SONNY CLARK ソニー・クラーク Cool Struttin'
パップという様式美で遊ぶ
私は、パップのピアノといえば、
バド・パウエルを除いては、
ソニー・クラークが最高にヒップで、
完成されたピアニストだと思うのです。
聴けば聴くほど、耳コピすればするほど、
あーなんて、スタイリッシュで上品なタッチ、
硬質なフレーズなんだろうと、
惚れ惚れしてしまうのです。
よく、ハンプトン・ホーズと
比較されたりしますが、
ホーズファンには申し訳ないのですが、
格が違うと思うのです。
簡単には真似できない、
非常に繊細なタッチと知的なフレージングなのです。
よく、クラークは日本だけで人気があって、
アメリカでは全く・・・とかいう
話をよく聞きますが、
確かにセールス的にはそういう面も
あったかもしれませんが、
数多のハード・バップのアルバムの
参加アーティストを調べれば、クラークが、
いかに引っ張りだこであったかが分かります。
ベースのサム・ジョーンズも、
一緒にやって最もインスパイヤされる
ピアニストとして、クラークを挙げています。
このアルバムは、ジャズリスナーにとっては、
避けて通れない作品でしょうが、
どうも人気先行となっており、
正当に評価されていないんじゃないかと思うのです。
クラークのピアノの美学を表現すると、
「非常にブラックなブルースフィーリングを、
パップという都会的なイディオムで再構築し直した、
この時代の最高水準にある、洗練された様式美」
とでも、表現できましょうか。
試しに、一度、クラークのソロの断片(フレーズ)を
切り取って、抜き出し、
一つ一つ、丁寧に分析、吟味、
あるいはサンプリングしてみてください。
一つの小宇宙がそこに見えるはずである。
マクリーンらしい、
少しチューニングが外れたような
色褪せた泣きのブローや、
アート・ファーマーの溌剌とした
いかにもバップテイスト溢れるソロが華を添え、
何より、ポール・チェンバースとフィリージョーの
鉄壁なサポートを受けた、
ソニー・クラークというハードバップピアニストの
真骨頂と言える作品であると、
改めて思うのであります。
Art Farmer (tp)
Jackie McLean (as)
Sonny Clark (p)
Paul Chambers (b)
Philly Joe Jones (ds)
Recorded 1958.01
1 Cool Struttin’
2 Blue Minor
3 Sippin’ at Bells
4 Deep Night
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