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水害被害と医療機関への影響を考える

前回は交通インフラの水害被害により打撃をうける業界についてまとめましたが、今回は水害被害による医療機関への影響について考えてみます。

高齢者や車椅子での生活をされている場合などくるまを使って通院されている方々は、交通インフラが水害被害をうけると道路の冠水などで自力での通院が難しくなくなるだけでなく救急車が向かえなくなる場合も想定されます。またゲリラ豪雨などインフラの排水能力を超えた水害などでは消防署自体が水没する可能性もあります。そのためヘリコプターを使った患者の搬送・輸送体制やドローンを使った医薬品などの搬送体制づくりが進められていますが、私たち一人ひとりがその時のための備えを考えておくことも必要だと考えています。

また水害被害で物資の輸送が滞ると、病院や診療所での医療品、医薬品などが入手困難となります。そのときに備えて医療機関などでは医薬品の備蓄をしたり、近隣医療機関との供給連携などのバックアップ体制が取られていますが、水害被害が長期化すると私たちの健康や生活に支障を及ぼすような事態も考えられます。以下に水害被害で医療インフラに影響を与えた事例を3つ挙げました。

事例1:緊急搬送の遅延

水害によって道路や鉄道が遮断されると、救急車などでの緊急搬送が困難になります。そのバックアップとしてヘリコプターを使った救助などがありますが、救急患者が病院に到着するまでの時間が遅れ治療の遅れや重症化のリスクが高まる可能性があります。

・熊本地震による緊急搬送の遅延
2016年4月、熊本県を震源とする地震が発生し、道路や鉄道が遮断されました。このため、救急車やヘリコプターなどの緊急搬送が困難となり、救急患者の到着時間が遅れた事例がありました。このため、治療が遅れ、重症化する例も発生しました。

事例2:医療機器・医薬品の供給遅延

水害によって物流が滞ると、医療機器や医薬品の供給が滞る可能性があります。特に災害現場で必要とされる医療機器や薬剤の供給遅れは、重篤な影響を及ぼすことがあります。

・2018年西日本豪雨による医療機器の供給遅延
2018年7月、西日本を襲った豪雨により、物流が滞りました。このため医療機器や医薬品の供給に遅れが生じ、災害現場で必要な医療機器や薬剤の供給が滞った事例がありました。

事例3:医療施設の運営困難

水害によって医療施設の建物や設備が被災した場合、運営が困難になる可能性があります。例えば、電気や水道が止まってしまった場合は、手術や治療が行えなくなる場合があります。また、医療従事者が被災した場合、人手不足に陥り患者の受け入れができなくなる可能性があります。

・2021年7月の中国地方豪雨による医療施設の運営困難
2021年7月、中国地方を中心に大雨が降り、甚大な被害が発生しました。このため医療施設が被災し、電気や水道が止まったことで手術や治療が行えなくなる事例がありました。また、医療従事者も被災したため、人手不足に陥り患者の受け入れができなくなる事例も発生しました。

まとめ

・過去の水害被害では、交通インフラの機能不全から医療へのアクセスに影響を及ぼすケースが発生しています。
緊急性の高い医薬品などで備蓄ができるものは、私たち一人ひとりが備えをしておくととても安心です。

緊急性が高く備蓄ができる医薬品などは、私たち一人ひとりが備えをしておくと安心です
(写真はイメージです)


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