「孫の実家を建てる」という考え方
こんにちは。
毎日推し建築家の設計した住まいを紹介している、一級建築士のこじこじです。
日本の土地信仰
ところで、日本では土地は誰かの所有物です。
家を建てるときには基本的には土地を買うか、借りるかしないといけません。
もしくは、親から受け継いだ土地、ということもあるかと思います。
誰かから買ったり、借りたり、もらったりするものが土地です。
一方で、ネイティブアメリカンはこう考えるそうです。
「土地は親から譲り受けたものではなく、孫の世代から借りているものだ」
今ある自分の権利を主張することなく、まだ見ぬ未来の孫たちのために大事に残していこうというこの考え方が、私は好きです。
そのうえで、土地と同じように家も孫から借りているものと考えることができれば家づくりがもっと豊かになるのではないか、と思うのです。
「孫の実家」を建てる、という気持ちで。
実家ってなんだ?
そもそも、実家の実家たるゆえんとはなんなのでしょうか。
私は、実家とは「記憶の器」だと思います。
東北の田舎におばあちゃんの家があります。
隣の家まで100mあるくらいの、目の前には田んぼしかない、想像通りの田舎です。
南側中央の玄関を入ると、右手に天井の高い客間があって、左手には8畳二間。その南側には長い縁側があり、レースカーテン越しにいつも暖かい日差しが差し込んでいました。その外側に濡れ縁があって、そこに座り兄弟みんなで上半身裸になってスイカを頬張るのが毎年の夏休みのイベントでした。
家の記憶と、家族の記憶が同時に思い出されるのです。
家族という最小単位の社会を想像するときに思い浮かぶのが、実家の記憶だと思うんですね。
それは少し雰囲気の張りつめた客間であったり、暖かい縁側であったり。
そういうシンボリックなものが、「実家」たる住まいには必要だと思います。
理屈だけでつくられた現代の日本の家は、そういった家族の記憶とともに思い起こされるようなシンボリックなものに乏しいような気がします。
特別なものは要りません。
少しだけ、「子どもや孫の記憶に残り続ける実家を建てるんだ」という気持ちをもつだけで、家づくりの見え方がガラリと変わると思うのです。
推し建築家さんの作例紹介
今日は「こんな家が実家だったら嬉しいだろうなぁ」というような、記憶の器たるシンボリックな空間をもつ、推し建築家さんの手掛けた住まいを紹介します。
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