JAZZ遊戯三昧

クールな音楽に出会えますように! ジャズピアノ弾いてます。

JAZZ遊戯三昧

クールな音楽に出会えますように! ジャズピアノ弾いてます。

マガジン

  • ジャズ、これぞ名盤/これを聴かずして

    これぞ、ジャズの名盤! ジャズピアニストの視点で、是非聴いて欲しいと思うアルバムを厳選しました。

  • ジャズ、気になる新譜紹介

    これはと思ったジャズの新譜をご紹介します。

  • ジャズ・ジャイアント/苦しんで代表作3枚を選ぶ

    ジャズ・ジャイアンツの数多の名盤から、何とかこれは聴かずしてというアルバムを三枚厳選しました。

最近の記事

Robert Glasper ロバート・グラスパー Let Go

ノックアウトしました。なんといいますか、素晴らしいです。 最初の一曲目を聴いて、 「このまま、こんな感じで、最後までいってくれたらなあ」 と思いつつ、聴き進めていくと、 なんと、ちゃんと、私の心持ちに沿って、 静かに、揺蕩うように、優しく、 癒してくれた。 オーガスト・グリーンのアルバムでも聴いた タイトル曲「Let Go」を聴くに至っては、 グラスパーのある本性の一部を垣間見たような気もした。 先入観というものは誰しにもあるものである。 もし、これが、グラスパーの作品

    • 続・続 気になる日本のジャズピアニスト、若井優也

      気になる日本のジャスピアニストシリーズ、 三人目は、若井優也。 かなり前から、気になる人ではあったが、 新作「Will II」を聴いて、 今、絶好調なのではあるまいか。この人。 まず、選曲がいい。 前作の「Will」で、デューク・ピアソンの「Is That So」を 取り入れた時もそう思ったが、 今回は、私の大好きな「For Heaven’s Sake」で、 始まっている所からして、心浮き立つものがあった。 切ない、バラード曲であるが、 甘くなりすぎず、むしろ硬質にトリッキ

      • BILL FRISELL  ビル・フリゼール  ORCHESTRAS

        フリーゼル・ミュージックのオーケストレーションビル・フリーゼルとマイケル・ギブスが組んだ、最新作。 クラシカルなオーケストラの共演、そして ビックバンドオーケストラとの共演という二つのディスクで 構成される意欲作である。 フリーゼルの音楽こそ、 オーケストレーションにふさわしいと痛感。 緻密に譜面化されたオーケストレーション自体が、 マイケル・ギブスの力量で、 フリーゼルの感性を体現しており、 その中で、自由に彷徨するフリーゼルのギターが 光彩を放っている。 いつも思うこ

        • Kurt Rosenwinkel & Geri Allen カート・ローゼンウィンケル、ジェリ・アレン Lovesome Thing

          奥の深いカート 〜魅力尽きることなく〜やはり、カートのギターは深いなあ〜 録音されたのは2012年というから、 10年以上も前の音源。 録音後、ジェリはスタジオ・アルバムの 制作を熱望していたという。 願いは叶わず、 5年後の2017年に60歳の若さで、 亡くなってしまったジェリ・アレン。 ピアノはこう弾くんだという、 他のピアニストとは一線を画した、 ジェリ・アレンの主張性の強い、 独特で、鮮鋭なピアノタッチには、 いつも畏敬の念を抱いてきたが、 このカートとのデュオ

        Robert Glasper ロバート・グラスパー Let Go

        マガジン

        • ジャズ、これぞ名盤/これを聴かずして
          22本
        • ジャズ、気になる新譜紹介
          23本
        • ジャズ・ジャイアント/苦しんで代表作3枚を選ぶ
          1本

        記事

          クリス・ポッターのストレートな新作!

          ポッター、メルドー、パティトゥッチ、ブレイドの名が 記された、アルバムアートワークがまず意味深。 赤の下地の中央付近に、 細やかな無数の鳥の羽ばたくカラフルなシルエットに刻まれた 四人の赤字のクレジット。 地味なデザインでありながら、訴求力を感じる。 背景の赤地に赤字のクレジットは普通は、目立たないので、 あまり使わない組み合わせだが、 なんだか、このユニットの特徴を 端的に示しているような気がするのである。 全編、只管、「即興」が揚々と繰り広げられている。 楽曲の構成

          クリス・ポッターのストレートな新作!

          続 気になる、日本のジャズピアニスト 布施音人

          続 気になる、日本のジャズピアニスト 布施音人。 3月に発売されたばかりの布施音人トリオのアルバム「isorated」。 同メンバーによるギグを、御茶ノ水ナルに聴きに行って来ました。 久々にピアノトリオというフォーマットの魅力に 身を委ねる時間を過ごすことができた。 ナルのライブ会場としての音環境も実に素晴らしい! 一言で印象を述べると、 「揺蕩う(たゆたう)」 いつまでも聴いていたいサムシングを持った、 素晴らしいユニットであった。 以下、どんな点に心打たれたのか、 あ

          続 気になる、日本のジャズピアニスト 布施音人

          OZONE

          小曽根真は、 既に、かなり前から、 今や日本のジャズミュージシャンの 精神的な支柱となっている感がある。 彼のプレイの卓越さだけでなく、 いろんな面で配慮ができ、 そのポジティブで開かれた印象の人間性からも 絶大な信頼を得ているのであろう。 私自身、 小曽根真の実際の演奏に接したことは2度ほどしかないが、 まず、一番印象的なのは、 楽しそう、嬉しそうに弾いている姿である。 弾いている最中の視線も、 エバンスのように内省的な下向きではなく、 一緒に演奏するプレイヤーに時には微

          ジェイコブ・コリアーの「わかりすく、難しことをやる」

          このジェイコブ・コリアーの Djesseシリーズ最後の集大成的アルバムを聴いて、 久しぶりに若かりし頃の音楽的戦慄の感覚が蘇ってきた。 「戦慄」を辞書で引くと、 「怖くて震えること。おののくこと」とある。 怖くはないので、少しニュアンスは違うが、 「身体が震える」とか「血がたぎる」とか 「おののく」といった表現はしっくりくる。 私にとっても洋楽の初体験であった、 クイーンの第5作までの初期作品群や、 EL&Pの「恐怖の頭脳改革」、 ツェッペリンの映画「永遠の詩」など、 十

          ジェイコブ・コリアーの「わかりすく、難しことをやる」

          ジャズ・テナー最先鋒 メリッサ・アルダナ

          メリッサ・アルダナ Echoes of the Inner Prophetメリッサ・アルダナ。 現在35歳。 最近何かと、気になるアーティストのひとりである。 これまで、ショーター系譜の、ダークネスさを特徴とする、 どちらかというと内省的で、抑制的な奏法に、 他にない独自の魅力を感じていたのであるが、 彼女が、ロリンズを敬愛してやまないことが、 次の7,8年前のYOUTUBE映像を見て、よく分かった。 まず吹き方。 彼女特有の上下運動は、この頃から見受けられるが、 ロリン

          ジャズ・テナー最先鋒 メリッサ・アルダナ

          初体験! Tom Ollendorff

          遅ればせながら、 最近知ったギタリスト。 いやー最初の一曲目から、私好みの音色と、牧歌感の強い曲調に、 一瞬で心を捉えられた。 きっちり伝統を踏まえた上でのモダンなアプローチが、聴き易くて、 自然に、トリオでの対話に没入することができる。 また、このベースのチャップリンという人が、 とてもふくよかなベース音で素晴らしい。 このトリオに通底するグルーブをしっかり支えている。 英国の若きギタリストということらしい。 英国出身のアーティストって、そんなに頭に浮かんでこない。

          初体験! Tom Ollendorff

          気になる、日本のジャズピアニスト

          はてなプログ(ジャズ遊戯三昧)から Noteへの移行途中であるが、 最新記事として、ぜひ、 平倉初音に触れておきたい。 最近まで、生で聴いたことのなかった 平倉初音。 初めて聴いたのは、 12月10日に兜町で開かれた 「JAZZ EMP@Tokyo Financial Street」 での演奏。 ベースに須川崇志、ドラムに中村海斗と組んだピアノトリオ。 それまで、You tubeや、 アルバム「Wheel of Time」を通じて、 「ジャズが好きで堪らない」感がすごく伝

          気になる、日本のジャズピアニスト

          Herbie Hancock ハービー・ハンコック  Sunlight

          最高にハッピーなハンコック!アルトサックス奏者、加納奈美さんが、 「本日のウォーキングのお供、久々に聴いたけどやっぱいい〜」 と呟いた本作。 元気を出して、前を向いて歩こうという気分にさせてくれる、 私にとっても、とても大切な一枚。 表題曲の「Snulight」には、いつも勇気づけられる。 この曲を聴くと、いつも、燦々の太陽がきらめく中、 一旦立ち止まって、深呼吸した後、 眩しい空を見上げ、遥か彼方の地平線に向かって、 とてもハッピーな気分で、 ゆっくり歩い

          Herbie Hancock ハービー・ハンコック  Sunlight

          富樫雅彦 MASAHIKO TOGASHI SESSION IN PARIS, VOL.1 "SONG OF SOIL"

          富樫✖️チェリー✖️ヘイデン 奇跡の企画 個人的な思入れの強い作品であり、 私にとっての、富樫雅彦の最高傑作である。 「陽光」など、数々の日本におけるジャズの名作を プロデュースした、キングレコードの高和元彦氏が、 パリに富樫雅彦を招いて録音した企画であるが、 この作品は、ドン・チェリーとチャーリー・ヘイデン という人選の素晴らしさ、 そして、録音の良さもさることながら、 何より、三者の奏でる音が、 かくあるべきという感じで揺らぎなく、 途轍もなく存在感があり、 「soi

          富樫雅彦 MASAHIKO TOGASHI SESSION IN PARIS, VOL.1 "SONG OF SOIL"

          Keith Jarrett キース・ジャレット Jasmine

          このキース、切なすぎます。 恥ずかしながら、少し感傷に浸りたいとき、泣きたいときに 思わず手に取ってしまうのが、このアルバム。 このヘイデンとの30年ぶりのデュオ作品を聴くと、 あまりに切なくて、泣いてしまうのです。 悲しい曲調とか、 大げさな嘆きとかいった感じでは、全くない。 むしろ、淡々とした、時にはからっとした明るささえ備えた、 二人のゆっくりした進行の中に、 深い悲しみのトーンが 通底していると言いましょうか、 沁み込んでしまっているといいましょうか。 キース

          Keith Jarrett キース・ジャレット Jasmine

          Bill Evans & Jim Hall ビル・エバンス&ジム・ホール Undercurrent

          二人だからこそ通用する語法の美学この二人の会話は、 長年、寄り添った夫婦の阿吽の呼吸といった感じというよりも、 互いに信頼し、敬いながらも、久しぶりの再会で、 緊張感と適度な距離感をもって、 カウンターに並んで座って会話を楽しむ、 旧知の二人の間のやり取りとでも 表現したらよいのであろうか。 集中して聴いていると、                       二人の会話をカウンターの端で 盗み聞きしている感覚に陥る。 それだけ、この二人だからこそ通用する語法の美学に、 あ

          Bill Evans & Jim Hall ビル・エバンス&ジム・ホール Undercurrent

          SONNY CLARK ソニー・クラーク Cool Struttin'

          パップという様式美で遊ぶ私は、パップのピアノといえば、 バド・パウエルを除いては、 ソニー・クラークが最高にヒップで、 完成されたピアニストだと思うのです。 聴けば聴くほど、耳コピすればするほど、 あーなんて、スタイリッシュで上品なタッチ、 硬質なフレーズなんだろうと、 惚れ惚れしてしまうのです。 よく、ハンプトン・ホーズと 比較されたりしますが、 ホーズファンには申し訳ないのですが、 格が違うと思うのです。 簡単には真似できない、 非常に繊細なタッチと知的なフレージング

          SONNY CLARK ソニー・クラーク Cool Struttin'