感想:そもそも交換日記

タイトル: そもそも交換日記
作者: 桜林直子、土門蘭

インタビュー集、往復書簡、交換日記、何が違うのだろう。
ここ数か月会話について考える機会があったけれど、他者と話すことは奥が深い。同じ人でも話す相手で出てくる言葉が、雰囲気が大きく変わるからだ。そこで本書を読み直してみた。

本書は交換日記だ。インタビューでもなければ、往復書簡でもない。二人の日記を、文字通り交換し、眺め雑談を活字でする日記。互いが読むことは前提でも、まずは自分のために言葉を尽くす。自分の枠をはっきり持っている二人は、交換した日記を互いに観察しあって二人なりの見方を模索する。それでもお互いの枠に入ることはない。それはその人がその人であることを尊重してやり取りをしているからで、言葉の端々からそれが伝わってきて心地いい。
そうやって雑談を通じて二人が一人では見えなかった考えや過去に出会いなおし、行動が少し変わっていく、その生活への波及が楽しかった。
自分も漫画を読みたくなった。入浴剤に拘ってみたくなった。タオル、買い換えてみたい。