「豪雨の予感」第6話(瓦礫からの救助)
大きく息を吸った、外の冷たい空気が入ってくる
『わたしは外にいるの?天井が落ちてきて屋根がなくなってるから?』
みおは怖くなった、もしかして大変な状況になってるのかもしれない、急いで助けてもらわないと、、本能的に命の危険を感じた。
「ここです!だれか助けてください!」
今度は声が出た、けど返事がない。さっきの人はもうここにはいないの?膝を抱えて丸くなったまま重くて身動きがとれない。
『このままわたしはここから出れずに死んでしまうの?』
「だれかー、助けてください、ここです!だれか助けてください!」
悲鳴のような声が出た、自分でも驚いたし、一層恐怖を感じた
「女の子の声がしたぞー、おーいどこですかー、返事してくださいー!」
気づいてくれた、声が届いた!みおはもう一度大きく息を吸って声を出した。ほとんど悲鳴に近い叫びだった、自分の存在を分かってほしかった、まだ生きている、生きていたい。本能からの叫びだった。瓦礫を退ける音が始まった、音のする場所からは少し距離がある、どうやら隣の家も覆い被さってしまって瓦礫の下に埋まってしまってるようだ。
「もう大丈夫、安心して!」
助けの手が近付いてきた、頭に被さっていた瓦礫をとってもらうと急に軽くなった。
「ここか?、見つけた!よかったなー、もう大丈夫やで、寒かったやろ、痛いとこないか、怪我してないか?」
埃だらけになった瓦礫を退け、真っ黒になった軍手をとって頭を撫でてくれた、頭を撫でられたのはいつ以来だろう、たくましい腕に傷だらけのシルバーの腕時計が目に入った、助け出してくれて嬉しかった、涙が溢れてきてしばらく泣いてしまっていた。安堵感なのか疲れたからのかそのまま寝てしまった。
気がつくと布団に包まれたままどこかの建物の中に仰向けに横たえられていた。目が覚めると真上から母親が見つめていた、目は充血して赤くなっていた、涙が溢れ落ちてくる。
「お母さん…」
「みお…」
また泣き出した。
この地震で、住んでいた家の1階部分は潰れ2階部分が覆い被さり、さらに瓦の重みで天井が落ちてきていた。家はほぼぺしゃんこに潰れた状態だった。一階で寝ていたおばあちゃんと、その日たまたまおばあちゃんと一緒に布団を並べて寝ていた弟は亡くなっていた。母親と一緒に寝ていた父親はタンスの下敷きになって亡くなった。3人とも圧死だった。
父に倒れてきたタンスは木製で重買ったが父の身体が支えになって出来た空間で母はタンスに潰されず動けずにいたが怪我ひとつなく難を逃れた。
「お父さん、大丈夫?ねえお父さん返事して!、返事してよ、ちょっと、、、もしかして、、、お父さん!わたしを一人にして行かないで!」
母は横にいた父を呼んだが、父からは返事がなかった
第七話に続く
(このストーリーはフィクションです。一部実在する名称を使用しています)
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