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【ショートショート】永遠の一秒

注意!
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
この作品には画像生成AIを使用して作成した画像を使用する事があります。
以上を踏まえた上でお読みください。

柔らかな春の日差しの下、小野美紀(オノミキ)は人生が一変する出会いを果たした。

彼女が古道具屋の奥深くで見つけたのは、外見は何の変哲もない古い腕時計だった。

しかし、店の主人は低い声で囁いた。

「この時計は、時を止める力を持っています」

半信半疑の美紀だったが、その不思議な魅力に抗えずに時計を手に入れた。

美紀はこの新しい力を試すことに決めた。

彼女の選んだ瞬間は、友人たちとの笑顔あふれる夜だった。

ガラス越しの月明かりが彼女たちの幸せな表情を照らし、美紀は時計の針を停めた。

瞬間、世界は静止した。

彼女の周りの全てが永遠の静寂に包まれた。

最初は、この完璧な瞬間を永遠に楽しむことに夢中になった美紀。

しかし、時間が経つにつれ、彼女は徐々に孤独と退屈を感じ始めた。

動かない世界では、友人たちの笑顔も、美しい月明かりも、彼女を喜ばせることはなくなった。

美紀は動きと変化のない世界の中で、ただひとり取り残された。

彼女は時計を何度も見つめ、時間を再び動かそうとしたが、時計はその機能を失っていた。

美紀は自分の選択が永遠の瞬間をもたらしたことに気づき、時間の流れの大切さを理解した。

彼女は、時間がもたらす変化や進行こそが、人生の美しさを形作ると悟ったのだ。

美紀は自らの選択によって、永遠の一秒に閉じ込められた。

皮肉にも、時間を止めたいと願った彼女自身が、時間の流れの価値を最も深く理解することとなった。

彼女の周りの世界は動き出さないままで、美紀はその瞬間を永遠に見つめ続けることとなった。

永遠の一秒は、美紀にとって最も長く、最も教訓に富んだ時となった。

そして、古道具屋の主人は遠くから、また一つの教訓を伝える物語が終わったことを知り、静かに微笑んだ。

美紀の物語は、時間の流れを大切にし、現在の瞬間を最大限に楽しむことの大切さを語り継ぐことになるだろう。

以上でこの物語は終幕となります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

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佐藤直哉(Naoya sato-)
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