コラム8 「気概」についてとセキュアベースの重要性(専門職編)
コラム9 「気概」についてとセキュアベースの重要性(専門職編)
ケアの現場におけるセキュアベース(心の安全基地)は、いくつかのベースが考えられます。
ひとつは「認知症の人」など利用者にとってのベース。
さらに在宅で介護をされている「介護者」へのベース。
そして「ケア専門職」の人達へのベースも必要になるでしょう。
セキュアベースは、児童の分野では、愛着障がいがある子どもたちに効果を発揮するものとされていますが、ここでは愛着障がいに視点を置くのではなく、(それが大人になっても、高齢になっても影響している人はいると思いますが、そこはまたあらためて考えます。)現場でのセキュアベースについて考えていきたいと思います。
「認知症の人(高齢者)」 「在宅介護者(家族介護)」 「ケア実践者(入所系、在宅系)」 の中で、まずは、いわゆる専門職が働く「ケア実践者」のセキュアベースについて考えてみます。
セキュアベースは、「ここにいたら、攻撃されることがない安全だと思える場所であり、心が癒される安心感を得られる場所であり、そして安全、安心だけでなく、再び前へ向いて歩きだすことができる心の燃料補給基地」でもあるのです。
例えば在宅で言えば地域包括支援センター職員
なんでも包括という風潮があるように、行政から市民まで、なんでそんなことまで言ってくるかと言うような相談から、虐待含め極めて解決が厳しいケースの対応にも迫られ、在宅分野の最後の砦として、その負担は過度の状況にあると言えます。
また包括職員だけでなく、ケア従事者全体に影響が及んでいるカスタマハラスメントも増加しています。
しかしそれらの強い波風に対しての包括職員へのスーパービジョン体制やフォロー体制については、ほとんどないとも言えます。
いわば防風林も堤防もないところで波風にさらされている状況とも言えます。
元々包括職員だけでなく、ケア専門職は、「気概ある仕事」として、この世界を選んだ人が多いのでしょう。
しかしその「気概」が崩され、「気概を持つ」ことも厳しくなっているのが現実です。
では気概とは何でしょうか。
「気概」とは、困難な状況を乗り越え、自身の信念を貫く強い意志ということになります。
これは、特に個々人の精神性などを見るものとして、他者から気概があるかどうかを見られることもあります。
つまり「気概」は、困難を乗り越える力として、また、自己の目標達成に向けた決意として表現されることが多いので、その人自身だけでなく、他者も注目するポイントでもあるのです。
「気概がある」とか「気概を持つ」「気概を感じる」など、躍動的なイメージがあります。
(因みに気概には、ダークサイトな気概があることもお忘れなく。明らかにダークなことに気概を持つ人もおられるので)
折角気概を持って働いていても、その強い信念は、度重なる波風に、まるで侵食されるように崩されていくのです。
そのケア現場の人達の気概が奪われないよう、そして再び「気概を持って」進めるように、「セキュアベース」が必要となるのです。
(つづく)