豪雨水害でも備えがあれば防げることがある(内水氾濫のケース)
前回まで全5回にわたって自然災害件数と世界や日本で影響の大きかった水害事例についてご紹介してきました。今回は豪雨水害に伴い「内水氾濫」が発生した2つの事例をあげ、「くるま」への影響について考えていきたいと思います。
内水氾濫とは、河川や湖沼などの「内水」が氾濫し周辺地域が水没する現象で、主に排水機能が低下しているために起こる被害です。排水機能が低下する原因は土地利用の変化や建築物の増加による水の流れの変化などが挙げられます。
事例1:2011年のタイ洪水
この洪水によってタイ全土で内水氾濫が発生し多数のくるまが水没しました。被害台数は10万台以上に上り、国内の自動車生産にも大きな影響を与えました。洪水によるくるまの水没は、雨水や河川の水位が上昇することで、道路が冠水しくるまが水中に沈むことが原因です。
事例2:2019年の東日本台風
この台風によって関東地方を中心に多数の河川が氾濫し、くるまの水害被害が発生しました。被害台数は約4,000台に上り、自動車保険の損害額も大きくなりました。道路が冠水した際に水流や水圧によってくるまが押し流されたことが原因です。
これらの事例からも、内水氾濫はくるまの水害被害を引き起こす大きな原因の一つであることがわかります。内水氾濫対策としては、河川の護岸やダムなどの建設、水門の整備、適切な土地利用などになりますが、より身近な対策としては排水路や水路の維持管理、地盤改良、排水ポンプの設置などです。また土地利用を見直しすることで水の流れを変える考え方もありますが、これら対策の規模感は自治体が実施する大がかりなものになることから、膨大なコストと長い時間がかかってしまうことが一般的です。
まとめ
・内水氾濫は河川や湖沼などの「内水」が氾濫し周辺地域が水没する現象で、土地利用の変化や建設物の増加による水の流れの変化により、排水機能が低下していることから発生する被害です。
・内水氾濫はくるまの水害被害を引き起こす大きな原因の一つであるものの、その対策は自治体規模での大がかりなものが必要になることから、内水氾濫によるくるまの水害対策は私たち一人ひとりが備えておかなければならないことの一つではないかと考えてます。
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