【ショートショート】繁栄の廃墟
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
かつて賑わっていた村は、隣町のテーマパークができてから急速に衰退した。
村長は、これ以上の手はないと覚悟を決め
「村を廃墟にして観光客を呼び戻そう」
と提案した。
村人たちは戸惑いながらも、他に選択肢がないと理解し、計画を実行することにした。
古びた建物を意図的に朽ちた風に改装し、村全体を「廃墟」として売り出したのだ。
計画は大成功し、廃墟ツアーは話題となり、観光客が再び村を訪れるようになった。
村長は胸をなでおろしたが、やがて村全体が本当に朽ち果てていく現実に直面する。
「これでよかったのか?」
と自問する日々が続いた。
そしてある日、一通の通知が届いた。
「この村は開発用地として買収されます。全住民は30日以内に退去せよ」
村長は震える手で通知を握りしめ、呆然とした表情で呟いた。
「俺たちが作ったこの廃墟に、本当に追い出されるなんて…」
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