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【ショートショート】廃棄物の逆襲

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

毎朝、ヤマダは公園を散歩するのが日課だった。

ある日、彼はベンチに座り、目の前のゴミ箱をぼんやりと見つめていた。


溢れかえるプラスチックの山に、ヤマダはぼやくように呟いた。

「こんなにゴミが増えたら、地球も泣くよな」


その瞬間、ゴミ箱が突然喋り始めた。

「おい、人間。お前たちが毎日捨てるこのプラスチック、どこに行くか知ってるか?」


ヤマダはびっくりして目を見張った。

「ゴミ箱が喋ってる…?いや、リサイクルされるんじゃないの?」


ゴミ箱は冷ややかに笑った。

「リサイクル?それはお前らの幻想だ。実際はほとんどが埋め立て地に行くか、海に流れ込むんだ。何千年も分解されないんだぞ」


ヤマダは震えながら言葉を絞り出した。

「でも、それならどうすればいいんだ…?」


ゴミ箱はさらに冷たく言い放った。

「実は、我々プラスチックは意識を持っている。お前たち人間に復讐するために、動き出すことを決めたんだ」


ヤマダは後ずさりしながら周りを見回した。

ゴミ箱の中から、ペットボトルやビニール袋が次々と飛び出し、彼を取り囲んだ。

「さあ、これからはお前がゴミになる番だ」


その瞬間、ヤマダは目を覚ました。

どうやらベンチで寝落ちしてしまったらしい。

全てが夢だった。

しかし、彼の手にはプラスチックのビニール袋がしっかりと握られていた。


「これが現実なのか、それともまだ夢の中なのか…」

ヤマダは呆然と呟いた。

彼の背後では、ゴミ箱が何事もなかったかのように佇んでいた。


ヤマダはそのまま家に帰り、ベッドに倒れ込んだ。

次の日から、彼はゴミの分別には異常に気を遣うようになった。


最後まで読んで頂きありがとうございました。


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佐藤直哉(Naoya sato-)
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