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続・続 気になる日本のジャズピアニスト、若井優也
気になる日本のジャスピアニストシリーズ、
三人目は、若井優也。
かなり前から、気になる人ではあったが、
新作「Will II」を聴いて、
今、絶好調なのではあるまいか。この人。
まず、選曲がいい。
前作の「Will」で、デューク・ピアソンの「Is That So」を
取り入れた時もそう思ったが、
今回は、私の大好きな「For Heaven’s Sake」で、
始まっている所からして、心浮き立つものがあった。
切ない、バラード曲であるが、
甘くなりすぎず、むしろ硬質にトリッキーに
まとめているところが、面白い。
全般的に、やはりどうしても、メルドー感は否めないが、
メルドーイディオムのスリルと斬新さを、
上手く翻訳してくれるような、わかりやすさがある。
そして、何より、フレキシブル極致の鉄壁勇者二人のサポートを受けて、
まさに、トリオミュージックならではの
緊密でスポンティニアスな対話を聴かせてくれる。
若井優也は、基本ロマンティストだと思う。
メルドーのような、徹底的な冷徹さはない。
だから、もともとロマンティストなんだから、
もっともっとストイックな、彼が得意な数学的なアプローチの、
ファンを突き放すぐらいの、冒険をやっても良いと思う。
今回の新作の中で、白眉と思ったのは、
「Waltz #14」。
この曲のように、単調とさえ思われる全体のトーンの中で、
仄めくロマンティシズムが立ち現れてくるような、
朦朦たる演奏を期待できるのは、
今のところ、若井優也しかいない。
それにしても石若のドラムはやはりすごいですね。
今やバンクシアトリオとともに、
もっとも刺激的な、トリオミュージックを堪能させてくれる
素晴らしいユニットである。
今後、大いに期待したい。
若井優也 / Yuya Wakai (Piano)
楠井五月 / Satsuki Kusui (Bass)
石若駿 / Shun Ishiwaka (Drums)
1. For Heaven’s Sake (Sherman Edwards, Donald Meyer, Elise Bretton)
2. Skippy (Thelonious Monk)
3. Waltz #14 (若井優也)
4. Hedera (石若駿)
5. Immortal Jellyfish (石若駿)
6. Will: Part 1 (若井優也)
7. Waltz #13 (若井優也)
8. Turn Out The Stars (Bill Evans)
9. Old Friends II (石若駿)
10. M.O.B. (若井優也)