「豪雨の予感」第16話(記録的短時間大雨情報)
気象予報士の松前はこれまでみたことないような心配と焦りの表情で解説を続けた。
「…さらに気象庁は、大阪府北部及び東部で猛烈な雨が降っているとして“記録的短時間大雨情報”を発表しました。この情報が発表されるのは今年全国で5回目、大阪市では初めてです。午前9時半までの1時間に雨量計の観測で大阪府気象観測所では121ミリ、寝屋川工営所(大阪市城東区)で115ミリ、平野区で107ミリ、吹田市、東大阪市、四條畷市、門真市などでも広範囲で100ミリを超える猛烈な雨となった模様です。またレーダー解析でも大阪府北東部では100ミリ以上の猛烈な雨が降ったと見られています。土砂災害や道路の冠水、河川の洪水など災害発生の危険性が高まっています。また前線は明日1日にかけ西日本から東海・関東付近に停滞する見込みで、暖かく湿った空気が流れ込んで活動が活発化し、大気の不安定な状態は依然明日にかけて続く見通しです…」
さらに松前は続けた
「…また同庁によると、30日午前10時までの12時間降水量は、大阪市で320ミリ、吹田市、東大阪市、四條畷市、門真市などで250ミリなどです。また7月1日正午までに予想される24時間降水量は多い所で、近畿300ミリ、北陸・東海150ミリ、中国・関東甲信100ミリ、東北100ミリなどとなっています。今後の大雨の情報には十分にご注意ください…」
注警報級の短時間強雨を伴う大阪での大雨は専門家の間で“淀川チャネル型大雨”と呼ばれている。「淀川沿いに形成される線状の強雨域の中で、風向きが南西で日本海を低気圧が東進しその低気圧に伴う前線が近畿地方を通過する時、あるいは梅雨前線や秋雨前線が近畿地方を南下する時に、大阪湾周辺から淀川流域に沿って琵琶湖周辺を含む地域に降る大雨で注警報級の短時間強雨を伴う大雨」メカニズムである。今回は梅雨前線が停滞しているところに紀伊地方と瀬戸内海からの強烈に湿った風が入り込み、断続的に巨大な積乱雲が“線状降水帯”を形成し寝屋川流域に記録的な豪雨をもたらしているのだという。
第17話に続く
(このストーリーはフィクションです。一部実在する名称を使用しています)