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コラム5 幾星霜の人とは

コラム5 幾星霜の人とは
 幾星霜(いくせいそう)とは、一言でいえば、「苦労を経た上での、長い年月。いくとしつき。」という意味になります。
 幾つもの(何年も)星が昇るのを見て、幾つもの(何年も)霜が降りる日を体験してきた人、つまり様々な人生の苦労を体験してきた人、高齢者と言うことになります。
 そのような長い年月を頑張って生きてきた人としてリスペクトを示す言葉が「幾星霜」なのです。
 今回の小説では、その幾星霜の人にスポットを当てることも重要な骨格になっています。
 ケア実践者であるケアマネジャーやケアワーカーからすると、対象となる利用者(認知症の人)の今の状況を見ることが中心になります。
 例えば認知症の人の場合、その認知症状に目を奪われ、「認知症状がある大変な人」として対応していくことが多々あります。
 しかしその方にも、幼少の頃、学生の頃、青春時代、そして社会人として苦労してきた日々があり、今高齢と言う新たなる厳しい季節に立ち向かっている人でもあるのです。
 目の前の認知症状だけに目を奪われず、「幾星霜の人」として敬意を示すこと。
 そのことを念頭に置いたケア実践者でなければならないでしょう。

降るような星々


 ですからこの小説では、単に認知症の人への課題解決だけではなく、その方のライフヒストリーにもスポットを当てています。
 第1話「彼方の記憶」の後半、松本編は、そんな幾星霜の人の人生に焦点を当てたものになります。


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