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これは何だった?
ニンビンの大きめの駅で、バスを待っていた。
駅は電車が来る所なのだが、そこでバスを待っているというのは、今は関係ないので置いておく。
トイレに行って、
近くに公園があったので少し彷徨ってみた。
足が激臭を放っている。
ベンチに腰掛け、家から持ってきたボディーシートで丹念に匂いをとる。
ベトナム中を歩き回った汗たち。
簡単に取れるはずがない。
自分の足に悪戦苦闘していると、向こうから地元の女の子3人組がこっちを見ている。
だいたい小学校6年生くらい。
僕は気にせずに足と闘う。
何やらキャーキャーワラワラしている。
見てみると、遠くからスマートフォンを僕に向けている。写真を撮っているようだ。
気分が良くない。
ワラワラしながら、
向けられたスマートフォン。
そんなに日本人が珍しいか?
何を思っているのか分からないが気分が良くないので、公園から駅まで戻った。
すると、女の子達が後をつけてきて
コソコソと写真を撮りながらヘラヘラしている。
チョッパーが初めて登場したシーンのように扉の影から手だけを出して、コソコソと僕にカメラを向けながら笑っている。
駅で電車を待っている欧米人達も、どうした?となっていたので、もうコソコソではないのだが。
何か珍しい色をした鳥とか、昆虫とか
そういうものを発見したような感覚で執拗に僕の写真を撮ってくる。
フライデーはバレないように撮るからまだいい。と思った。
ガッツリ公衆の面前で、カメラを向けられる僕。
すごく気分が悪くなったので
遠いがケンタッキーフライドチキンまで歩いて、フリーWi-Fiを使おうか。そう考えた。
席をたち、ケンタッキーフライドチキンに向かう。
そこでも追いかけて来る女の子達。
逃げるように歩こうとしたその時、1人の女の子が駆け足で寄って来て、カメラをインカメにしツーショットを要求してきた。
あぁ、僕と写真を撮りたかったんだ。
快くインカメで1人ずつとツーショットを交わす。ピースサイン。
そうして彼女達と別れた。
ケンタッキーフライドチキンに行くのはやめたものの、一度感じてしまった不快感はなかなか拭えない。
テッテレ〜ドッキリでした〜
と言われて何もなかったように受け流すお笑い芸人の皆さんに尊敬の念を抱いた。
関係があるか分からないが、
この旅でまだ黒人に会っていない。
(追記・ホーチミンなどで沢山会いました。単純に僕が勘違いしてました。)
彼らが旅に出るような性格ではないのかもしれないし、色々な決まりがあるのかもしれないし、単に見逃しているだけなのかもしれない。
眠り辛い環境下で思うのは、
奴隷船で運ばれた多くの人達。
劣悪な環境だったとテレビか何かで見て衝撃を受けた。2人1組鎖で繋がれ、狭いスペースに押し込まれるようにして生活する。
それと比べるには、天と地の差以上のものがある。比べるのもおこがましい。
それでも僕は弱い人間なので、ドミトリーで眠れるのはありがたい事なのかもしれないと思う事がある。
僕が今、スマートフォンで写真を撮られたのは
女の子達の単なる好奇の目である。どちらかと言うと親愛であったのかもしれない。
この経験から自分はこれから長い間
外国人になる事を強く感じた。
人種なんか、関係ない。
そう言う声が自分の中から聞こえてくるが、
そう思えない自分の内面に困惑する。
違うもの知らないものに皆、
恐怖があるし、反対に好奇もある。
けれども怯える必要はない。
昨日はドミトリーで会ったドイツ人のハンドリックピーマンさんと2人で街歩きをした。
その前日は、外国人4人とお酒を飲んだ。
ちょっとずつ、少しずつ
生きていく方法を探っていけば良い。
考えてばかりいる。
1人旅なんて、だいたいが自分との対話なんだ。仕方ない。
何も考えたくないのに考えてしまう。
それもこれも、あれもそれも、全部引きずって歩くしかない。
あ、でもとても楽しいです。