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【ショートショート】完遂へのポーズ
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
昨年の失敗がまだエレナの心の片隅にしっかりと残っていた。
プレゼンの前夜、オフィスの静寂の中で彼女は深呼吸を繰り返し、
「疲れた...いや、もうすぐやり遂げる」と自己暗示を続けた。
立ち上がり、鏡の前で堂々としたポーズを取ると、自信が湧き上がり、彼女の目には新たな決意が宿った。
翌日のプレゼンでは、エレナはその決意を胸に新製品の市場導入計画を展開した。
彼女は最新の消費者心理研究を詳細に引用し、実際の成功例を元にそのデータがどのように戦略に組み込まれたかを熱心に説明した。
プロジェクターが故障した際も、彼女は即座にスマートフォンを手に取り、動じることなくプレゼンを続行した。
その冷静さに会場からは感動の拍手が起こった。
プレゼン終了後、ジョンが彼女に近づき、感動を隠せない様子で尋ねた。
「エレナ、その驚異的な落ち着きはどこから来るんだい?」
エレナは深く目を閉じてから静かに答えた。
「自分に『やり遂げた』と言い聞かせているの。それが私を落ち着かせ、不安を消し去るの」
数週間後、エレナが自己肯定感を高めるワークショップを開催した際、彼女は自分の経験を同僚たちに話した。
特に、その方法を実践したマークは、自らのプロジェクトで顕著な成果を上げ、エレナに感謝の言葉を述べた。
「君のテクニックが僕に自信を与えてくれた。心から感謝するよ」
エレナはオフィスの窓辺に立ち、夕焼けを眺めながら、自分の影響力とその達成感を深く実感した。
心の底から「完遂した」と感じ、これからもその力を信じて前進することを決意した。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。
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