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【ギフトシネマ会員インタビューvol.7】村上 久美子さま

途上国の子ども達に映画を届けるNPO法人World Theater Project(以下、WTP)は、団体発足以来、多くの方々に支えられ活動を続けてまいりました。どのような方達がどのような想いで支えてくださっているのか。 活動を支えてくださる大きな存在である「ギフトシネマ会員」の皆さまに、お話を伺っていければと思います。
第7回目のゲストは、村上 久美子(むらかみ くみこ)さん。
5年前に自身のアクセサリーブランドを立ち上げ、現在はその売上の一部をWTPに寄付してくださっている村上さん。その背景には、素敵な想いがありました。

(聞き手:小林なつみ、取材日:2023年9月12日)


生まれてきたんだから私にしかできないことを

―本日はインタビューにご協力くださりありがとうございます。まず始めに久美子さんのお仕事について教えてください。

高校卒業後、さまざまな仕事を経験しましたが、今は5年前に立ち上げたアクセサリーブランドの運営をしています。初めは本業の傍ら、副業としてスタートしたのですが、昨年本業という形で独立しまして、今は月に一度オンラインショップをオープンして販売会を行なっています。

村上さんが立ち上げたヴィンテージジュエリーのブランドロゴ

個人事業主なので、アクセサリーのデザイン・制作だけでなく、材料の仕入れから、広告、SNSでの発信、販売、梱包まで基本的に全て一人で行なっています。アクセサリーのヴィンテージのパーツはヨーロッパから買い付けていて、1番時間をかけているのはそこなのかなと思います。

今度は自分が元気づける側になりたい

―久美子さんの作るアクセサリー、本当に素敵ですよね。久美子さんは、昔から自分のアクセサリーブランドを立ち上げたいという夢を描いていたのですか?

実は子どもの頃からずっと歌手になることを夢見てきました。気分が落ち込んだ時は、いつも音楽に元気づけられていて、今度は自分が元気づける側になりたいという思いを自然に抱くようになりました。

小さい頃の村上さん


それで、中学生になると、レコード会社にデモテープを送ったり、オーディションに参加したり色々してみたんですけど、上手くいかなくて。高校卒業後は全く違う道に進むことを決めました。でも、今思えば、歌手になりたいと思ったのも、アクセサリーブランドを始めたのも、”私が元気をもらったから今度は私が誰かを元気づけたい”、という思いが根本にあるのは変わらないことですね。

やっぱり私はこの仕事が好き

―小さい頃から想いを持って、夢に向かって努力されている姿が素敵です。一度、ブランドをお休みしていた期間があったと思うのですが、どのような思いで再開されたのでしょうか?

2年前に、半年間お休みをしていた時があって。その時は、特に期限も、このままブランドを続けるのか、それともやめるのかも決めずに、このまま中途半端に続けていてもお客様に失礼だし、一回休んで自分自身と向き合う時間を作ろうと思いました。その時期は、ちょうど他にも悩むことが重なっていて、信頼できる人に相談してみたんです。そしたら、「売れるか売れないかじゃなくて、心から自分がかわいい、作りたいって思うものを一点だけでいいから作ってみて」ってアドバイスされて。それで、久しぶりに工具を手にして、出来上がった作品を見て、「あっやっぱ私はこの仕事が好きなんだな」って実感しました。

その時に頭に浮かんできたのが、ある一人のお客様からの声で、ブランドを休止する報告をした際に、

「どれだけ休んでもいいからいつか帰ってきてほしいです。ずっとずっとあなたの作るジュエリーのファンだから私はいつまでも待ってます。」

ってメッセージをくれた方がいて。たくさんのアクセサリーショップがある中で、今は安くてかわいいアクセサリーも手軽に手に入るじゃないですか。その中で私のアクセサリーが欲しいと言ってくれる方が一人でもいてくださるなら続けていこう、そう決心しました。商売としては成り立たない話なんですけどね(笑)

ポップアップのお店にてアクセサリーを販売する村上さん

ワクワクしたり、元気をもらったり、心の栄養を与えてくれるもの

―久美子さんのアクセサリー作りに対する思いがすごく伝わってきました。アクセサリーと映画、一見結びつきがない気がして、そんな久美子さんが、WTPを知ってくださったきっかけというのは何だったのでしょうか?

小織さんの「ゆめのはいたつにん」を読んだのが最初のきっかけでした。

ちょうど人生もやもやしている時期で、歌手の夢を諦めて仕事をして、普通に生活はしていたけれど、生まれてきたんだから何か私にしかできないことをしたい、けど何かがわからないって悶々と過ごしていました。

そんな時に、知人に勧められたのをきっかけに「ゆめのはいたつにん」を読んで、小織さんの文才に引き込まれて、面白いし、グッとくるし、読み終わったら何かWTPに対して自分ができることはないかなって考えちゃっていました。思い立ったらすぐ行動しちゃうので、すぐにメッセージを送らせていただいて。でも当時、東京に住んでいたわけでもなく、役立つようなスキルも持ってなくて、活動のお手伝いをできることはなかったんです。その時は、すごくむなしくて、自分って無力だなって落ち込みました。

でも今は、アクセサリーの売上の一部を寄付させていただく形で支援させていただいて、毎年ちょっとずつ金額を更新していけたらなっていうのも仕事のモチベーションにもなっています。

ZOZOTOWNへの出店を記念して撮ったZポーズでのお写真

映画とアクセサリーって共通点があるなって思っていて、結局、どちらも嗜好品というか、生きる上で必ずしも必要なものではないじゃないですか。だけど、そういうもので、私自身が人生救われてきて、アクセサリーも映画もなんか似てるなって思って。

やっぱり映画とかアクセサリーってワクワクしたり、元気をもらったり、心の栄養を与えてくれるものだなって私は信じています。

1人でも求めている人がいる限りやめない

―私もそう信じてます。やっぱり映画館で映画を観る体験の非日常感、そして新しいアクセサリーを身につけた時のワクワク感、高揚感って何にも変え難いものがありますよね。最後に、久美子さんの今の夢を聞かせてください!

ブランドを再開する時に決めたことでもあるんですけど、「今のブランドを1日でも長く続けたい。」っていう夢に向かって進んでいます。特に、今力を入れているのはSNSでの発信で、リール動画の作成方法なども研究しています。

販売しているものは、目に見えてる”物”なんですけど、私はもっとその奥にある“思い”を伝えたくて。アクセサリーにヴィンテージのパーツを使っていて、これなんかも(*写真参照)100年前にチェコで作られたボタン何ですけど、昔ってすっごく手間暇かけて物が作られていて、全部人の手で作られているから、そうした古いものの魅力、目に見えない奥にあるストーリーみたいなものを届けたくてこの仕事をしています。

100年前のチェコで作られたボタンを使ったピアス

だから「1人でも求めている人がいる限りやめない。」という夢を持って、これからもずっとアクセサリーブランドを続けていきたいですね。


KUMIKO MURAKAMI
石川県生まれ。5年前にヴィンテージジュエリーのブランドを立ち上げる。
好きな映画は『ワンダー 君は太陽』。昨年、ダウン症の甥っ子が生まれてから見返し、勇気をもらえた作品。子どもたちにも見てもらいたい映画の一つ。


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