという著者が教会を辞めるようになった軌跡のようなことが著作の紹介
今年10月13日に、政府による旧統一教会(世界平和統一家庭連合、以下家庭連合)への解散命令請求が行われたが、その転換点の一つが、昨年10月19日の岸田文雄首相による突然の法解釈変更の答弁だ。 前日には、解散命令請求の要件に「民法の不法行為は入らない」と答えたにもかかわらず、一夜明けた国会で「民法の不法行為も入り得る」と答弁を一転した件だ。 岸田首相が一夜で法解釈を変えた真相とは その背景について、今年10月1日に開催された家庭連合の2世信徒らが主催の「第4回公開シンポジ
統一教会(世界平和統一家庭連合、以下家庭連合)の2世らが主催のシンポジウムでの宗教学者・島田裕巳先生の発言は、なかなか含蓄に富んだものだった。 悪化が続く家庭連合の状況を好転させるうえでのヒントとなるものがいくつかあった。以下にそれをまとめてみた。 家庭連合の良さと必要性とは 島田さんは、家庭連合の厳しい状況について「世間の宗教に対する目が厳しくなっている。それと(家庭連合の考えや行動が)世間の考えとあまりにもずれている。世間が正しいわけではないけけれでも、多くの人の考
統一教会(世界平和統一家庭連合、以下家庭連合)の20歳代の二世信者らが立ち上げた「信者の人権を守る二世の会」主催の「第4回公開シンポジウム:宗教学者と語る、家庭連合の過去と現在と未来」が10月1日に東京都内で開催され、ネットでも配信された。アーカイブで今も視聴ができる。 シンポジウムは、宗教学者の島田裕巳氏と家庭連合現役二世信者3人との対談形式で行われた。 政府は本気で家庭連合を解散しようとしている シンポジウムを通して、島田氏が強調したのは「国は本気で家庭連合を解散請
俳優の田畑智子さんが統一教会(世界平和統一家庭連合)の元信者、川上陽子(仮名)を演ずるNHKの再現ドラマ風の番組「危険なささやき」が9月23日放送された。 「危険なささやき」とは 番組には、社会心理学者と称する西田公昭氏と統一教会関係の裁判を多く扱ってきた郷路征記弁護士が登場し「危険なささやき」について解説する。 まとめると、 心理的プッシュを与える言葉が「危険なささやき」である。 情報を隠して決定させる事で自主的に選んだと思わせる。 社会的遮断をすることで、おか
安倍元首相銃撃事件後に起きた安倍氏(または自民党)と統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係にまつわる騒動は、はたして事件の真相解明に向かったのだろうか。むしろ事件の真相解明からかけ離れていったように感じてならない。 統一教会批判報道がもたらしたもの 統一教会騒動の一年の間に、違憲とも指摘される一部の地方議会で起きた統一教会との決別決議、統一教会などの被害者救済の名の下で急いで作られた寄付規制法。そして統一教会への解散命令請求の可能性。これらの出来事は将来、どのように評価
なぜエイト氏は統一教会追求を続けられたのか 統一教会と政治家について報じてこなかった報道関係者にとって、ここ10年くらいにわたり、しつこく統一教会を追求してきたエイト氏の活動は、勇敢に映ったのかもしれない。 特に、統一教会が何か巨悪な団体で、その信徒も危ない人たちというイメージを持っていたらそうなってしまう。 ところが多くの統一教会の信徒と実際に会ってきたエイト氏は、報道などで浮かぶ怪しいイメージとは違い、統一教会の信徒は人がいいことをよく知っている。エイト氏は、統一教
何故ジャーナリストとして評価されたのか 狭い世界観とカルト的思考で想像を膨らませ、真実とかけ離れた主張をしたり、簡単にガセネタに踊らされる傾向があるジャーナリストの鈴木エイト氏だが、ジャーナリストとして、それなりの評価を得ている。その理由の一つは、他の記者やジャーナリストがしてこなかったこと、できていなかったことを、してきたからだと思われる。 昨年来の騒動で、統一教会が関心を集めたが、統一教会と政治家の関係に関心をもって熱心に情報を集めて発信してきたのは、たしかにエイト氏
狭い世界観の中での事実をカルト的思考で膨らませた「思い込み」を論拠として語る傾向のある鈴木エイト氏(ジャーナリスト)ではあるが、そのカルト的思考のせいか、ガセネタに簡単に騙されるお人好しの一面もあるようだ。 その例として、安倍元首相が統一教会の友好団体(UPF)のイベントにビデオ出演した際、5千万を受け取ったと本気で信じ込んでいることがあげられる。 エイト氏は、トランプ前大統領が1億円と推定される講演料を受け取ったという報道があったことから、安倍氏はその半額ぐらい受け取っ
安倍元首相暗殺事件の犯人、山上徹也が動機を統一教会への恨みと供述していたこともあり、事件後間も無く、統一教会に詳しいと称する紀藤正樹弁護士やジャーナリストで前参議院議員の有田芳生氏がテレビに出演し、統一教会について解説するようになった。しかし、統一教会をよく知る者なら分かることだが、彼らの情報はかなり古い。30年前の情報をあたかも現在進行形であるかのように語っていただけだった。 カビの生えた情報ばかりの中で登場した鈴木エイト氏 彼らの情報を鈴木エイト氏(ジャーナリスト、活
安倍元首相銃撃事件の真相③の続きです。 2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件。犯人の山上徹也が安倍元首相を狙ったのは「安倍元首相と統一教会がズブズブ」だったからなのか。しかし、明らかになっている事実のどれを見てもズブズブといえるような内容はない。 統一教会(友好団体)の影響力について、統一教会の友好団体、国際勝共連合・世界平和連合・UPFジャパンの会長、梶栗正義氏はインタビューで以下のように答えている。 影響力については「過大評価」いただいているようで、というこ
安倍元首相銃撃事件の真相③の続きです。 2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件。犯人の山上徹也は事件の直前に安倍元首相を狙う決断をした。 ではなぜ安倍元首相を狙うことにしたのか。それは、事件後約1年にわたって報道されたような「安部元首相と統一教会(世界平和統一家庭連合)がズブズブだった」からなのか? 事件後、当初の報道は、山上が統一教会を恨む理由となったとされる高額献金、そして山上と似た境遇だったと推測される宗教二世、そして安倍元首相と統一教会の関係についての追
「安倍元首相暗殺事件の真相①」の続きです。 山上がビデオメッセージを見たのは2022年春 2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件、犯人の山上徹也は「ビデオメッセージを見て殺害を決意した」との報道があったが、本当にそうだろうか。 まず山上は、いつこのビデオメッセージを見たかというと、メッセージが流された統一教会(世界平和統一家庭連合)の友好団体のイベントが開催された2021年9月ではない。それから半年以上経った2022年4月頃だと捜査関係者が明らかにしている。 山
2022年7月8日11時半ごろ、日本の憲政史上最も長く首相を務めた安倍晋三元首相が銃弾に倒れた。犯人は山上徹也。動機は統一教会(世界平和統一家庭連合)への恨みからだという。 宗教団体への恨みがなぜ安部元首相に その後、1年以上に渡り、この大事件に関する報道の多くが、なぜか「安部元首相(または自民党)と統一教会の関係」に集中、そこに事件のカギがあるかのような報道が続いた。 そしていつの間にか「安部元首相と統一教会がズブズブだった」という不確かな情報が、事件の要因であるかの
昨年7月8日、安倍晋三元首相銃撃事件が起きた。その後、犯人の山上徹也が統一教会(世界平和統一家庭連合)に恨みがあったということで、統一教会が注目される中で、安倍元首相と統一教会の関係が取りざたにされるようになった。 事件後の私の直感 参議院選期間中だったこともあり、当初は政治的動機による事件かと思われたが、間もなく警察が政治犯ではない旨を発表、その日の夕方には、警察への取材に基づき、マスコミは「宗教団体への恨みが動機」と報道。「団体と安倍元首相がつながりがあると思い込んで