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「豪雨の予感」第28話(水害被害ストーリー)

〜災害用備蓄について〜

携帯用トイレ
携帯トイレは台風をはじめとする風水害では、河川の氾濫や雨水の逆流などで、街が浸水することがあります。
被害にあったマンションも、浸水により地下にある電気設備が水没して配電盤が故障・停電してしまいました。停電によってポンプで水を汲み上げられないためトイレを使うこともできず、エレベーターも止まってしまいました。トイレに行きたいと思っても、部屋のトイレは使えない。トイレのたびに階段を上り下り…。考えただけで気が遠くなりそうですね。次に、大震災の例を見て行きましょう。大震災では「断水」に加えて「排水パイプが壊れる」ことがあります。実際に阪神淡路大震災では兵庫県内の90%以上にあたる125万世帯で、断水や下水パイプの破断が起き水洗トイレが使用できなくなりました。パイプ詰まりなどでトイレが流れなくなるのと同じ状態だと想像すると分かりやすいでしょう。さらにマンションなどの共同住宅では、上階の汚水が一階のトイレからあふれ、一階の住人に迷惑をかけてしまうことも発生しました。東日本大震災では、災害発生から3~6時間ほどで、半数以上の人がトイレに行きたくなったといわれています。しかしながら、仮設トイレが設置されるまでには4日以上かかったところが半数以上だったそうです。水洗トイレは使えず仮設トイレもない状況だと、トイレはあっという間に大小便で満杯になります。そして臭いも汚れもひどい状態になり、劣悪な衛生環境に陥ってしまいます。さらに手洗いやトイレ掃除ができない状況の中、劣悪な衛生状態となったトイレを使用し続けると、胃腸炎などの感染症に罹患するリスクも高まります。
衛生面だけの問題ではありません。
トイレが使いづらい状況になってしまうと、できるだけトイレに行かなくても済むように意識的にも無意識的にも水分を摂ることを控えてしまうようになります。仮設トイレが設置されても「トイレの数が限られている」「屋外の仮設トイレは怖い」「トイレまで遠い、寒い、段差がある」「長蛇の列になっている」など、さまざまな理由でトイレに行くことを控えるようになります。トイレに行かない」「我慢する」「トイレに行く回数を少なくする」ために水分や食事を控えてしまうと、脱水による体力低下(免疫力の低下)、尿路感染症(膀胱炎等)、循環不全(肺塞栓等)のなどを引き起こす危険性が非常に高くなります。脱水傾向となり血液粘度が上昇すれば、エコノミークラス症候群を発症するリスクも高くなります。

第29話に続く
(このストーリーは実話を下にしたフィクションです。一部実在する名称を使用しています)

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