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「豪雨の予感」第3話(愛子と健斗)

「よし、できた!、来週から期末試験やから今日は放課後自習室で勉強してくるな、晩ごはんは先にたべといていいよ、今日は晩ごはん何にするん?」

前髪をつくり、朝ごはんのだし巻き卵とごはんを食べ始めたかとおもったら、晩ごはんのメニューが気になり始めたらしい。食べ盛りの年頃だからなのか食いしん坊だからなのか食べ物のこととなると少々うるさい。これもどこかみおに似ている。

「今日はお好み焼きしようと思ってるけどどう?具は豚玉と“すじこん”やな」

みおは神戸出身であるため、長濱家のお好み焼きには“すじこん”が入る。すじこんとは牛すじとこんにゃくを煮た物で通称“ぼっかけ”と呼ばれている。

「お昼までお腹減るやろうしお弁当大盛りにしといたよ。それとお父さん作ってくれただし巻き卵でサンドイッチ作っといたから好きなときに食べや。はいこれ、しっかりな!」
「わー、ありがとう、好きなときな、いつもお腹減ってるけどな」

みおが笑顔で答えながらお昼の弁当とおやつのサンドイッチを渡した。

「ありがとう、頑張ってくるわ」
「今日は大雨になるみたいやから傘もっていっときや電車止まるかもしれんみたいやから無理せんと早めに帰っておいでよ」

健太郎が幼馴染の悠の天気予報を要約してみおに伝え送り出す。

「了解!お父さん心配せんでも大丈夫やで、ザーザー降りになっても愛子はちゃんと帰ってこれるから!」

愛子が朝ごはんを食べ終え、玄関で靴を履いてるときに長男で小学5年生の健斗が起きてきた。

「愛ちゃん行ってらっしゃい」
「あ、健斗おはよう、いってくるなー」

健斗と愛子は7つ違いというのもあって健斗が生まれると愛子は健斗を可愛がってきた。7歳の女の子が赤ちゃんを抱っこして日向ぼっこする姿は微笑ましかった。最近は受験を控えてるにもかかわらず愛子は毎日健斗のゲーム相手をしている。愛子のリフレッシュの一つになっているんだろう、2人仲良く遊んでるので健太郎もみおも何も言わず見守っている。

「あ、健斗、今日も愛ちゃんと対戦やで、今日は負けへんで」

家を出る前に健斗に宣戦布告である。健斗は姉とのゲームを楽しみにしている

「オッケー、早めに帰ってきてな」

そうこうしてるうちに健太郎も出勤の時間になったので、愛子と2人で玄関をでた。

「愛子傘もってるな、みおいってきます」
「お母さん、健斗いってきます」

健太郎は生まれも育ちも城東区で中学での阪神淡路大震災をきっかけに消防士を目指すことにした。大阪では震度4から5だったためビルの倒壊はなかったものの、となりの芦屋や神戸での阪神高速道路やビルや家屋の倒壊、長田区での大規模な火災をテレビで見た時は衝撃を受けた。そしてその現場から被災者を助け出していく消防士にも強い衝撃を覚えた。『いつか大人になったら人の命を助ける仕事がしたい』と熱い思いをもって消防士になった。

第四話に続く
(このストーリーはフィクションです。一部実在する名称を使用しています)

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