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【ショートショート】深夜便の恐怖

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

深夜、男は窓を閉め忘れていることに気づき、何気なく向かいのビルを見上げた。
その瞬間、視線が絡んだ。

誰かがこちらをじっと見つめている。

しかも、その人物はゆっくりと手を振っているではないか。


不安になりながらも、男は軽く手を振り返した。

その直後——

スマホが震えた。

画面には見知らぬ番号からのメッセージが表示されている。


『今、向かいのビルから手を振っています』


男は凍りついた。
背筋がゾッとし、指先が震える。


数分後、再び通知音が響いた。

『今、あなたのマンションのエントランスにいます』

冷や汗がじわりと滲む中、男の手は震えるスマホを握り締めたままだ。


さらに、新しいメッセージが届く。

『今、あなたの部屋のドアの前にいます』


男は恐怖に駆られ、ドアへ向かって駆け寄った。
チェーンロックを急いでかけ、息を殺す。


その時、玄関の向こうからノック音が響いた。


ノックは一定のリズムで続き、その直後、低く落ち着いた声が聞こえてきた。

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最後まで読んで頂きありがとうございました。


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佐藤直哉(Naoya sato-)
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