【小説】一九八二年、僕はエロ本の出版社に入った。#015
美大に入学したものの三カ月ほどでいかなくなってしまった飛鳥修平は、その後約二年ほどはただ東京で暮らしていくためだけにアルバイト生活を送った。バイトは色々とやったが、最も長く続いたのは東銀座の東急ホテルだった。職種はリネン係。客がチェックアウトした後の、汚れたシーツやピロケースなどを回収する仕事だ。給料は安かったが従業員用の風呂があったり、社員食堂も安かったのでズルズルと続けてしまったらしい。
しかし二〇歳を過ぎて「これはさすがにマズイ」と思い、少しでも美術に近い職業をと小