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【矛盾】注文住宅を選んでいる時点で「非効率」を求めている。
こんにちは。
毎日推し建築家の設計した住まいを紹介している、一級建築士のこじこじです。
住宅建築家を選ぶメリットとは
最近、Twitterでこんなポストを見かけた。
「ハウスメーカーや工務店にできなくて、設計事務所にできることってなに?」
正確ではないが、ポストの主旨はこんな感じ。
これに対して私が勝手に回答するとしたら、「そんなものない」だ。
逆はある。施工だ。ハウスメーカーや工務店は施工ができるが、設計事務所はできない。
とはいえポスト主が聞きたかったであろうこと、「設計事務所に依頼するメリットってなに?」という疑問に回答するのであれば、
「非効率を楽しむ者同士で家づくりができること」だと言えよう。
(なおここでいう設計事務所とは住まいの設計を生業としている設計事務所とする。以下「住宅建築家」と呼ぶ。)
どういうことなのか?
順を追って解説していこうと思う。
無意識に「非効率」を求めている?
家がほしい、と思ったときに注文住宅を選ぶ人は、無意識に「非効率」を求めていると思う。
だって注文するのなんてめんどくさいじゃないか。
経験者なら分かると思うが、注文住宅は本当に体力と精神を消耗する。
つらいと言って投げ出したくなる人もいる。
もう完成しているそれなりのクオリティの建売住宅やマンションを買うほうが圧倒的にラク。コスパ良し。
それでも注文住宅を選ぶのは、そこに人生の意義や生きがいや未来への希望や誇りや愛着といった、理屈や効率性とは無縁の何かを求めているから。
効率的な家づくり
では作り手はどうかというと、大手ハウスメーカーはその観点からいうと真逆の存在。
効率よく住宅という商品を売ることで利潤を求める企業として「大手」と呼ばれる存在に成り上がったのだから、当たり前と言えば当たり前。
例えばハウスメーカー選びに苦心している人がいて、「営業さんとの相性が悪かった」という理由で候補から外れるということがある。
やはり注文住宅は住まい手の夢と希望が詰まったものなのだ。
そんなとき営業さんがなんとか契約を取ろうとがっついてきたり、お断りの連絡を入れた瞬間に値下げ価格を提示されるとそこに商売っ気を感じて逆に冷めてしまうということはよくある。
これは裏を返せば「企業としての効率性(商売っ気)を従業員の非効率な(非理屈的な)対応でカバーしている」と考えることもできる。
非効率な家づくり
それに対して住宅建築家はというと、効率とは無縁の存在。非効率の塊といっても良い。
ほんとに、好きじゃないとこんなこと仕事にできないと思う。
住宅・非住宅どちらも設計している人間として断言するが、効率よくお金稼ぎしたいなら住宅設計なんてやらない方が良い。
建築の設計料というのは工事費の○%、という設定のされ方がスタンダードだ。普通に考えたら設計の難易度や手間の多さに比例して高くなるべきだと思うのだが、悲しいかな、そうはなっていない。建物面積が大きければ大きいほど、設計料も多くなる。小さいと、少なくなる。つまり住宅設計は非効率で儲からない。
ちなみに、これに対して常々思うのが「設計料って累進課税みたいだな」って。
取れる人からは取って、取れない人からは取らない。ワシらのやってることって役人と同じなのか?って。
少し脇道に逸れたが、とにかく住宅建築家は「好き」を仕事にしている非効率な人たちばっかりなのだ(リスペクトの意を表しています)。
「商売っ気がない風」なのか、「商売っ気がない」のか
ここまでの話を改めて振り返ってみて気づいたことがある。
それは、ハウスメーカーの成績上位の営業さんとは「商売っ気を感じさせない人」なんだろうなということ。
であれば初めから商売っ気なんてないに等しい住宅建築家を自ら探し出すというのはそれだけでメリットがあるのでは。
効率重視のこんなご時世だからこそ、非効率を求める者同士であぁでもないこうでもない言い合いながらつくる家づくりはそれなりに楽しいんじゃないかと思う。