須川崇志 バンクシアトリオ Time Remembered
林正樹という、日本の宝
素晴らしい感性を持ったピアニストだと思う。
かつて、かなり以前に港区のボディアンドソウルで
聴いたピアニスト、中島政雄に出会った時の、
深く、肌感覚で迫ってくる、心地よさと同じものを感じる。
言葉で、林正樹の魅力を説明するのは難しいのだが、
あえてトライしてみると、
◯タイム感覚が優れている。
語り口というか、ノートとノートの繋げ方、
間の取り方といったタイム感覚が絶妙である。
◯曲全体を貫くトーナリティの豊かさ、確かさ。
これが、超一流ミュージシャンが持つ共通の資質と思うが、
最初の一音から最後まで、固有の色、
調性を生み出す底力があること。
◯活動が多彩であること。
様々なジャンルの音楽を吸収し、
深いバックグラウンドの中から生み出される活動の多様性。
彼のリーダー作品も、実に素晴らしく、
抑制の効いた、極めて内省的でかつ緻密な演奏を披露しているが、
この作品は、須川、石若という最高のプレイヤーとの
対等な触発によって生まれた、
刺激的なインタープレイが唯一無二で、
ほんとうに素晴らしい。
このメンバーで作品を世に送り出そうとした
仕掛け人の方は誰なんでしょう。
世界に通用する作品として、日本が誇れる軌跡である。
林 正樹 (piano)
須川 崇志 (bass)
石若 駿 (drums except 6)
1. Time Remembered
2. Yoko no Waltz
3. Nigella
4. Banksia
5. Under The Spell
6. Lamento (p & b duo)
7. Largo Luciano
8. Yoshi
2019年7月31日 録音